ACT〈assertive community treatment〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
ACT(Assertive Community Treatment)は、重度の精神疾患を持つ人々が地域社会で安定した生活を送れるよう支援するための包括的かつ集中的なモデルです。選択肢2と3がこのモデルの重要な特徴を正確に表しています。ACTは、クライシス時の対応を含め24時間体制でサービスを提供し(選択肢2)、利用者の自宅や地域に直接出向き、短時間でも頻繁に介入を行うことで、密接なサポートを提供します(選択肢3)。これにより、入院の頻度を減らし、生活の質を向上させることを目指します。
選択肢ごとの解説
- 1. ACTでは、多職種連携を重視しますが、特定の職種が中心となるわけではありません。利用者中心の支援が原則であり、各専門職がそれぞれの役割を果たします。正しくは:多職種が協働し、利用者を中心としたチームアプローチを行う。選びやすい理由:医療介入が重要であるため、医師が中心と考える人もいるかもしれませんが、ACTは包括的な支援であり、医師の役割はその一部です。混同注意:チーム医療全般における医師の役割と、ACTにおける多職種連携の特性を混同する可能性があります。
- 2. 正解。ACTの重要な特徴の一つは、利用者の緊急時や状況の変化に即応できるよう、24時間365日の対応体制が整っていることです。選びやすい理由:24時間対応は重度な利用者支援に不可欠な要素です。
- 3. 正解。ACTは、利用者の生活の場に直接出向き、日常的なサポートを頻繁に提供することで、地域での生活の安定を目指します。短時間でも頻回な訪問が効果的です。選びやすい理由:介入の質と量を確保するためには、密な関わりが重要です。
- 4. ACTは利用者一人ひとりに対して手厚く個別的な支援を行うため、スタッフ1人あたりのケース数は少人数(例: 10人前後)が推奨されています。50名では個別のニーズに対応しきれません。正しくは:スタッフ1人あたりのケース数を少人数(約10人前後)にする。選びやすい理由:一般的な外来診療やデイケアと比較して、スタッフあたりの人数がそこまで厳しくないと考えてしまうかもしれませんが、ACTは集中的な介入です。混同注意:一般的な地域精神保健サービスにおけるケースマネジメントの標準的なケース負荷と、ACTの集中的・個別的な支援におけるケース負荷を混同する可能性があります。
- 5. ACTの主な対象は、重度の精神障害により地域生活に困難を抱えている利用者です。入院を繰り返す、ホームレス状態である、複数の合併症があるなど、従来のサービスでは対応が難しいケースに適用されます。正しくは:地域での生活が不安定で、集中的な支援を必要とする重度の精神障害者が対象である。選びやすい理由:地域生活支援という言葉から、ある程度の自立が可能な軽度者も対象と誤解するかもしれませんが、ACTはより困難な状況にある人々を支えるために開発されました。混同注意:精神科デイケアや訪問看護など、他の地域精神保健サービスの一部とACTの対象を混同する可能性があります。
国試ポイント
ACTの基本的な理念、対象者、サービス提供体制、介入方法について問われることが多いです。特に、従来の精神科医療や地域支援サービスとの違いを理解しているかが重要です。
混同注意
他の地域精神保健サービス(例: 精神科訪問看護、地域活動支援センター、一般的なケースマネジメント)との違い、特にサービスの対象者や提供体制(時間帯、頻度、スタッフ体制)に関する点が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、ACTの具体的な効果、費用対効果、各国での普及状況、そしてACTと連携する他の地域資源について確認すると良いでしょう。また、支援計画の作成プロセスや利用者の自己決定支援についても問われる可能性があります。
関連知識
ACTの歴史的背景(脱施設化の流れ)、多職種チームの構成(精神科医、看護師、PSW、作業療法士など)、エビデンスに基づく実践(EBP)としての位置づけ、類似の地域支援モデル(ICM: Intensive Case Managementなど)との比較。