73歳の女性。胸部単純エックス線写真(別冊No. 5)を別に示す。考えられる疾患または状態はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示すX線画像では、主に両側下肺野に網状影や結節影、すりガラス影といった間質性肺炎に典型的な所見が認められます。これらの所見は肺の間質組織の線維化や炎症を示唆しており、間質性肺疾患が最も考えられる診断です。
選択肢ごとの解説
- 1. 気胸の場合、胸部X線写真では肺野の虚脱や胸腔内の空気貯留(肺血管影のない透過性亢進領域)が認められますが、提示された画像ではそのような所見は見られません。正しくは:画像で肺野の虚脱や胸腔内の空気貯留が確認できれば気胸が考えられます。選びやすい理由:肺疾患の一つであるため、知識の曖昧さから選んでしまう可能性があります。混同注意:肺野の透過性亢進と虚脱の所見を混同しやすいです。
- 2. 正解。胸部X線写真では、両側下肺野を中心に網状影や結節影、すりガラス影、蜂巣肺といった間質性肺炎に特徴的な所見が認められます。これらの所見は間質性肺疾患を示唆しています。選びやすい理由:特徴的な陰影パターンが間質性肺疾患の典型的な所見と一致するため、選択しやすいです。混同注意:他の慢性肺疾患との鑑別が重要です。
- 3. 気管切開術後の状態は、通常、X線写真では気管切開孔や挿入されているカニューレの影として確認されますが、提示された画像にはそのような明確な術後変化は認められません。また、気管切開術そのものが肺野の病変形成に直接関連するわけではありません。正しくは:気管切開術後であれば、気管切開孔やカニューレが写り込む可能性があります。選びやすい理由:胸部領域の手術という点で、漠然と関連性を考えてしまうかもしれません。混同注意:気管の変形や石灰化といった加齢性変化と混同する可能性があります。
- 4. 肺葉切除術後であれば、術後の胸郭の変形、肺野の縮小、横隔膜の挙上、残存肺の過膨張、胸腔ドレーン挿入痕などがX線写真で確認されますが、提示された画像ではそのような明確な術後所見は見られません。正しくは:肺葉切除術後であれば、肺葉の欠損や胸郭の変形が画像で明確に示されます。選びやすい理由:これも胸部領域の手術であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:過去の胸部外科的介入による変化と、現在の疾患による変化を混同しやすいです。
- 5. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合、胸部X線写真では肺の過膨張(横隔膜低位、肋間腔開大)、心臓の滴下心、肺血管陰影の減少などが特徴的ですが、提示された画像に見られる網状影や結節影は、COPDよりも間質性肺疾患に典型的な所見です。正しくは:COPDでは肺の過膨張、横隔膜低位、肺血管影の減少などが画像で確認できます。選びやすい理由:高齢者の慢性肺疾患として一般的なため、選びやすい選択肢です。しかし、画像所見がCOPDの典型像とは異なります。混同注意:両疾患ともに慢性経過をたどるため、画像の特徴的な所見の違いを見落としやすいです。
国試ポイント
胸部単純X線写真の読影能力、特に肺野の病変パターンとそれに合致する疾患の知識が問われています。間質性肺疾患、COPD、気胸といった主要な肺疾患のX線所見を区別できることが重要です。画像問題では、典型的な所見を見落とさずに正確に判断する能力が求められます。
混同注意
間質性肺疾患と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、どちらも高齢者に多く見られる慢性的な肺疾患であるため混同しやすいです。しかし、X線所見には明確な違いがあります(間質性肺疾患は網状影、結節影、蜂巣肺など、COPDは過膨張、横隔膜低位、肺血管陰影の減少など)。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の代表的な肺疾患(例:肺炎、肺癌、肺水腫など)のX線所見も含まれる可能性があります。各疾患の典型的な画像所見を明確に識別できるようにしておくことが重要です。また、CT画像など、より詳細な画像診断への展開も想定されます。
関連知識
間質性肺疾患には特発性肺線維症、膠原病に伴う間質性肺炎、薬剤性肺障害など多岐にわたります。病理学的には肺胞壁や小葉間隔壁などの間質組織に炎症や線維化が生じます。理学療法では呼吸リハビリテーションが重要となりますが、疾患の進行度や全身状態に応じた慎重な介入が必要です。また、気胸の緊急性やCOPDの身体活動制限への影響も理解しておく必要があります。