腸管におけるカルシウム吸収を低下させるのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
副腎皮質ホルモンの過剰分泌や長期投与は、腸管でのカルシウム吸収を阻害し、尿中へのカルシウム排泄を促進することで、骨代謝に悪影響を及ぼします。また、リンの過剰摂取は、腸管内でカルシウムと結合して吸収を阻害するだけでなく、腎臓での活性型ビタミンD産生を抑制し、間接的にもカルシウム吸収を低下させます。これらは骨粗鬆症のリスク因子として重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. エストロゲンは骨吸収を抑制し、カルシウムの排泄を減少させることで、間接的に血中カルシウム濃度を維持する働きがありますが、腸管での直接的なカルシウム吸収促進作用は主要ではありません。むしろ、カルシウムバランスを良好に保つ方向に作用します。正しくは:エストロゲンは、骨代謝において骨吸収抑制作用を持つホルモンです。腸管カルシウム吸収を直接的に増やすわけではありませんが、カルシウムバランスには良い影響を与えます。選びやすい理由:ホルモンであるため、カルシウム代謝に影響を与えると思われがちですが、主に骨代謝への作用が大きいです。混同注意:他のカルシウム代謝に関わるホルモン(副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDなど)との機能混同。
- 2. 蛋白質の摂取は、カルシウムの吸収を促進する効果があると考えられています。特に、乳製品に含まれるカゼインホスホペプチドなどは、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。正しくは:蛋白質は、カルシウムの吸収を促進する栄養素です。特に一部のペプチドはカルシウムと結合し、溶解度を高めて吸収されやすくします。選びやすい理由:高タンパク食が尿中カルシウム排泄を増加させるという側面があるため、吸収も抑制するのではと誤解されやすいです。混同注意:尿中カルシウム排泄との関係性。
- 3. ビタミンD(特に活性型ビタミンD)は、腸管からのカルシウム吸収を強力に促進する最も重要な因子の一つです。不足するとカルシウム吸収は著しく低下します。正しくは:ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収を増やす主要なホルモン(活性型ビタミンD)です。骨形成にも不可欠です。選びやすい理由:ビタミンDの重要性は広く知られているため、逆に低下させる因子として選ぶ可能性は低いですが、知識が曖昧だと誤解することもあります。混同注意:ビタミンDの代謝経路(皮膚での生成、肝臓・腎臓での水酸化)や、作用機序(小腸でのカルシウム結合蛋白質合成促進)に関する詳細な知識。
- 4. 正解。副腎皮質ホルモン(特に糖質コルチコイド)の長期的な過剰投与や内因性過剰分泌は、腸管からのカルシウム吸収を抑制し、尿中へのカルシウム排泄を増加させることで、骨量減少(ステロイド性骨粗鬆症)の原因となります。混同注意:他のステロイドホルモン(性ホルモンなど)との作用の違い。
- 5. 正解。リンの過剰摂取は、腸管内でカルシウムと結合して不溶性のリン酸カルシウムを形成し、カルシウムの吸収を阻害します。また、血中リン濃度が高まると、腎臓での活性型ビタミンDの生成が抑制され、間接的にもカルシウム吸収を低下させます。混同注意:リンとカルシウムの適切なバランスの重要性。
国試ポイント
腸管におけるカルシウム吸収に影響を与える因子、特に吸収を『低下させる』要因について問う問題です。基本的な栄養素やホルモンの作用を正確に理解しているかが試されます。特に副腎皮質ホルモンとリンは、臨床的な骨粗鬆症の原因としても重要であるため、その作用機序を把握しておく必要があります。
混同注意
カルシウム吸収を促進する因子(ビタミンD、PTH、乳糖、蛋白質の一部など)と、吸収を抑制する因子(リン酸、シュウ酸、フィチン酸、カフェイン、アルコール、糖質コルチコイドなど)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、カルシウムの吸収・排泄・骨への沈着に影響する他の栄養素や薬剤、疾患(例:腎不全、消化器疾患)が問われる可能性があります。また、骨粗鬆症の病態生理や治療薬の作用機序に関連して出題されることも考えられます。
関連知識
カルシウム代謝に関わる主要なホルモン(活性型ビタミンD、副甲状腺ホルモン、カルシトニン)の作用機序。骨粗鬆症の危険因子。腎臓での活性型ビタミンD産生とリンの関係。薬剤性骨粗鬆症(特にステロイド性骨粗鬆症)。