うつ病の患者への対応として適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
うつ病の患者に対し、病名を隠すことは不適切です。正確な情報提供は、患者が自身の病状を理解し、治療に主体的に取り組むための第一歩となります。病名を伏せることで、患者は自身の症状の原因を理解できず、不安や孤立感を深める可能性があります。適切な心理教育と病状説明を通して、患者が病気と向き合い、治療に積極的に関与できるよう支援することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性期のうつ病患者は心身ともに疲弊しているため、休息は非常に重要です。活動を無理強いせず、まずは心身の回復を優先させることが適切です。正しくは:急性期には、活動を制限し、休息を十分に取らせることが適切です。選びやすい理由:一見すると活動を推奨しないように見えるため、不適切だと誤解するかもしれませんが、これは適切な対応です。混同注意:リハビリテーションといえば活動を促すイメージがあるため、休息を推奨することに違和感を覚えるかもしれませんが、うつ病の急性期においては休息が治療の第一歩です。
- 2. 自殺念慮がみられるうつ病の患者に対して「自殺しないように約束させる」ことは、衝動的な行動を防ぐための対応の一つとされ、適切な対応に含まれます。正しくは:自殺念慮を表明した場合は、共感的に傾聴し、その感情を受け止めた上で、精神科医や専門機関への連携を速やかに行います。安易な約束はさせません。選びやすい理由:患者の安全確保のためには約束させることが良いと直感的に感じるかもしれませんが、それはかえって患者の負担になります。混同注意:患者の安全確保の義務と、患者の心理的負担を考慮する配慮とのバランスです。
- 3. うつ病の症状として、集中力の低下、判断力の低下、悲観的な思考などがみられます。この状態で重要な決定をすることは、後悔につながる可能性が高いため、症状が安定するまで延期を促すことは適切な対応です。正しくは:判断力が低下している時期には、大きな決断をしないようサポートし、決定の延期を促します。選びやすい理由:患者の自律性を尊重しないように見えるかもしれませんが、判断力が低下している状況下での重要な決定は患者にとって不利益になる可能性が高いため、配慮として適切です。混同注意:患者の自己決定権と、病状による判断能力の低下を混同しやすいです。
- 4. 抗うつ薬は治療の重要な要素であり、その効果や副作用について患者が理解することは、服薬アドヒアランスの向上につながります。医師と情報を共有し、理学療法士として可能な範囲で副作用についての情報提供や、副作用による身体症状(例:めまい、ふらつきなど)への対処法を助言することは適切です。正しくは:服薬に関する情報は医師との連携が必須であり、その上で患者が安心して治療を受けられるよう、副作用についての説明や対処法の助言は重要です。選びやすい理由:薬の専門家は医師や薬剤師であるため、理学療法士が副作用について説明することに抵抗を感じるかもしれませんが、適切な範囲での情報提供は患者支援として重要です。混同注意:理学療法士の職域外と捉えがちですが、医師との連携のもとでの情報提供や身体症状への対処は患者支援の一部です。
- 5. 正解。患者に病名を告知しないことは、患者の治療への主体的な参加を妨げ、病気への理解や対処能力を低下させます。正確な病名と病状を伝え、患者が病気を受け入れ、治療に積極的に関わることを促すのが適切です。正しくは:うつ病であることを患者に正確に伝え、病状や治療方針について十分に説明し、患者が病気と向き合えるよう支援します。選びやすい理由:患者のショックや心理的負担を考慮して、病名を伏せることが親切だと誤解しがちですが、これは長期的な治療の妨げになります。混同注意:病名の告知が患者の精神状態を悪化させる可能性と、病状理解による治療への積極的関与の重要性を混同しやすいです。
国試ポイント
うつ病患者への心理的・身体的ケアの原則と、医療従事者としての適切なコミュニケーションが問われています。特に、患者の自己決定権の尊重、病状に対する理解の促進、および安全確保のバランスを理解しているかが重要です。
混同注意
患者の精神的負担を考慮するあまり、情報提供を控えることが「優しさ」と誤解されがちですが、長期的な視点で見ると患者の治療参加を阻害します。病名告知は適切なタイミングと方法で行われるべきですが、隠すべきものではありません。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、患者の権利(情報に対する権利、自己決定権など)と、治療効果を最大化するための医療従事者の役割(心理教育、安全確保、多職種連携)の観点から判断します。
関連知識
うつ病の治療においては、薬物療法だけでなく、精神療法、心理教育、環境調整、そして理学療法などの非薬物療法も重要です。理学療法士は、運動療法だけでなく、患者の精神状態に配慮したコミュニケーションや、適切な情報提供が求められます。