温熱の局所反応で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
A線維(有髄神経)はC線維(無髄神経)よりも温度変化、特に冷却による影響を受けやすいことが知られています。これは、A線維の活動電位発生メカニズムがC線維とは異なり、温度による膜の透過性変化やイオンチャンネルの動態変化に敏感であるためと考えられています。温熱療法においては、Aδ線維からの痛覚伝達を抑制したり、筋紡錘のγ運動ニューロンの活動を抑制して筋緊張を緩和したりする効果が期待されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 加温によって血管が拡張し血流が増加するため、血液の粘性は低下する傾向にあります。粘性が増加すると血流は滞ります。正しくは:加温によって血液の粘性が減少する。選びやすい理由:一見すると血流増加に伴う変化に見えるかもしれないが、実際には逆の効果である。混同注意:血液の粘度と血流の関係性についての理解が不十分だと誤解しやすい。
- 2. 正解。有髄神経線維であるA線維は、無髄神経線維であるC線維よりも温度変化、特に冷却による伝導速度の低下の影響を受けやすいとされています。温熱療法では、この特性を利用して筋紡錘からの求心性入力を抑制し、筋緊張の緩和を図ることがあります。選びやすい理由:感覚神経の種類と温熱刺激への反応の関連性が問われているため、基本的な神経生理学の知識が必要となる。混同注意:神経線維の種類とそれぞれの特性、特に温熱(冷却)に対する反応の違いを正確に理解していないと迷いやすい。
- 3. 組織温度が1℃上昇すると代謝率はおよそ13%増加するとされています。2~3倍という表現は、より広範囲な温度変化や特定の極端な条件での話であり、一般的には誤りです。正しくは:組織温度が1℃上昇すると代謝率はおよそ13%増加する。選びやすい理由:代謝率が増加するという方向性は正しいが、増加の度合いが過大評価されているため誤りである。混同注意:「代謝が活発になる」という大まかな理解にとどまっていると、具体的な数値の誤りを見落としやすい。
- 4. 反射性血管拡張作用は、加温部位から離れた部位の血管が拡張する現象を指します。加温部位自身の循環増加は直接的な局所反応(直接血管拡張)です。反射性血管拡張は、皮膚温受容器からの求心性入力が脊髄を介して遠心性交感神経活動を抑制することで生じ、遠隔部位の血流を増加させます。正しくは:反射性血管拡張作用は、加温部位から離れた部位の循環が増加する現象である。選びやすい理由:血管拡張自体は温熱の効果として正しいが、「反射性」という言葉が指す範囲を誤解すると間違えやすい。混同注意:「反射性」の意味合いを理解せず、単に血管拡張と血流増加を結びつけてしまうと誤答しやすい。
- 5. 組織温度が1℃上昇した場合、神経伝導速度は約1.2~2.4m/sec増加するとされています。0.2m/secという数値は、実際の増加量よりもかなり小さいです。正しくは:組織温度が1℃上昇すると神経伝導速度は約1.2~2.4m/sec増加する。選びやすい理由:神経伝導速度が増加するという方向性は正しいが、増加の度合いが過小評価されているため誤りである。混同注意:神経伝導速度の増加は温熱の効果として正しいが、具体的な数値の記憶があいまいだと誤答しやすい。
国試ポイント
温熱療法の局所反応に関する生理学的知識が問われています。特に、血液の粘性、代謝率、神経線維の種類と温度感受性、血管拡張の種類(直接的か反射的か)、神経伝導速度の変化といった具体的な生理学的指標とその数値的変化を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
温熱がもたらす効果自体はイメージしやすいですが、それぞれの生理学的変化の具体的なメカニズム、変化の方向性、そして定量的な数値(何倍、何m/secなど)を正確に覚えているかが問われます。特に「反射性血管拡張」と「局所血管拡張」の違いや、A線維とC線維の温度感受性の違いは混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
温熱療法の全身反応や、冷却療法(寒冷療法)の局所反応についても理解を深めると良いでしょう。また、各物理療法が作用する生理学的なメカニズムを、他の治療法(電気療法、牽引療法など)と比較しながら学習することが重要です。
関連知識
温熱療法の禁忌事項(例:急性炎症、悪性腫瘍、重度の循環器疾患など)、深部温熱療法(超音波、極超短波)と表在温熱療法(ホットパック、パラフィン浴)の使い分け、温熱の鎮痛効果や筋緊張緩和効果のメカニズム(門脈制御説、γループの抑制など)。