移植片対宿主病〈graft versus host disease:GVHD〉について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
GVHDは、ドナーの免疫細胞がレシピエントの体を攻撃する免疫反応です。特に皮膚、肝臓、消化管(腸管)が標的となりやすく、これらの臓器で様々な症状を引き起こします。選択肢1は、GVHDの好発部位の一つとして腸管が挙げられるため、正しい記述です。他の選択肢は、GVHDの予後、発生機序、関与する免疫細胞、予防法に関して誤った情報を提供しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。GVHDは、皮膚、肝臓、消化管(特に腸管)に好発することが知られています。これらの臓器は免疫反応が起こりやすい環境にあり、標的臓器となりやすいです。
- 2. GVHDは重症化すると多臓器不全を引き起こし、生命を脅かす重篤な合併症であり、必ずしも予後良好とは限りません。特に急性GVHDは死亡率が高いです。正しくは:GVHDは重症化すると予後不良となる場合があります。選びやすい理由:症状が軽度であれば回復することもあるため、安易に予後良好と判断してしまう可能性があります。混同注意:他の移植後合併症と予後を混同する可能性があります。
- 3. GVHDは、同種移植(特に骨髄移植など)において、ドナーのリンパ球がレシピエントの組織を異物と認識して攻撃することで発生します。自己移植(自己遊離皮弁術など)では、ドナーとレシピエントが同一であるため、この現象は起こりません。正しくは:GVHDは同種移植後に生じるものです。選びやすい理由:「移植」というキーワードから、あらゆる移植に起こると誤解する可能性があります。混同注意:同種移植と自己移植の違い、およびGVHDの発生機序を混同する可能性があります。
- 4. GVHDの主な原因となるのは、ドナー由来のTリンパ球(T細胞)によるレシピエントの組織に対する免疫攻撃です。好中球は炎症反応に関与しますが、GVHDの主要な免疫担当細胞ではありません。正しくは:GVHDはドナー由来のTリンパ球による免疫反応です。選びやすい理由:炎症反応全般に好中球が関与するため、選択肢としてもっともらしく見えます。混同注意:自然免疫(好中球)と獲得免疫(Tリンパ球)の役割を混同する可能性があります。
- 5. GVHDは主にHLA(ヒト白血球型抗原)の一致度が重要であり、血液型の一致だけでは発症を完全に防ぐことはできません。HLAの一致度が高くても発症することがあります。正しくは:血液型の一致だけではGVHDの発症を完全に防ぐことはできません。選びやすい理由:血液型不適合が移植の大きな障壁となるため、血液型一致が重要であると誤解しやすいです。混同注意:血液型抗原とHLA抗原(主要組織適合性複合体)の違いを混同する可能性があります。
国試ポイント
GVHDの基本的な病態生理、好発部位、関与する免疫細胞、および他の移植合併症との鑑別に関する知識が問われています。特に、同種移植に特有の現象であることと、Tリンパ球が中心的な役割を果たすことを理解しているかが重要です。
混同注意
自己移植と他家移植の違い、GVHDの予後と他の移植後合併症の予後、Tリンパ球と他の免疫細胞の役割、HLA型と血液型の違い。
次に同じ論点が出たら
このテーマで再び問題が出題される場合、GVHDの具体的な症状(皮膚、肝臓、消化管それぞれの症状)、急性GVHDと慢性GVHDの鑑別点、治療薬の作用機序、あるいは重症度分類などが問われる可能性があります。
関連知識
GVHDの分類(急性/慢性)、症状、治療法(免疫抑制剤)、予防策(HLA適合ドナーの選択、T細胞除去など)。