髄膜刺激徴候を誘発しやすい体位はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
髄膜刺激症状は、脊髄硬膜や神経根の炎症や刺激によって生じる症状であり、これらの組織に伸展ストレスがかかることで悪化または誘発されます。長座位は、股関節屈曲と膝関節伸展の組み合わせにより、坐骨神経を強く伸展させ、脊髄硬膜にも張力を伝えます。これは、Kernig徴候(仰臥位で股関節90度屈曲、膝関節伸展時に抵抗や痛み)やBrudzinski徴候(頸部を屈曲させると下肢が屈曲する)などの髄膜刺激症状を誘発する機序と共通しており、最も症状を誘発しやすい体位と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 側臥位は一般的に髄膜刺激症状を誘発しにくい姿勢です。脊柱や脊髄への伸展ストレスが少ないため、症状の悪化を招くことは稀です。正しくは:この姿勢は、通常、患者にとって比較的安楽な体位とされます。選びやすい理由:特定の病態によっては側臥位も考慮されることがありますが、髄膜刺激症状の誘発とは直接関連しません。混同注意:患者の安楽な体位と髄膜刺激症状の誘発を混同しやすいです。
- 2. 端座位では、脊柱の屈曲や伸展が長座位ほど強調されないため、髄膜刺激症状を強く誘発することは少ないです。特に頸部や腰部の屈曲を避けることで、症状を軽減できます。正しくは:端座位は、体幹の安定性に応じて調整することで、症状の誘発を避けることが可能です。選びやすい理由:座位全般で症状が出る可能性はあるものの、長座位ほど特定のストレッチがかかりません。混同注意:座位と長座位の脊柱への影響の違いを混同しやすいです。
- 3. 正解。長座位は、股関節を90度近く屈曲させ、膝関節を伸展させる姿勢であり、坐骨神経を強く伸展させます。この動作は、脊髄硬膜、馬尾神経、坐骨神経などに大きな張力をかけ、髄膜刺激症状(特にKernig徴候やBrudzinski徴候)を誘発しやすいため、正しい選択肢です。正しくは:この姿勢は、Kernig徴候を誘発するための体位でもあります。選びやすい理由:多くの人が普段から行う姿勢であり、危険性を認識しにくいかもしれません。混同注意:単純な座位や安静時の体位と混同し、その特殊な負荷に気づきにくい可能性があります。
- 4. 背臥位は、一般的に髄膜刺激症状を誘発しにくい体位です。体幹が伸展位に近く、脊髄や神経根への過度な伸展ストレスがかかりにくいためです。正しくは:背臥位は、特定の髄膜刺激徴候を評価する際に患者を安定させるための基本的な体位となることがあります。選びやすい理由:Brudzinski徴候を評価する際の開始姿勢であるため、誘発と関連があるように感じるかもしれませんが、それ自体が誘発体位ではありません。混同注意:診断手技の開始体位と、症状を誘発する体位を混同しやすいです。
- 5. 腹臥位も、髄膜刺激症状を誘発しにくい姿勢の一つです。脊柱が伸展位に近くなり、特に神経への伸展ストレスは軽減されます。正しくは:この姿勢は、特定の腰部疾患などで除圧効果が期待されることもあります。選びやすい理由:体位変換時に痛みが生じることはあるかもしれませんが、髄膜刺激症状の誘発とは異なります。混同注意:一般的な体位変換時の痛みと、髄膜刺激症状の特定の誘発機序を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、髄膜刺激症状の基本的な理解と、それを誘発する具体的な身体姿勢との関連性を問うものです。Kernig徴候などの特定の診察手技と、その際に生じる神経学的変化、および関連する体位について正確な知識が求められます。特に、脊髄硬膜や神経の伸展が症状誘発のメカニズムであることを理解しているかが重要です。
混同注意
髄膜刺激症状の誘発と、単純な安静位や体位変換時の痛み、または他の神経症状(例:坐骨神経痛)を混同しやすいです。また、各体位がどのような神経学的・解剖学的影響を及ぼすかについての正確な理解が不足していると、選択を誤る可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題される場合は、各髄膜刺激徴候(Kernig、Brudzinski)の具体的な評価方法とその意義、陽性所見が意味するもの、さらに誘発される機序(神経伸展の解剖学的経路)について、より詳細な知識が問われる可能性があります。また、これらの徴候が陽性となる具体的な疾患(例:髄膜炎、SAH)との関連性も重要です。
関連知識
Kernig徴候、Brudzinski徴候、Lasegue徴候(下肢伸展挙上試験)、髄膜炎の診断、脊髄神経根の解剖と生理、神経伸展テスト。