20歳の女性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが膝関節の不安定感があり来院した。 他に損傷がなかった場合、優先すべき治療はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
問16の検査(後方引き出しテスト)が陽性で、後十字靱帯の損傷が考えられます。後十字靱帯損傷では脛骨が後方へ落ち込み、膝の後方不安定性が生じます。大腿四頭筋は脛骨を前方へ引き出す方向に働くため、後方不安定性を補う目的で、保存療法では大腿四頭筋の強化を優先します。受傷後1か月で疼痛は軽減しているため安静固定は不要で、ハムストリングスは脛骨を後方へ引くため、強化を優先しません(前十字靱帯損傷とは逆の考え方です)。
選択肢ごとの解説
- 1. 受傷から1か月が経過し疼痛は軽減しているため、安静固定を優先する時期ではありません。正しくは:後方不安定性を補う大腿四頭筋の強化を優先します。選びやすい理由:靱帯損傷の初期治療として思い浮かびやすい選択肢です。混同注意:急性期の対応と、受傷1か月後の対応
- 2. 水中歩行は荷重を減らした運動として使われますが、後十字靱帯損傷で最も優先する治療ではありません。正しくは:後方不安定性を補う大腿四頭筋の強化を優先します。選びやすい理由:膝にやさしい運動として選びやすい選択肢です。混同注意:荷重を減らした運動と、不安定性への筋力強化
- 3. 正解。大腿四頭筋は脛骨を前方へ引き出す方向に働き、後十字靱帯損傷による後方不安定性を補うため、最も優先されます(公式正答)。
- 4. 超音波療法は組織の治癒促進や疼痛の軽減を目的とした物理療法で、不安定性そのものは改善しません。正しくは:後方不安定性を補う大腿四頭筋の強化を優先します。選びやすい理由:治癒を促す物理療法として選びやすい選択肢です。混同注意:物理療法と運動療法の目的の違い
- 5. ハムストリングスは脛骨を後方へ引く方向に働くため、後十字靱帯損傷では強化を優先しません。前十字靱帯損傷で重視される筋です。正しくは:後十字靱帯損傷では大腿四頭筋の強化を優先します。選びやすい理由:膝靱帯損傷の筋力強化として覚えていると選びやすい選択肢です。混同注意:前十字靱帯損傷と後十字靱帯損傷で重視する筋
国試ポイント
後十字靱帯損傷の保存療法で、後方不安定性を補う筋(大腿四頭筋)の強化を選べるかが問われています。
混同注意
前十字靱帯損傷ではハムストリングスの強化が重視されますが、後十字靱帯損傷では大腿四頭筋の強化を優先します。
次に同じ論点が出たら
大腿四頭筋の筋力と膝の後方不安定性の経過を評価し、スポーツ復帰に向けた段階的な運動を計画する。
関連知識
後十字靱帯:脛骨の後方への移動を制動する。後方引き出しテスト・sagging signで評価する。大腿四頭筋は脛骨を前方へ、ハムストリングスは後方へ引く。