小児でVolkmann拘縮を起こしやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
上腕骨顆上骨折は、小児期に多く発生する肘関節周囲の骨折であり、その解剖学的位置から上腕動脈を始めとする主要な血管や神経が走行する部位に近接しています。骨折による転位やその後の浮腫により、これらの血管が圧迫・閉塞されやすく、前腕筋群の阻血性変化(フォルクマン拘縮)を発症するリスクが最も高いとされています。早期発見と適切な治療が極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。上腕骨顆上骨折は、肘関節周囲の骨折であり、特に小児では転位が大きい場合に腕を栄養する主要な血管や神経(上腕動脈、正中神経など)を圧迫・損傷しやすいため、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)のリスクが最も高いとされています。骨折部位が深く、浮腫も生じやすいため、コンパートメント症候群からの阻血性変化に至りやすい特徴があります。
- 2. 上腕骨外顆骨折は、肘関節の外側に位置する骨折です。神経損傷や偽関節のリスクはありますが、上腕動脈のような大きな血管の直接的な圧迫や損傷による広範囲な阻血性変化を引き起こすことは稀で、フォルクマン拘縮に直結するリスクは上腕骨顆上骨折に比べて低いと考えられます。正しくは:上腕骨外顆骨折はフォルクマン拘縮のリスクは低いですが、偽関節や外反肘・内反肘などの変形癒合、尺骨神経麻痺のリスクがあります。選びやすい理由:肘関節周辺の骨折であるため、血管神経損傷のリスクがあると誤解しやすいかもしれません。混同注意:上腕骨顆上骨折と混同して、肘周辺のどの骨折もフォルクマン拘縮のリスクが高いと考える可能性があります。
- 3. 上腕骨近位部骨折は肩関節に近い部分の骨折であり、肘関節周囲の血管・神経への直接的な影響は少ないため、フォルクマン拘縮のリスクは非常に低いと考えられます。腋窩神経損傷や肩関節の可動域制限が主な合併症となります。正しくは:上腕骨近位部骨折は肩関節周囲の骨折であり、フォルクマン拘縮のリスクは低いです。選びやすい理由:骨折の位置が上腕骨であるため、漠然と重症な合併症を連想する可能性があります。混同注意:広範囲の阻血性変化と特定の骨折部位との関連性を理解していない場合、他の重篤な合併症と混同する可能性があります。
- 4. 上腕骨骨幹部骨折は上腕骨の中央部分の骨折であり、撓骨神経麻痺(下垂手)の合併症が有名ですが、フォルクマン拘縮の原因となる上腕動脈への広範な圧迫や損傷は通常起こりにくいとされています。肘関節から離れた部位であるため、肘関節周囲の阻血性変化には直接つながりません。正しくは:上腕骨骨幹部骨折は撓骨神経麻痺を合併しやすいですが、フォルクマン拘縮のリスクは低いです。選びやすい理由:撓骨神経麻痺のように「神経損傷」を伴うため、血管損傷も連想しやすいかもしれません。混同注意:フォルクマン拘縮の原因が特定の血管損傷と部位に関連していることを理解していない場合、神経損傷のある他の部位の骨折と混同する可能性があります。
- 5. 上腕骨内側上顆骨折は肘関節の内側にある骨折です。尺骨神経麻痺を合併するリスクはありますが、上腕動脈のような太い血管を直接圧迫・損傷することは稀であり、フォルクマン拘縮を引き起こす可能性は低いとされています。外顆骨折と同様に、フォルクマン拘縮のリスクは上腕骨顆上骨折に比べて格段に低いです。正しくは:上腕骨内側上顆骨折は尺骨神経麻痺を合併しやすいですが、フォルクマン拘縮のリスクは低いです。選びやすい理由:肘関節周辺の骨折であり、神経損傷を伴うため、血管損傷も連想しやすいかもしれません。混同注意:上腕骨顆上骨折と混同して、肘周辺のどの骨折もフォルクマン拘縮のリスクが高いと考える可能性があります。
国試ポイント
この問題は、小児の骨折とその合併症に関する基本的な知識を問うものです。特に上腕骨顆上骨折がフォルクマン拘縮の主要な原因であることを理解しているかが重要です。各骨折部位に特有の合併症を正確に結びつけられるかがポイントとなります。
混同注意
上腕骨顆上骨折以外の肘関節周囲骨折(例:外顆骨折、内側上顆骨折)も神経損傷を伴うことがありますが、血管損傷によるフォルクマン拘縮のリスクは顆上骨折が突出して高いことを混同しやすいです。また、神経麻痺と阻血性拘縮の違いを理解していないと誤答につながる可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、フォルクマン拘縮の具体的な症状(5Pサイン)や、発生機序(コンパートメント症候群からの移行など)、また緊急時の対応(観血的減圧術など)が問われる可能性があります。さらに、上肢だけでなく下肢の骨折で起こりうる同様の阻血性合併症についても知識を問われるかもしれません。
関連知識
フォルクマン拘縮は、前腕の阻血により筋組織が壊死し、結合組織に置換されることで、手関節・指関節が屈曲位で固定されてしまう重篤な状態です。主な原因は、骨折による血管損傷や圧迫、ギプスなどの外固定による圧迫、あるいはコンパートメント症候群です。症状としては、疼痛、蒼白、脈拍触知不能、知覚異常、運動麻痺(5Pサイン)が有名です。上腕骨顆上骨折以外の骨折では、上腕骨骨幹部骨折での撓骨神経麻痺、上腕骨内側上顆骨折での尺骨神経麻痺などが関連知識として挙げられます。