58歳の女性。5年前に子宮頸癌の手術を行った。2年前から右下肢にリンパ浮腫が出現し、弾性ストッキングを着用していた。1年前から安静臥位で右下肢を挙上しても浮腫が改善せず、皮膚が固くなり非圧窩性浮腫が認められたため、週1回外来で理学療法を実施していた。2日前に蜂窩織炎を発症し、現在、薬物療法中である。対応として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
蜂窩織炎は感染による炎症性疾患であり、患部の冷却は炎症症状(熱感、疼痛)の緩和に有効である。他の選択肢は蜂窩織炎の急性期には禁忌または適切ではない。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。蜂窩織炎は感染による炎症反応であり、患部の冷却は炎症症状(熱感、疼痛)の緩和に有効です。また、炎症に伴う発熱の軽減にも寄与します。正しくは:患部を適切に冷却する。選びやすい理由:炎症期に冷却は有効だが、冷やしすぎは避けるべきと迷うかもしれない。混同注意:他の選択肢が明確に禁忌であるか、適切でないため、相対的に最も適切な対応として選択される。
- 2. 蜂窩織炎は皮膚のバリア機能が低下している場合に起こりやすく、リンパ浮腫の患者は皮膚が乾燥しやすく感染リスクが高いため、スキンケアは感染予防の観点からも継続して行うべきです。中断することで皮膚の状態が悪化し、さらなる感染リスクを高める可能性があります。正しくは:スキンケアは継続し、むしろより丁寧に行う。選びやすい理由:炎症があるから触らない方が良いと誤解するかもしれない。混同注意:感染を避けるために患部に触れない方が良いという考えから誤って選択されることがある。
- 3. 蜂窩織炎の急性期には、患部の安静が原則です。圧迫下での運動は炎症を悪化させる可能性があり、また蜂窩織炎の症状(発熱、疼痛、発赤)がある間は禁忌とされています。正しくは:蜂窩織炎の炎症が治まるまでは、運動を控え安静を保つ。選びやすい理由:リンパ浮腫に対する一般的な運動療法と混同する。混同注意:リンパ浮腫治療の基本である圧迫療法や運動療法を、炎症期にも適用しようと考えることで誤って選択されることがある。
- 4. 蜂窩織炎の急性期において用手的リンパドレナージは禁忌です。炎症を全身に広げるリスクがあり、症状を悪化させる可能性があります。正しくは:蜂窩織炎の炎症が治まってから、慎重にリンパドレナージを開始する。選びやすい理由:リンパ浮腫治療の主要な手技であるため、症状緩和に繋がると思い込む。混同注意:リンパ浮腫の治療法として有効であるため、現状で必要な治療と考えてしまうことがある。
- 5. TENSは疼痛緩和などに用いられますが、蜂窩織炎のような急性炎症性疾患の患部への直接的な電気刺激は、炎症を悪化させるリスクや感染を広げるリスクがあり、禁忌とされています。正しくは:蜂窩織炎の炎症が治まるまでTENSは行わない。選びやすい理由:疼痛緩和のためにTENSを使用したいと考えるかもしれない。混同注意:疼痛緩和効果を期待して選択してしまうことがあるが、炎症部位への適用は避けるべきである。
国試ポイント
リンパ浮腫に合併しやすい蜂窩織炎の急性期における理学療法の適切な対応を問う問題。急性炎症期の禁忌事項と、炎症症状の緩和策を理解しているかが重要となる。
混同注意
リンパ浮腫に対する通常の治療(運動、圧迫、ドレナージ、スキンケア)と、蜂窩織炎急性期における禁忌事項が混同されやすい。
次に同じ論点が出たら
蜂窩織炎の症状が治まった後、どのタイミングでリンパ浮腫の複合的理学療法を再開するか、またどのような点に注意して進めるべきか。
関連知識
蜂窩織炎の症状、リンパ浮腫と蜂窩織炎の関連性、急性炎症期における理学療法の原則、リンパ浮腫複合的理学療法の各要素の禁忌事項。