身体計測の結果を図に示す。厚さ3 cmのクッションを用いる場合の車椅子の基本寸法で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・5のいずれも正解とされています。 車椅子選定における肘掛けの高さは、座面からの高さにクッションの厚みを加え、肘関節が90度に曲がる程度が適切であり、この場合は座高20cmにクッション厚3cmを加え、さらに余裕を持たせて23cmとする。座幅は、臀部の最大幅に左右それぞれ1.5cm〜2.5cmのゆとりを加えることで、適切な移乗や姿勢保持が可能となるため、大転子間幅35cmに5cmを加えた40cmが正しい。
選択肢ごとの解説
- 1. 背もたれ高は腋窩から座位面までの高さである腋窩高から10〜15cm引いた値が適切であり、選択肢の45cmでは高すぎる。図の腋窩高は25cmであり、ここから10〜15cm引くと10〜15cmとなる。この患者の腋窩高は座位から腋窩まで25cmと図示されている。正しくは:背もたれ高: 10〜15cm選びやすい理由:背もたれ高は腋窩高より低く設定することを考慮せず、そのままの数値を採用してしまう可能性がある。混同注意:背もたれが高すぎると肩甲骨の動きが妨げられ、腕を動かしにくくなること、低すぎると体幹支持性が低下すること。
- 2. 正解。肘掛けの高さは、肘掛けに肘を置いたときに肘関節が90度程度となるように設定する。座面から肘頭までの高さにクッションの厚みを加え、さらに1〜2cm程度のゆとりを持たせるのが適切である。図の肘頭までの高さが20cm、クッション厚が3cmのため、20cm + 3cm = 23cmが適切である。選びやすい理由:肘掛けの高さの基準を座面から肘頭までの高さに固定し、クッションの厚みを足すことを忘れてしまう。混同注意:肘掛けの高さは、肘関節を90度程度に保つことで、肩への負担軽減や安定した姿勢保持に寄与する。高すぎると肩が挙上し、低すぎると体幹が傾斜する。
- 3. シート長(座長)は、大腿部の長さである大腿長から3〜5cm程度引いた値が適切である。図の大腿長は43cmであるため、43cm - (3〜5cm) = 38〜40cmが適切となる。選択肢の43cmでは長すぎる。正しくは:シート長(座長): 38〜40cm選びやすい理由:大腿長をそのままシート長として採用してしまう。シート長が長いと膝窩部が圧迫され、血行障害や褥瘡の原因となることを考慮しない。混同注意:シート長が長すぎると下腿後面の圧迫による血行障害や褥瘡のリスクが高まる。短すぎると大腿部を十分に支えられず、安定した座位が保ちにくい。
- 4. フットプレートの高さは、膝窩から踵までの高さである膝窩高からクッションの厚みを引いた値から、さらに2〜3cm程度のゆとりを引いた値が適切である。図の膝窩高は38cm、クッション厚は3cmのため、38cm - 3cm - (2〜3cm) = 32〜33cmが適切となる。選択肢の38cmでは高すぎる。正しくは:膝窩からフットプレート: 32〜33cm選びやすい理由:膝窩高をそのままフットプレートの高さとして採用してしまう。クッションの厚みを引くことを忘れてしまう。混同注意:フットプレートが高すぎると膝関節の屈曲が強くなり、大腿部の圧迫が増加する。低すぎると足が地面に触れてしまい、駆動の妨げになる。
- 5. 正解。座幅は、臀部の最大幅である大転子間幅に、左右それぞれ1.5cm〜2.5cm程度のゆとりを加えた値が適切である。図の大転子間幅は35cmであるため、35cm + (1.5cm×2)〜(2.5cm×2) = 38cm〜40cmが適切となる。選択肢の40cmは適切な範囲内である。選びやすい理由:大転子間幅をそのまま座幅として採用してしまう。または、ゆとりを多く見積もりすぎてしまう。混同注意:座幅が広すぎると体幹の側弯や姿勢の不安定、狭すぎると大転子部などの圧迫による褥瘡のリスクが高まる。
国試ポイント
車椅子の各部位の採寸方法と、身体計測値から適切な寸法を算出する知識
混同注意
クッションの厚みを考慮する部位としない部位の区別。身体計測値がそのまま車椅子寸法になるわけではなく、適切なゆとりや調整が必要であることを理解する。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、まず問題文中のクッションの厚みを確認し、その上で各選択肢が示す車椅子寸法が、身体計測値に対して適切な計算(ゆとりや引き算)がされているかを確認する。
関連知識
車椅子のシート高は膝窩高にクッション厚を加えてマイナス2〜3cm、シート長は下腿長からマイナス3〜5cm、背もたれ高は腋窩高からマイナス10〜15cmが一般的である。各部位の寸法が不適切な場合の身体への影響(例:座幅が広すぎると側弯、狭すぎると褥瘡)。