装具と疾患の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
交互歩行装具(RGO)は、胸髄レベル(Th12)程度の高度な下肢麻痺がある患者に対し、体幹のわずかな動きを利用して交互歩行を可能にする装具であり、二分脊椎でこのレベルに機能残存がある場合、その適応となります。他の選択肢は、それぞれの装具の主たる適応疾患と組み合わせが誤っています。ウィリアムズ型装具は腰椎の安定化、ミルウォーキー装具は脊柱側弯症、オッペンハイマー型装具は尺骨神経麻痺による鷲手、スウェーデン式膝装具は反張膝が主な適応です。
選択肢ごとの解説
- 1. ウィリアムズ型装具は主に腰椎の不安定性や椎間板ヘルニア、分離すべり症などによる腰痛の治療に用いられ、体幹の屈曲制限や伸展補助を目的とします。脊柱側弯症の矯正には適しません。正しくは:脊柱側弯症の治療には、ミルウォーキー型装具やボストン型装具などが用いられます。ウィリアムズ型装具を正しく組み合わせるなら「ウィリアムズ型装具と腰椎分離すべり症」などです。選びやすい理由:装具の名前がやや専門的であるため、具体的な適応疾患を曖昧に覚えていると、誤って選んでしまう可能性があります。脊柱疾患に用いる装具である点から、脊柱側弯症という脊柱疾患に結びつけてしまうかもしれません。混同注意:ウィリアムズ型装具は腰椎用装具であり、脊柱側弯症に用いられる装具(ミルウォーキー型、ボストン型など)と機能や適応を混同しやすいかもしれません。
- 2. ミルウォーキー装具は主に思春期特発性脊柱側弯症の進行予防や矯正に用いられる、頚部まで及ぶ長尺の体幹装具です。腰部脊柱管狭窄症の治療には、一般的に体幹の過伸展を制限する軟性コルセットや硬性腰椎装具が使用されます。正しくは:ミルウォーキー装具を正しく組み合わせるなら「ミルウォーキー装具と脊柱側弯症」です。腰部脊柱管狭窄症に用いる装具は「腰部脊柱管狭窄症と腰椎ベルト(軟性コルセット)またはダーメンコルセット」などです。選びやすい理由:ミルウォーキー装具が脊柱の疾患に用いられることは知っていても、具体的な疾患を正確に覚えていない場合、脊柱管狭窄症も脊柱の疾患であるため、関連付けてしまう可能性があります。混同注意:ミルウォーキー装具と腰部脊柱管狭窄症に用いられる装具(腰椎コルセットなど)の機能と適応疾患を混同しやすいかもしれません。
- 3. 正解。交互歩行装具(RGO)は、胸髄レベル(Th12程度)の損傷による高度な下肢麻痺がある二分脊椎患者などに対し、骨盤帯と両側膝足継手付き長下肢装具をロッドで連結することで、体幹の動きを利用した交互歩行を可能にする装具です。Th12レベルであれば、体幹の保持能力と一部の股関節屈筋群の機能が期待でき、RGOの適応となることがあります。
- 4. オッペンハイマー型装具は、主に尺骨神経麻痺による鷲手変形(第4・5指のMP関節過伸展位)を矯正・予防するために用いられます。正中神経麻痺に対する装具ではありません。正しくは:正中神経麻痺では、母指の対立位を保持する対立装具(C字装具など)が用いられることがあります。オッペンハイマー型装具を正しく組み合わせるなら「オッペンハイマー型装具と尺骨神経麻痺」です。選びやすい理由:上肢の神経麻痺に対する装具であることは共通しているため、神経の種類と装具の名称を正確に覚えていないと、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:尺骨神経麻痺と正中神経麻痺による手の変形と、それぞれの装具の適応を混同しやすいかもしれません。
- 5. スウェーデン式膝装具は、膝関節の過伸展(反張膝)を予防・矯正するために使用される装具です。大腿神経麻痺では大腿四頭筋が麻痺し、膝関節の伸展力が低下するため、膝折れが生じやすくなります。過伸展の予防が主目的ではありません。正しくは:大腿神経麻痺による大腿四頭筋麻痺に対しては、膝関節の安定性を高めるためのKAFO(長下肢装具)などが検討されます。スウェーデン式膝装具を正しく組み合わせるなら「スウェーデン式膝装具と反張膝」です。選びやすい理由:膝関節の安定性に関わる装具であり、大腿神経麻痺も膝関節の機能に影響するため、関連付けてしまう可能性があります。特に、代償動作として反張膝を呈する場合もありますが、装具の直接的な適応とは異なります。混同注意:膝関節に作用する装具であることから、スウェーデン式膝装具の具体的な適応(反張膝)と、大腿神経麻痺によって生じる膝関節の不安定性(膝折れ)に対する装具の適応を混同しやすいかもしれません。
国試ポイント
装具の名称とその代表的な適応疾患・病態の正確な知識が問われています。特に、似たような疾患や部位に用いられる装具であっても、その具体的な機能や目的、対応する神経麻痺の種類を混同せずに覚えているかどうかが鍵となります。
混同注意
脊柱装具の種類(ウィリアムズ型、ミルウォーキー型、ボストン型など)とその適応(腰痛、側弯症、すべり症など)。上肢神経麻痺(正中神経、尺骨神経、橈骨神経)とそれによって生じる手の変形、および各変形に対する装具(対立装具、オッペンハイマー型、ナックルベンダー型など)。膝装具の種類(スウェーデン式膝装具、KAFOなど)とその適応(反張膝、大腿四頭筋麻痺など)。高度な下肢麻痺に対する歩行装具(RGO、パラウォーカーなど)とその適応レベル。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず装具の名称からその「主たる機能」と「対象となる解剖学的部位」を明確に想起します。次に、提示された疾患がその装具の機能と部位に合致するか、特に「具体的な病態(例:側弯、過伸展、神経麻痺の種類と症状)」が装具の目的と直接的に対応しているかを確認します。
関連知識
各装具の構造と機能原理。各疾患の病態生理と装具を用いた治療目標。神経麻痺の種類とそれに伴う筋力低下、感覚障害、および特徴的な肢位・変形。二分脊椎の機能残存レベルとそれに適した歩行能力および装具の選択。脊柱装具の種類と目的(固定、免荷、矯正など)。