Danielsらの徒手筋力テストを図に示す。対象となる筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下図のMMTは、被験者が肩関節を内旋位に保持し、検者がその内旋に対して抵抗を加えている様子を示しています。この評価肢位は、肩関節の強力な内旋筋である肩甲下筋の筋力を測定するために用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 棘上筋のMMTは、腕を外転させる動き(主に最初の30度)に対して抵抗を加えることで評価されます。図の肢位とは異なります。正しくは:棘上筋は腕の外転動作(特に初期)を担います。選びやすい理由:肩関節周辺の筋であるため、混乱しやすいかもしれません。混同注意:棘下筋(外旋)や小円筋(外旋)など、他の回旋筋腱板の筋と混同する可能性があります。
- 2. 僧帽筋のMMTは、肩甲骨の挙上(上部線維)、内転(中部線維)、下制(下部線維)など、肩甲骨の動きに対して抵抗を加えることで評価されます。図の肢位は肩関節の評価であり、僧帽筋の主作用ではありません。正しくは:僧帽筋は肩甲骨の運動に大きく関与します。選びやすい理由:肩関節の動きに間接的に関わるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、直接のターゲットではありません。混同注意:菱形筋(肩甲骨の内転・挙上)や肩甲挙筋(肩甲骨の挙上)など、肩甲骨周囲の筋と混同する可能性があります。
- 3. 菱形筋のMMTは、肩甲骨の内転・挙上動作に対して抵抗を加えることで評価されます。図の肢位とは異なる、主に肩甲骨を背骨に引き寄せるような動きが対象です。正しくは:菱形筋は肩甲骨の内転および挙上を主に行います。選びやすい理由:僧帽筋と同様に肩甲帯の筋であるため、混乱しやすいかもしれません。混同注意:僧帽筋中部線維(肩甲骨の内転)と混同しやすいです。
- 4. 正解。図に示されている徒手筋力テストの肢位は、肩関節を内旋させる動き(腕を体側に固定し、前腕を外に開く動き)に対して抵抗を加えている状態です。これは肩甲下筋を評価する際の代表的な方法であり、肩甲下筋は肩関節の強力な内旋筋であるため、この評価方法が適用されます。選びやすい理由:内旋筋である大円筋や広背筋と間違えやすいかもしれません。しかし、回旋筋腱板の構成筋であり、回旋動作の主要な筋として問われやすいです。
- 5. 上腕三頭筋のMMTは、肘関節の伸展動作に対して抵抗を加えることで評価されます。図の肢位は肘関節の動きではなく、肩関節の回旋運動を評価しているため、上腕三頭筋は該当しません。正しくは:上腕三頭筋は肘関節の伸展を主に行います。選びやすい理由:腕の筋肉であるため、選択肢の一つとして検討するかもしれませんが、肘関節と肩関節の作用を明確に区別することが重要です。混同注意:上腕二頭筋(肘関節屈曲、前腕回外)など、他の上肢の筋と混同する可能性があります。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)の肢位と対象筋の組み合わせは、理学療法士国家試験において頻出の知識です。特に回旋筋腱板を構成する筋の評価方法や、上肢・下肢の主要な筋の評価方法について、図を見ただけで判断できる正確な知識が求められます。単に名称を覚えるだけでなく、実際のテスト手技と作用筋の関係性を理解しておくことが重要です。
混同注意
肩関節の他の回旋筋(棘下筋、小円筋:外旋)や、大円筋・広背筋(内旋、伸展)と混同しやすいです。また、棘上筋(外転)や三角筋(外転、屈曲、伸展)など、肩関節の主要な運動筋との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の回旋筋腱板の筋(棘上筋、棘下筋、小円筋)のMMT肢位や、三角筋、大胸筋、広背筋などの主要な肩関節運動筋のMMT肢位が問われる可能性があります。また、MMTのグレード評価の判断基準や、特定疾患(例:腱板損傷)におけるMMT所見との関連性を問う問題も想定されます。
関連知識
回旋筋腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋から構成され、肩関節の安定性と運動に深く関与しています。それぞれの筋の作用とMMTの肢位を正確に理解しておくことは、臨床での評価においても不可欠です。また、DanielsらのMMTの評価基準(Grade 0-5)についても理解を深めておく必要があります。