神経筋疾患と理学療法の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ジストニアは、不随意で持続的な筋収縮によって異常な姿勢や運動が生じる神経疾患です。筋電図バイオフィードバックは、患者自身の筋活動をリアルタイムでフィードバックすることで、異常な筋収縮パターンを患者が意識的に抑制したり、正常な筋活動を促したりすることを目的とした治療法であり、ジストニアの症状改善に有効とされています。この治療法は、筋の協調性改善や不随意運動の抑制に寄与します。
選択肢ごとの解説
- 1. Böhler体操は、主に脊椎や股関節の可動域訓練や安定化を目的とした体操であり、ギラン・バレー症候群の回復期リハビリテーションとしては一般的ではありません。ギラン・バレー症候群のリハビリでは、筋力回復段階に応じて段階的な負荷調整が必要です。正しくは:ギラン・バレー症候群では、急性期には呼吸管理や関節拘縮予防、回復期には筋力やADLに応じた段階的な運動療法、徒手抵抗運動、歩行練習などが行われます。選びやすい理由:「体操」という言葉から、一般的な運動療法の一つとして考えやすいかもしれませんが、疾患特性と運動の目的が合致しません。混同注意:特定の疾患に対する「体操」というキーワードが、何か効果的なリハビリと結びつけられやすい。
- 2. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、過度の筋力トレーニングや重錘を装着したような高負荷の運動は、疲労を増悪させ、筋力低下を加速させる可能性があるため推奨されません。正しくは:ALSのリハビリでは、過負荷を避けた残存筋力の維持、関節可動域の維持、痙縮の管理、代償手段の獲得、呼吸理学療法などが中心となります。選びやすい理由:筋力低下があるため、筋力強化を図ろうと考えるかもしれませんが、ALSの病態を理解していれば不適切と判断できます。混同注意:一般的な筋力低下に対するリハビリ(漸増抵抗運動など)と、神経変性疾患における筋力低下へのアプローチを混同しやすい。
- 3. 正解。ジストニアは不随意な筋収縮を特徴とする疾患であり、筋電図バイオフィードバックは、患者が自己の筋活動を意識的に認識し、不適切な筋活動を抑制・制御する能力を向上させるために有効な治療法の一つとされています。
- 4. 重症筋無力症の患者は、筋の易疲労性が著しいため、漸増抵抗運動のような高負荷で反復的な運動は筋力低下や全身疲労を増悪させる危険性があります。正しくは:重症筋無力症のリハビリでは、疲労を避けた軽度な運動、関節可動域の維持、呼吸筋訓練、ADL指導が推奨されます。選びやすい理由:筋力低下があるので、筋力強化が必要だと誤解しやすいですが、易疲労性という疾患特性を理解しているかが問われます。混同注意:一般的な筋力低下に対する運動療法と、重症筋無力症の特殊な病態(易疲労性)を混同しやすい。
- 5. 多発性硬化症の患者は、体温の上昇によって神経症状が悪化する「ウートホフ現象」を示すことがあります。そのため、交代浴のように体温が上昇する可能性のある温熱療法は推奨されません。正しくは:多発性硬化症のリハビリでは、疲労管理、バランス訓練、歩行訓練、痙縮・しびれへの対処、冷罨法など、症状に応じた個別のプログラムが重要です。特にウートホフ現象を避けるため、体温上昇を招く治療は控えます。選びやすい理由:血行促進やリラックス効果といった一般的な温熱療法のメリットから、漠然と良いと感じてしまうかもしれません。混同注意:一般的な温熱療法の適応と、多発性硬化症のウートホフ現象による禁忌を混同しやすい。
国試ポイント
神経筋疾患の病態生理を理解し、それぞれの疾患特性(進行性、易疲労性、不随意運動、温度感受性など)に応じた適切な理学療法を選択できるかが問われています。特に、各疾患に特有の注意点や禁忌事項を把握していることが重要です。
混同注意
各疾患で生じる一般的な筋力低下や運動機能障害に対する一般的なリハビリテーションと、疾患特有の病態メカニズム(例:ALSの過負荷禁忌、重症筋無力症の易疲労性、多発性硬化症のウートホフ現象)を考慮した個別のアプローチを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、疾患の病態特性(急性期・慢性期、進行性・非進行性、易疲労性、痙縮、不随意運動、感覚障害、体温感受性など)を正確に把握し、その特性に合致した理学療法が提示されているかを確認します。特に、運動負荷の量や質、運動の種類が疾患の進行度や症状に適切かを見極めることが重要です。
関連知識
各神経筋疾患の基本的な病態生理、主要症状、進行度、そしてそれぞれの疾患に推奨される理学療法の種類、目的、および禁忌事項に関する知識が必要です。また、バイオフィードバック療法や様々な物理療法の適応と効果についても理解しておくことが重要です。