偽関節を生じやすいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
偽関節は、骨折が一定期間経過しても癒合しない状態を指します。その発生には、骨折部の血行不良、過度な可動性、骨欠損、感染などが関与します。手舟状骨骨折と大腿骨頸部骨折は、いずれも血行供給が乏しい部位であり、力学的ストレスも加わりやすいため、偽関節を生じやすい代表的な骨折です。特に手舟状骨の近位部は栄養血管の供給が限られており、大腿骨頸部は関節包内の骨折であり、大腿骨頭への血行が損傷されやすいため、これらの骨折は癒合不全や偽関節、さらには骨壊死のリスクが高いことで知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。手舟状骨は血行が乏しく、特に近位部は栄養血管が供給されにくいため、骨折後の癒合が遅れたり、偽関節に移行しやすい傾向があります。さらに、この部位は常に力学的ストレスにさらされやすいことも原因となります。選びやすい理由:舟状骨は手関節の動きに重要な役割を果たすため、骨折により機能障害が生じやすいことは広く知られています。混同注意:他の手の骨折と混同されることがありますが、舟状骨特有の血行障害がポイントです。
- 2. 鎖骨骨折は比較的治癒が良好な傾向にあり、偽関節の発生率は低いとされています。ただし、骨折の転位が大きい場合や、手術をしない場合の保存療法では偽関節が生じる可能性もゼロではありません。正しくは:鎖骨骨折は一般的に偽関節を生じにくい骨折です。偽関節が発生するリスクは低いと考えられます。選びやすい理由:鎖骨は皮下にあり外力が加わりやすく、一見重症に見えるため、合併症が多いと誤解されることがあります。混同注意:開放骨折や粉砕骨折など、他の複雑な骨折と混同して、癒合不全のリスクが高いと誤解することがあります。
- 3. 肋骨骨折は、安定性の高い骨であり、周囲に筋肉や呼吸運動による豊富な血行があるため、通常は良好に癒合します。偽関節になることは極めて稀です。正しくは:肋骨骨折は通常、良好に癒合し、偽関節はほとんど発生しません。選びやすい理由:呼吸運動によって持続的に動く部位であるため、癒合に影響が出そうだと考える人もいますが、実際には血行の良さが勝ります。混同注意:多発骨折や基礎疾患がある場合の治癒遅延と混同することがあります。
- 4. 正解。大腿骨頸部は、関節包内骨折であり、血行供給が限られています(特に大腿骨頭への栄養血管が損傷されやすい)。加えて、体重負荷がかかる部位であるため、骨折後の癒合が困難であり、偽関節や骨頭壊死のリスクが非常に高いです。選びやすい理由:高齢者に多く発生し、手術適応となるケースが多いため、重症度は理解しやすいですが、その合併症として偽関節を適切に結びつけることが重要です。混同注意:大腿骨転子部骨折と混同されることがありますが、転子部骨折は関節包外であり、血行が比較的良好なため、偽関節のリスクは頸部骨折より低いです。
- 5. 踵骨骨折は、強い圧迫力によって生じる粉砕骨折が多いですが、血行が比較的良好なため、癒合不全や偽関節に移行することは稀です。むしろ、骨癒合後の変形や関節症が問題となることが多いです。正しくは:踵骨骨折は、偽関節を生じることは稀です。むしろ、骨折後の変形や足関節の機能障害が主な問題となります。選びやすい理由:重度の外傷で粉砕骨折になることが多いため、治癒が難しいと誤解されがちですが、血行の問題ではありません。混同注意:骨の変形や感染症などの他の合併症と偽関節を混同することがあります。
国試ポイント
偽関節を生じやすい骨折を問う問題は頻出です。特に血行不良が原因となる骨折や、体重負荷がかかる関節周囲の骨折が狙われます。解剖学的な特徴(血行分布、関節包内/外)と、骨折後の力学的環境を理解しているかが問われます。
混同注意
血行不良が原因の偽関節と、感染や過剰な可動性などが原因の偽関節を混同しないように注意が必要です。また、治癒遅延や遷延癒合と偽関節の明確な定義(期間)の違いも理解しておく必要があります。特に、大腿骨頸部骨折と転子部骨折の違いは重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各骨折の解剖学的特徴(特に血管支配)と、骨折部位にかかる力学的負荷を正確に判断することが求められます。また、「2つ選べ」という指示を見落とさずに選択することが重要です。他の選択肢で「関節包内骨折」や「栄養血管の乏しい部位」といったキーワードが含まれていないかを確認します。
関連知識
偽関節の治療法(観血的・非観血的)、骨移植、電気刺激療法、超音波療法など。また、各骨折の具体的な合併症(例:舟状骨のキーンベック病、大腿骨頸部骨折の骨頭壊死)についても関連付けて学習すると良いでしょう。骨癒合の機序(一次癒合、二次癒合)も基礎知識として重要です。