遺伝情報伝達について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
mRNAの3つの連続した塩基配列をコドンと呼び、各コドンが特定のアミノ酸を指定する。この原則は遺伝暗号の基礎であり、遺伝情報がDNAからRNA、そしてタンパク質へと伝達される際の重要なステップである。
選択肢ごとの解説
- 1. DNAは通常、二重らせん構造をとる生体高分子である。三重らせん構造は特殊な条件下や特定のDNA配列で観察されることもあるが、一般的な染色体DNAの基本構造ではない。正しくは:染色体に含まれるDNAは、通常、二重らせん構造を形成している。選びやすい理由:DNAがらせん構造を持つという大まかな知識は正しいが、「三重」という部分に注意が向かないと、正しい記述だと誤解してしまう可能性がある。混同注意:DNAの基本的な二重らせん構造と、特殊な条件下で形成される稀なDNA構造(例:H-DNA)を混同している。
- 2. DNAの遺伝情報は、タンパク質合成の際にまずmRNA(メッセンジャーRNA)に転写される。tRNA(転移RNA)は、mRNAのコドンに対応するアミノ酸をリボソームへ運ぶ役割を担うRNAであり、タンパク質をコードする遺伝情報そのものがtRNAに転写されるわけではない(tRNA自体はDNAから転写されて合成される)。正しくは:DNAの遺伝情報は、まずmRNAに転写されて伝えられる。選びやすい理由:DNAから各種RNAが転写されるという知識は正しいが、tRNAが運ぶ情報(アミノ酸)と、mRNAが運ぶ情報(タンパク質の設計図である塩基配列)を混同すると誤って選択してしまう可能性がある。混同注意:タンパク質をコードする遺伝情報がDNAからmRNAへ転写される過程と、DNA上のtRNA遺伝子からtRNA分子が転写されて作られる過程を混同している。tRNAは翻訳プロセスに不可欠な分子だが、遺伝情報そのものを運ぶメッセンジャーではない。
- 3. スプライシングは主に、真核生物のmRNA前駆体(pre-mRNA)からイントロンを除去し、エキソンを連結する過程を指す。リボソームRNA(rRNA)の成熟過程では、前駆体からの切断や化学修飾が行われるが、一般的に「スプライシング」という言葉で指されるようなイントロン除去は主要な過程ではない(一部の真核生物やオルガネラではrRNAにもイントロンがあり、スプライシングを受ける場合もあるが、一般的な記述としては不適切である)。正しくは:メッセンジャーRNA(mRNA)前駆体は、通常、スプライシング処理を受ける。選びやすい理由:RNAが細胞内で様々なプロセシングを受けることは事実であり、その中でスプライシングという用語に親しんでいると、rRNAにも当てはまるように誤解しやすい。混同注意:mRNAのスプライシングと、rRNAの成熟過程で行われる切断や修飾といった、異なる種類のRNAプロセシングを混同している。
- 4. 正解。mRNA上の3つの連続する塩基の配列はコドンと呼ばれ、それぞれが特定のアミノ酸に対応する。このコドンによって、タンパク質合成の際にどのようなアミノ酸が順序良く結合していくかが決定される。これは遺伝暗号の基本原理である。
- 5. イントロンは、遺伝子の中でタンパク質をコードしない領域である。mRNA前駆体からスプライシングによって除去され、最終的にタンパク質へ翻訳されるのは、イントロンが除去された後に残るエキソン(タンパク質をコードする領域)の遺伝情報のみである。正しくは:ゲノム中に存在するエキソンの遺伝情報は、タンパク質へと翻訳される。選びやすい理由:遺伝子全体がタンパク質合成に関与しているという漠然とした知識から、イントロンも翻訳されると誤解してしまう可能性がある。特にイントロンの役割について詳細な知識が不足していると、誤答しやすい。混同注意:遺伝子内のエキソン(翻訳される領域)とイントロン(翻訳されない領域)の役割と機能を混同している。
国試ポイント
遺伝情報伝達の基本原理(セントラルドグマ)に関する知識を問う問題。特にDNAの構造、転写、翻訳、およびRNAの種類と機能、スプライシング、遺伝暗号といった基礎的な概念の理解が求められる。各過程や構成要素の役割を正確に把握しているかを確認している。
混同注意
DNAの二重らせん構造と三重らせん構造、mRNA、tRNA、rRNAのそれぞれの機能と役割、転写と翻訳の対象、エキソンとイントロンの区別、スプライシングの対象などを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、遺伝子発現の各段階(複製、転写、翻訳)で関わる主要な酵素や因子、およびそれぞれのRNAの種類(mRNA, tRNA, rRNA)が具体的にどのような役割を担うかについて、さらに詳細な知識が問われる可能性がある。また、真核生物と原核生物での遺伝子発現制御の違い(例:オペロン、クロマチン構造)についても注意を払うべきである。
関連知識
セントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)、DNAの構造(二重らせん、塩基対合)、RNAの種類と機能(mRNA: 遺伝情報伝達、tRNA: アミノ酸運搬、rRNA: リボソーム構成)、転写(DNAからRNAへの情報コピー)、翻訳(mRNA情報からタンパク質合成)、遺伝暗号(コドン、縮重性)、スプライシング(mRNA前駆体からのイントロン除去、エキソン結合)、エキソンとイントロン