神経ブロックで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
星状神経節ブロックは、頚部の交感神経節を麻酔する手技であり、その近傍には反回神経が走行しています。ブロック薬がこの反回神経に拡散して影響を及ぼすと、声帯を支配する神経が麻痺し、一時的に声がかすれる(嗄声)合併症が生じることがよく知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 硬膜外ブロックは主に脊髄神経根の痛みや交感神経の調整に用いられます。三叉神経痛の治療には、三叉神経節ブロックや末梢神経ブロックなどが選択されます。正しくは:三叉神経痛の治療には、三叉神経ブロック(ガッサー神経節ブロックブロックや末梢神経ブロックなど)を行う。選びやすい理由:「神経ブロック」という広いカテゴリの中で、痛みの治療に使われるという点で、知識があいまいだと選んでしまうかもしれません。混同注意:硬膜外ブロックと三叉神経ブロックの適応部位・疾患を混同しやすい。
- 2. 正解。星状神経節ブロックの際に、ブロック薬が隣接する反回神経に影響を及ぼすことで、声帯の動きが一時的に麻痺し、嗄声が出現することが知られています。これは比較的頻度の高い合併症です。
- 3. ボツリヌス毒素の主な作用部位は、神経筋接合部における運動神経終末です。ここでアセチルコリンの放出を阻害します。「筋内の神経」という表現は漠然としており、正確な作用部位を示していません。正しくは:ボツリヌス毒素の作用部位は、神経筋接合部の運動神経終末である。選びやすい理由:筋に注射するので、筋内の神経という表現が正しいように聞こえるかもしれませんが、作用機序の「どこに作用するか」が不正確です。混同注意:筋全体や筋そのものと、神経筋接合部という特定の部位を混同しやすい。
- 4. ボツリヌス毒素注射の効果は、通常3~6ヶ月程度持続します。3日というのは短すぎます。正しくは:ボツリヌス毒素注射による効果の持続期間は、数ヶ月間(例:3〜6ヶ月)である。選びやすい理由:薬物の種類によっては短期間で効果が切れるものもあるため、知識があいまいだと誤って選んでしまうかもしれません。混同注意:即効性のある他の薬剤の効果持続期間や、注射後の副作用が数日で軽減する現象などと混同する可能性。
- 5. ランバート・イートン症候群は、神経筋接合部におけるアセチルコリン放出が障害される疾患です。ボツリヌス毒素もアセチルコリン放出を阻害するため、本症候群にボツリヌス毒素を投与すると、症状を悪化させる危険性があります。そのため、適応外であり、禁忌とされています。正しくは:ボツリヌス毒素注射は、ランバート・イートン症候群には適応がなく、むしろ禁忌である。選びやすい理由:どちらも神経筋接合部に関連する疾患や薬剤なので、関連性があるように見えるかもしれません。痙縮治療薬として広く使われるため、何にでも効くという誤解から選んでしまう可能性。混同注意:痙縮やジストニアなどの治療適応と、LEMSのようなアセチルコリン放出がすでに障害されている疾患を混同しやすい。重症筋無力症群に含まれるが、重症筋無力症でもボツリヌス毒素は通常使われない(症状悪化のリスク)。
国試ポイント
本問題は、神経ブロック治療における主要な手技(硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、ボツリヌス毒素注射)について、それぞれの適応疾患、作用機序、合併症、効果持続期間、禁忌といった基本的な知識を正確に理解しているかを問うものです。特に、星状神経節ブロックの合併症やボツリヌス毒素の作用機序・適応外疾患に関する知識は重要です。
混同注意
異なる神経ブロックの適応疾患、作用部位、合併症を混同しやすい。ボツリヌス毒素の作用機序や効果持続期間、適応疾患・禁忌疾患に関する知識のあいまいさ。特にランバート・イートン症候群とボツリヌス毒素の関係は、神経筋接合部という共通のキーワードから誤解を招きやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、受験者は1. 各神経ブロック手技の名称と、そのブロックがどの神経組織(脊髄神経、交感神経節、末梢神経など)を標的としているかを正確に結びつけられるか。2. それぞれのブロックで起こりうる特徴的な合併症(特に解剖学的な位置関係に起因するもの)を理解しているか。3. ボツリヌス毒素の作用機序、効果持続期間、そして特に禁忌となる疾患(ランバート・イートン症候群、重症筋無力症など)を判別できるか。これらのポイントを重点的に確認し、知識の正確性を問う問題が予想されます。
関連知識
硬膜外ブロックの適応疾患(腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、帯状疱疹後神経痛など)と合併症(硬膜穿刺後頭痛、血管内注入、神経損傷など)。星状神経節ブロックの適応疾患(複合性局所疼痛症候群、顔面麻痺、上肢血行障害など)とその他の合併症(ホルネル症候群、気胸など)。ボツリヌス毒素注射の作用機序(神経筋接合部でのアセチルコリン放出抑制)、主な適応疾患(痙縮、斜頚、眼瞼痙攣、ジストニアなど)、副作用。ランバート・イートン症候群の病態生理(神経筋接合部での電位依存性カルシウムチャネルに対する自己抗体によるアセチルコリン放出障害)と治療。