ショックの発症初期に徐脈がみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ショックの病態は多岐にわたりますが、多くの場合、循環血液量の低下や末梢循環不全を代償するために交感神経が亢進し、頻脈となります。しかし、血管迷走神経反射によるショック(神経原性ショックの一種)では、迷走神経の過剰な刺激により心拍数が低下し(徐脈)、血管が拡張して血圧が低下するため、特異的に徐脈を呈します。
選択肢ごとの解説
- 1. アナフィラキシーショックでは、ヒスタミンなどの化学伝達物質の放出により末梢血管が拡張し、血管透過性が亢進するため循環血液量が相対的に不足します。これに対し、心臓は反射的に心拍数を増加させて循環を維持しようとするため、頻脈となります。正しくは:アナフィラキシーショックでは、初期に頻脈がみられます。選びやすい理由:ショックという状態に陥ると、心機能が低下し徐脈になるイメージを持つ学生もいるかもしれません。混同注意:他のショック病態で徐脈を呈するものと混同しやすいです。
- 2. 正解。血管迷走神経反射では、迷走神経が過度に興奮することで心拍数が減少し(徐脈)、末梢血管が拡張し血圧が低下します。これにより脳への血流が一時的に不足し、ショック症状を呈します。
- 3. 重症熱傷では、広範囲の毛細血管透過性が亢進し、大量の血漿成分が血管外へ漏出するため、有効循環血液量が著しく減少します(循環血液量減少性ショック)。これを代償しようと心拍数は増加し、頻脈となります。正しくは:重症熱傷によるショックでは、初期に頻脈がみられます。選びやすい理由:外傷によるショック全般で心機能が低下すると誤解する可能性があります。混同注意:出血性ショックなど、他の循環血液量減少性ショックと共通の病態生理を持つため、それらと混同しやすいです。
- 4. 大量出血は、実際の血液量が減少する循環血液量減少性ショックの代表的な原因です。有効循環血液量が減ることで心臓への還流が不足し、心拍数を増加させて心拍出量を維持しようとするため、頻脈となります。正しくは:大量出血によるショックでは、初期に頻脈がみられます。選びやすい理由:ショックが重度になると心拍数が落ちるイメージから、出血ショックも徐脈になると考えてしまうかもしれません。混同注意:低心拍出量性ショックと混同しやすいです。
- 5. 敗血症性ショックは、感染に対する全身性炎症反応の結果、血管拡張や血管透過性亢進が起こり、有効循環血液量が相対的に不足します。また、心機能抑制も起こりえますが、初期には心拍出量を維持しようと心拍数が増加し、頻脈がみられることが多いです。正しくは:敗血症性ショックでは、初期に頻脈がみられることが多いです。選びやすい理由:心機能抑制のイメージから徐脈を連想する学生もいるかもしれません。混同注意:他の広範なショック病態、特に血管拡張を伴うもの(アナフィラキシーなど)と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、様々なショックの病態生理と、それに対する身体の初期反応、特に心拍数の変化を正確に理解しているかを問うものです。ショックの原因によって代償機転が異なるため、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。特に徐脈を伴うショックは例外的なものとして押さえておくことが重要です。
混同注意
他の頻脈を呈するショック(循環血液量減少性、心原性、アナフィラキシー、敗血症など)との鑑別が重要です。ショック=頻脈という一般的な認識と異なるため、血管迷走神経反射性ショックの特異性を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、ショックの分類と、それぞれの病態生理における心拍数、血圧、皮膚温、意識レベルなどの主要な初期徴候を問う問題が予想されます。特に「〇〇ショックでみられるのはどれか(みられないのはどれか)」という形式や、症例問題での鑑別診断が重要となるでしょう。
関連知識
ショックの分類(循環血液量減少性、心原性、閉塞性、血液分布異常性)、各ショックの主な原因、初期症状と身体の代償機転(心拍数、血圧、皮膚色、意識レベルなど)、ショックの重症度分類。