30歳の女性。検診で早期の乳癌と診断され、乳房温存手術を予定している。周術期理学療法を開始するにあたり、活動能力の評価方法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
KPS(Karnofsky Performance Status)は、癌患者の全身状態や日常生活活動における活動能力を100点満点で評価する尺度であり、周術期理学療法における患者の活動能力を把握するために広く用いられます。これにより、患者の活動レベルに応じた適切なリハビリテーション計画を立案できます。
選択肢ごとの解説
- 1. CFSは癌患者の疲労感を評価するための尺度であり、全身の活動能力を包括的に評価するものではありません。正しくは:癌患者の疲労度を評価したい場合に用いる尺度です。活動能力全般の評価には適しません。選びやすい理由:癌患者に関連する評価尺度であるため、癌リハビリテーションの文脈で正しそうに感じられることがあります。混同注意:全身の活動能力を評価するKPSやECOG PSと、癌関連の特定の症状(疲労)を評価する尺度を混同しやすいです。
- 2. FACT(Functional Assessment of Cancer Therapy)は、癌患者のQOL(生活の質)を多角的に評価する尺度であり、活動能力に特化した評価ではありません。正しくは:癌治療が患者の生活の質に与える影響を総合的に評価したい場合に用いる尺度です。活動能力全般の評価には適しません。選びやすい理由:癌患者に特化した「機能評価」という名称から、活動能力評価と勘違いしやすいことがあります。混同注意:活動能力を評価するKPSやECOG PSと、QOLを評価するFACTを混同しやすいです。
- 3. 正解。KPS(Karnofsky Performance Status)は、癌患者の全身状態や日常生活活動における活動能力を定量的に評価するための尺度です。周術期の理学療法において患者の活動能力を把握し、治療計画を立てる上で非常に適しています。点数が高いほど活動性が高いことを示します。
- 4. PPI(Palliative Prognostic Index)は、終末期の癌患者における余命を予測するための指標であり、周術期の活動能力を評価する目的には適しません。正しくは:緩和ケアにおいて終末期患者の予後を予測したい場合に用いる尺度です。選びやすい理由:癌患者に関連する指標であるため、選択肢として検討されやすいことがあります。混同注意:活動能力を評価するKPSと、予後を予測するPPIを混同しやすいです。
- 5. TNM分類は、癌の進行度(腫瘍の大きさ、リンパ節転移、遠隔転移)を示す病期分類であり、患者の身体的な活動能力を直接的に評価するものではありません。正しくは:癌の進行度や治療方針を決定する際に用いられる分類です。選びやすい理由:癌の診断や治療において非常に重要な分類であるため、選択肢として目を引きやすいです。混同注意:癌の病期を示すTNM分類と、患者の全身状態や活動能力を示すKPSやECOG PSを混同しやすいです。
国試ポイント
癌患者の病態や治療段階に応じた適切な評価尺度を選択できるか、特に活動能力やADL評価、QOL評価、予後予測指標などの違いを正確に理解しているかが問われます。
混同注意
KPS (活動能力評価) とECOG Performance Status (ECOG PS) は同様の活動能力評価尺度ですが、点数体系が異なります。また、QOL評価尺度 (FACT、EORTC QLQ-C30など) や疲労評価尺度 (CFSなど)、予後予測尺度 (PPIなど)、病期分類 (TNM分類) と混同しやすい点に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合は、まず患者の「何を評価したいのか」(例:活動能力、QOL、疲労、予後など)を明確にします。その目的に最も合致する評価尺度を選択します。特に、活動能力評価ではKPSやECOG PSが代表的であることを確実に記憶しておくことが重要です。
関連知識
ECOG Performance Status (ECOG PS)、ADL評価(Barthel Index、FIM)、QOL評価尺度(FACT、EORTC QLQ-C30)、疲労評価尺度(CFS)、予後予測尺度(PPI、P-POS)、疼痛評価(NRS、VAS)など、癌患者の周術期理学療法で用いられる多様な評価方法とその目的。