20歳の女性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが膝関節の不安定感があり来院した。 実施した検査を図に示す。矢印は力を加えた方向を示す。この検査で陽性となったとき、損傷されたのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図は後方引き出しテストを示しており、脛骨近位部を後方へ押し込むことで後十字靱帯の安定性を評価する検査です。この検査が陽性となった場合、後十字靱帯の損傷が強く疑われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 外側側副靱帯の損傷は、膝関節の屈曲位で内反ストレスを加える(Varus stress test)ことで評価されます。本問の検査は後方引き出しテストであり、評価対象が異なります。正しくは:後十字靱帯選びやすい理由:膝関節の安定性に関わる靱帯であるため、知識が曖昧だと選択してしまう可能性があります。混同注意:他の膝関節靱帯損傷の検査と混同しやすいです。
- 2. 正解。提示された図は後方引き出しテストを示しており、脛骨を後方に押し込む力を加えています。この検査で陽性(脛骨の後方への過度な移動)となれば、後十字靱帯の損傷が強く疑われます。
- 3. 前十字靱帯の損傷は、前方引き出しテストやLachmanテストなどで評価されます。これらは脛骨を前方に引き出す力を加える検査であり、本問の図とは力の加わる方向が逆です。正しくは:後十字靱帯選びやすい理由:前十字靱帯損傷は比較的頻度が高く、膝関節靱帯損傷の代表例として挙げられるため、誤って選択してしまうかもしれません。混同注意:後十字靱帯と前十字靱帯の検査方法や作用を混同しやすいです。
- 4. 腸脛靱帯は膝関節の外側に位置する大腿筋膜張筋の延長であり、膝の外側痛や滑液包炎の評価が主となります。膝関節の安定性を直接評価する本問の検査とは目的が異なります。正しくは:後十字靱帯選びやすい理由:膝関節周囲の組織であるため、深く考えずに選択してしまう可能性があります。混同注意:膝関節周囲の他の組織との機能や検査方法を混同しやすいです。
- 5. 内側側副靱帯の損傷は、膝関節の屈曲位で外反ストレスを加える(Valgus stress test)ことで評価されます。本問の検査は後方引き出しテストであり、評価対象が異なります。正しくは:後十字靱帯選びやすい理由:膝関節の安定性に関わる主要な靱帯の一つであるため、知識が不確かな場合に選択肢として考えてしまうかもしれません。混同注意:他の膝関節靱帯損傷の検査と混同しやすいです。
国試ポイント
膝関節の主要な靱帯損傷の鑑別には、それぞれの靱帯に対応する徒手検査の実施方法(特に力を加える方向と関節肢位)を正確に理解しておくことが重要です。図から検査内容を正確に読み取る能力が問われます。
混同注意
前十字靱帯損傷を評価する前方引き出しテストと、後十字靱帯損傷を評価する後方引き出しテストは、力を加える方向が逆になるため混同しやすいです。また、側副靱帯損傷を評価する外反/内反ストレス検査とも区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
この検査が陽性となった後、損傷の程度や合併損傷の有無をさらに詳しく評価するために、MRIなどの画像診断や関節鏡検査が検討されることがあります。また、リハビリテーション介入の計画立案には、損傷の重症度や患者の活動レベルを考慮します。
関連知識
膝関節の主要な靱帯には、前十字靱帯 (ACL)、後十字靱帯 (PCL)、内側側副靱帯 (MCL)、外側側副靱帯 (LCL) があります。それぞれの靱帯が安定性に関与する方向と、それを評価するための徒手検査(例:Lachmanテスト、前方引き出しテスト、後方引き出しテスト、Valgus stress test、Varus stress test)を体系的に学習することが望ましいです。