冠状動脈で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心室中隔の前方2/3は、左冠状動脈の前下降枝によって栄養されています。これは冠状動脈の主要な支配領域の一つであり、心筋梗塞などでこの部位の虚血が起こると重篤な症状を呈することがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 冠状動脈は、大動脈弁の「上部」、すなわちバルサルバ洞から分岐します。心室側ではありません。正しくは:大動脈弁のバルサルバ洞から起始する。選びやすい理由:大動脈と関連が深いため、起始部が心室側と誤解されやすい。混同注意:大動脈弁の構造や、大動脈の起始部と冠動脈の起始部が混同されやすい。
- 2. 心臓の冠状動脈には、部分的ながら吻合(側副血行路)が存在します。特に、慢性的な虚血状態ではこれらの吻合が発達し、血流維持に寄与することが知られています。完全に吻合がないわけではありません。正しくは:左右の冠状動脈は部分的に吻合する。選びやすい理由:主要な冠状動脈が終動脈として機能する側面があるため、吻合が少ないという印象から「全く吻合しない」を選びがち。混同注意:主要な冠状動脈の機能的終動脈としての側面と、側副血行路の存在が混同されやすい。
- 3. 房室結節への血流供給は、約90%が右冠状動脈によって行われます。左冠状動脈(特に回旋枝)が供給するのは約10%に過ぎません。正しくは:右冠状動脈が主に房室結節への血流供給を担う。選びやすい理由:左冠状動脈が心筋の広範囲を支配するため、結節系にも関与すると考えやすい。混同注意:洞房結節への血流供給(右冠状動脈)と混同したり、心臓全体への血流支配と結節系への血流支配が混同されたりする。
- 4. 前下降枝(左前下行枝)と回旋枝は、左冠状動脈の主要な分岐です。右冠状動脈は、通常、後室間枝や右縁枝などに分岐します。正しくは:左冠状動脈は前下降枝と回旋枝に分岐する。選びやすい理由:冠状動脈の主要な枝の名前は知っていても、左右どちらに属するかが曖昧な場合に選びやすい。混同注意:左冠状動脈の主要な分岐と右冠状動脈の主要な分岐が混同されている。
- 5. 正解。左冠状動脈の前下降枝は、心室中隔の前方2/3、心尖部、左心室前壁、右心室の一部に血液を供給します。これは解剖学的に正しい記述です。
国試ポイント
冠状動脈の起始部、主要な分岐とその支配領域、主要な伝導系への血流供給源、および吻合の有無に関する基本的な解剖学的知識が問われる。特に、左冠状動脈と右冠状動脈の主要な枝と、それらがどの心筋領域を栄養しているかを正確に理解しているかが重要。
混同注意
各冠状動脈の主要な枝の名称とその支配領域、特に心室中隔や伝導系への供給動脈が混同されやすい。また、冠状動脈の起始部位や吻合の有無についても誤解が生じやすい。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われる場合は、特定の心筋梗塞の部位と、それに伴う合併症(例:伝導障害)の原因となる冠状動脈の閉塞、あるいは心臓移植後の冠状動脈の評価など、臨床応用と結びつけた問題が出題される可能性がある。各冠動脈の支配領域の具体的な部位(例:後壁、側壁など)まで詳細に問われることも考えられる。
関連知識
心臓の解剖学(大動脈弁、心室中隔、房室結節、洞房結節)、冠状動脈の主要な枝(左主幹部、前下降枝、回旋枝、右冠状動脈、後室間枝、右縁枝など)の名称と支配領域、側副血行路の生理的意義。