正中神経麻痺による猿手変形に用いる上肢装具で適切なのはどれか。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
正中神経麻痺による猿手変形は、母指球筋の萎縮と母指の対立運動障害により母指が他の指と同一平面上にある状態を指します。装具は母指を他の指と対立位に保持し、機能的な手としての使用を補助するために選択肢5のような対立装具が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 選択肢1は正中神経麻痺による猿手変形に適した装具ではありません。これは手関節や手指を固定する目的のスプリントであり、母指の対立運動を補助する機能は持っていません。正しくは:母指の対立運動を補助する対立装具が適切です。選びやすい理由:手部の装具全般として認識されることがあり、麻痺に対する装具として安易に選択してしまう可能性があります。混同注意:一般的な安静固定用スプリントや、腱鞘炎などの疾患に対する固定具
- 2. 選択肢2は正中神経麻痺による猿手変形に適した装具ではありません。これは一般的にMP関節の過伸展を防ぎ、PIP関節屈曲を補助するナックルベンダー型装具であり、尺骨神経麻痺による鷲手変形などに用いられます。猿手には直接対応しません。正しくは:母指の対立運動を補助する対立装具が適切です。選びやすい理由:手の機能改善を目的とした装具の一つであるため、手の麻痺全般に適用できると誤解されることがあります。混同注意:尺骨神経麻痺による鷲手変形に対する装具
- 3. 選択肢3は正中神経麻痺による猿手変形に適した装具ではありません。これは手関節の背屈を補助する動的装具であり、橈骨神経麻痺による下垂手変形に用いられるものです。母指の対立機能には直接関与しません。正しくは:母指の対立運動を補助する対立装具が適切です。選びやすい理由:手の麻痺に対する装具であるため、どの麻痺にも適用できると誤解されることがあります。橈骨神経麻痺による下垂手と混同しやすいです。混同注意:橈骨神経麻痺による下垂手に対する装具(ドロップハンドスプリント)
- 4. 選択肢4は正中神経麻痺による猿手変形に適した装具ではありません。これは通常、手指の屈曲拘縮や伸筋腱の損傷後に屈曲位を保持し、指の伸展を補助するタイプの装具であり、母指の対立運動には直接関係しません。正しくは:母指の対立運動を補助する対立装具が適切です。選びやすい理由:手の変形や機能障害に対する装具の一種であり、動的な要素を持つため、機能回復に寄与すると誤解されることがあります。混同注意:手指の屈曲拘縮や伸筋腱損傷後のリハビリテーション用装具
- 5. 正解。選択肢5は正中神経麻痺による猿手変形に適した装具です。この装具は母指を他の指(特に小指や環指)と対立位に保持することで、母指の対立運動機能を補助し、猿手による機能障害を補います。母指と示指の間に支持部があり、母指を内転・屈曲・回旋させて対立位に導きます。
国試ポイント
正中神経麻痺による猿手変形に対する装具の選択を問う問題です。各神経麻痺による特有の変形と、それに対応する装具の目的と構造を理解しているかが問われます。
混同注意
尺骨神経麻痺による鷲手や、橈骨神経麻痺による下垂手と混同しやすいです。それぞれの麻痺でどの筋肉が障害され、どのような変形が生じ、どのような機能を補助する必要があるのかを明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、まず問題文から神経麻痺の種類とそれに伴う手の変形(例:猿手、鷲手、下垂手)を特定します。次に、その変形によって失われている機能を補う、あるいは変形を矯正・予防する目的の装具はどれかを判断します。
関連知識
正中神経麻痺では母指対立筋、短母指屈筋、短母指外転筋などが麻痺します。母指の対立運動は、他の指との間で物をつまむ際に極めて重要であり、この機能が失われると精密な動作が困難になります。