18歳の女子。動作時の足底部の痛みを訴えた。足底腱膜炎の診断で超音波治療を行う。正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では3・4のいずれも正解とされています。 超音波治療は、その熱作用と非熱作用を利用して組織の治癒を促進します。足底腱膜炎のような炎症を伴う病態では、熱作用を抑えつつ非熱作用を目的としてパルスモード(デューティサイクル20%や40%など)を選択することが一般的です。また、治療中に患者が痛みを訴える場合は、組織への過剰な刺激や損傷の可能性を示唆するため、直ちに照射強度を下げるなどして対応する必要があります。その他の選択肢は、周波数、強度、プローブの適用方法について誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 超音波治療器の一般的な周波数範囲は1MHzまたは3MHzであり、10MHzは非常に高周波で、主に画像診断(エコー検査)で使用される周波数です。治療用途では皮膚表面のごく浅い部分にしか届かず、足底腱膜には適していません。正しくは:足底腱膜炎のような深部の組織を治療する場合は、1MHzを選択することが多いです。浅部の組織であれば3MHzを使用します。選びやすい理由:周波数に関する知識がある人でも、具体的な数値まで正確に覚えていない場合、高周波の方が効果が高いと誤解して選んでしまう可能性があります。混同注意:超音波診断装置(エコー)の周波数と混同しやすいです。
- 2. 超音波治療器の一般的な照射強度は最大でも3.0W/cm²程度であり、10W/cm²は非常に高い強度で、組織に損傷を与える危険性があります。特に急性期や炎症がある場合は、より低強度で開始するのが一般的です。正しくは:一般的に、急性期には0.5W/cm²以下、慢性期でも1.0〜2.0W/cm²程度の強度を使用します。選びやすい理由:強度が高ければ治療効果も高いという誤解から、高い数値を選んでしまうかもしれません。混同注意:出力Wと強度W/cm²を混同しやすいほか、短時間で効果を出したいという思いから高強度を想像しやすいです。
- 3. 正解。超音波治療には、連続照射(100%)とパルス照射(デューティサイクル20%や40%など)があります。急性期の炎症を伴う病態や熱感がある場合、熱作用を抑えつつ非熱作用(細胞レベルでの生理学的効果)を目的とする際に、パルスモード(例えば20%や40%)が選択されることがあります。足底腱膜炎の急性期ではこの設定が適切です。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:デューティサイクルの具体的な数値は覚えているようで曖昧な場合があり、他の選択肢が明らかに間違いであると判断できれば、この選択肢が正答だと認識しやすいでしょう。混同注意:連続波とパルス波の使い分けや、デューティサイクルの具体的な割合の使い分けと混同することがあります。
- 4. 正解。超音波治療中に患者が痛みを感じることは、照射強度が強すぎる、プローブの動きが不適切、または組織が熱くなりすぎているなどの問題を示唆します。痛みを放置すると組織損傷のリスクがあるため、すぐに強度を下げるか、治療を中断して状況を確認することが重要です。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:患者の安全確保は医療の基本であるため、痛みに対する適切な対応として直感的に正しいと判断しやすいです。混同注意:痛みと温感の区別や、治療中の痛みが正常な反応だと誤解してしまうことと混同しやすいです。
- 5. 超音波は空気中ではほとんど伝わらないため、プローブはゲルなどの接触媒質を介して皮膚に密着させるか、水中法で行います。プローブを皮膚から5 cm以上離して行うことはしません。正しくは:プローブは皮膚に密着させ、間に超音波ゲルなどの接触媒質を塗布して使用します。選びやすい理由:一部の電気治療などでパッドを少し離すケースと混同したり、深部に到達させるために距離が必要だと誤解したりする可能性があります。混同注意:超音波検査でプローブをわずかに浮かせて画像調整を行うことや、電気治療器の電極の配置と混同することがあります。
国試ポイント
超音波治療の基本的な設定(周波数、強度、照射モード/デューティサイクル)と、治療中の安全管理(患者の訴えへの対応)が問われています。特に、急性期の病態に対する適切な設定や、患者の反応に応じた調整能力が重視されます。
混同注意
超音波治療の熱作用と非熱作用の使い分け、連続波とパルス波の選択基準、周波数(1MHzと3MHz)の使い分け、そして診断用超音波と治療用超音波の特性の違い。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、具体的な疾患に対する超音波治療の推奨設定(急性期と慢性期でのデューティサイクルの違い、周波数の使い分けなど)や、各設定項目(周波数、強度、デューティサイクル、照射時間)が組織に与える影響について問われる可能性があります。また、禁忌事項や注意すべき患者の状態についても確認が必要です。
関連知識
超音波の物理的特性(深達度と周波数の関係)、超音波の生理学的効果(熱作用、キャビテーション、音響流、微細振動)、足底腱膜炎の病態生理、禁忌事項(悪性腫瘍、妊娠初期、成長軟骨板など)。