細胞小器官のうちATPを合成するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ミトコンドリアは、好気呼吸の中心的な役割を担う細胞小器官であり、糖や脂肪酸などの有機物を分解し、電子伝達系と酸化的リン酸化を通じて、細胞活動に必要なエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)を効率的に大量に合成します。このため、「細胞の発電所」とも称されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 小胞体はタンパク質の合成、修飾、輸送、脂質の合成、カルシウムイオンの貯蔵などに関与しますが、ATPの主要な合成場所ではありません。正しくは:ATPは合成せず、代わりにタンパク質や脂質の合成を行います。選びやすい理由:細胞内の重要な器官であり、多くの代謝機能を持つため、エネルギー産生にも関わると誤解される可能性があります。混同注意:細胞のエネルギー代謝全体の一部を担う他の器官(例えば、解糖系が行われる細胞質基質)との役割分担が不明瞭な場合に誤って選ばれるかもしれません。
- 2. 中心小体は細胞分裂時の紡錘体形成や、繊毛・鞭毛の基部形成に関与する微小管の組織中心ですが、ATPの合成機能はありません。正しくは:ATPは合成せず、細胞分裂における染色体分離や繊毛・鞭毛の形成に関与します。選びやすい理由:細胞の重要な機能に関わるため、エネルギー産生も行うと誤解されるかもしれません。混同注意:細胞分裂における役割が強いので、他のエネルギー代謝に関わる器官と混同する可能性は低いですが、細胞の重要な機能の一つとして漠然と選ばれる可能性があります。
- 3. ゴルジ装置は小胞体から送られてきたタンパク質や脂質を修飾、選別、濃縮し、細胞外へ分泌したり、他の細胞内小器官へ輸送したりする役割を担いますが、ATPの主要な合成場所ではありません。正しくは:ATPは合成せず、タンパク質や脂質の修飾・選別・輸送を行います。選びやすい理由:小胞体と同様に、細胞内の物質輸送や加工といった重要な代謝機能に関わるため、エネルギー産生にも間接的に関わると思われがちですが、直接的なATP合成は行いません。混同注意:小胞体と連携して機能するため、その役割と混同しやすいですが、ATP合成とは直接関連しません。
- 4. リソゾームは細胞内の不要な物質や老化した細胞小器官を分解する「細胞の消化器官」としての役割を持ちますが、ATPの合成機能はありません。正しくは:ATPは合成せず、細胞内の不要物や異物の分解を担います。選びやすい理由:分解過程でエネルギーを消費する場面もありますが、自らATPを合成するわけではないため、その機能と混同されることがあります。混同注意:細胞の維持に不可欠な機能を持つため、ATP合成というエネルギー代謝の根幹を担う機能と誤解されるかもしれませんが、役割は全く異なります。
- 5. 正解。ミトコンドリアは酸素呼吸の最終段階である電子伝達系と酸化的リン酸化が行われ、大量のATPが合成されます。そのため「細胞の発電所」とも呼ばれます。
国試ポイント
細胞小器官の主要な機能に関する基礎知識が問われています。特にミトコンドリアがATP合成の中心であるという、細胞生物学の基本的な理解が不可欠です。他の細胞小器官の機能(タンパク質合成、分解、輸送など)との区別を明確にすることが重要です。
混同注意
細胞質基質(解糖系)、葉緑体(植物細胞における光合成によるATP合成)、小胞体やゴルジ装置(物質合成や輸送に関わるが直接的なATP合成ではない)といった、細胞内でエネルギーに関連する他のプロセスや器官と混同する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各細胞小器官の特定の機能だけでなく、それらが細胞全体の機能や連携においてどのような役割を果たすか、あるいは病態と関連付けて問われる可能性があります。また、ATP以外のエネルギー分子(GTP、NADH、FADH2など)の産生場所や利用についても理解しておく必要があります。
関連知識
* 解糖系:細胞質基質で行われ、少量のATPを合成する(酸素なしでも可能)。* クエン酸回路(TCA回路):ミトコンドリアのマトリックスで行われ、ATP、NADH、FADH2を生成。* 電子伝達系と酸化的リン酸化:ミトコンドリアの内膜で行われ、NADHやFADH2を利用して大量のATPを合成。* 各細胞小器官の機能:小胞体(タンパク質・脂質合成、カルシウム貯蔵)、ゴルジ装置(タンパク質・脂質修飾、選別、輸送)、リソソーム(細胞内消化、分解)、中心小体(細胞分裂時の紡錘体形成)