血液凝固でフィブリノゲンをフィブリンに変化させるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
血液凝固は複雑なカスケード反応を経て進行しますが、その最終段階において、プロトロンビンが活性化されてトロンビン(第IIa因子)となり、このトロンビンが可溶性のフィブリノゲンに作用して不溶性のフィブリン単量体へと変換します。これらのフィブリン単量体が重合し、さらに第XIIIa因子によって架橋されることで、強固なフィブリン血栓の骨格が形成されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 血小板は一次止血に関与し、凝固因子の活性化や凝固反応の足場を提供しますが、フィブリノゲンをフィブリンに直接変換する酵素ではありません。正しくは:血液凝固の初期段階で凝集し血栓を形成したり、凝固反応の足場を提供したりする細胞成分である。選びやすい理由:血液凝固に関わる主要な細胞成分であり、名前がよく知られているため、関連する作用があると思われやすい。混同注意:凝固反応の促進と、フィブリノゲンからフィブリンへの変換という直接的な酵素作用を混同する可能性があります。
- 2. コラーゲンは血管が損傷した際に血管内皮下に露出する組織成分であり、血小板の粘着や活性化を促しますが、フィブリノゲンをフィブリンに直接変換する酵素ではありません。正しくは:血管損傷時に血小板を活性化させる因子である。選びやすい理由:止血・凝固反応の引き金となる物質の一つであるため、凝固反応全体の中で重要な役割を果たすと誤解されやすい。混同注意:凝固反応の開始因子と、フィブリン生成の最終段階の酵素を混同する可能性があります。
- 3. 正解。トロンビン(第IIa因子)は、血液凝固カスケードの最終段階でプロトロンビンから生成されるセリンプロテアーゼです。この酵素がフィブリノゲンをフィブリン単量体に分解し、さらにフィブリン架橋形成を促進することで安定した血栓形成に中心的な役割を果たします。
- 4. プラスミンはフィブリンを分解し、形成された血栓を溶解する線溶系の主要な酵素であり、フィブリンの生成ではなく分解に関与します。正しくは:形成されたフィブリンを分解し、血栓を溶解する。選びやすい理由:血液凝固と対をなす線溶系の主要な酵素であるため、血液の凝固・溶解の文脈で想起されやすい。混同注意:フィブリンの生成(凝固)とフィブリンの分解(線溶)という逆の作用を混同する可能性があります。
- 5. プロテインCは活性化プロテインC(APC)として、血液凝固反応を抑制する働きを持つ因子であり、フィブリノゲンをフィブリンに変換する作用はありません。具体的には、第Va因子や第VIIIa因子を不活性化します。正しくは:活性化されると第Va因子や第VIIIa因子を不活性化し、血液凝固を抑制する。選びやすい理由:血液凝固カスケードに関わるタンパク質であるため、凝固作用を持つと誤解されやすい。混同注意:凝固を促進する因子と、凝固を抑制する因子を混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、血液凝固カスケードにおけるフィブリン形成の最終段階、特にフィブリノゲンからフィブリンへの変換を担う中心的な酵素とその役割を正確に理解しているかを問うものです。各因子の名称と機能、そして凝固・線溶系の全体像を把握しておくことが重要です。
混同注意
この問題では、フィブリンを『生成する』トロンビンと、フィブリンを『分解する』プラスミンを混同しやすい点が挙げられます。また、血液凝固反応の開始に関わる血小板やコラーゲン、あるいは凝固を抑制するプロテインCといった、凝固系の異なる段階や逆の作用を持つ因子と混同する可能性もあります。各因子の具体的な作用を明確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題された場合、血液凝固カスケードにおける他の重要な酵素(例:第Xa因子)の基質と生成物、あるいは線溶系の主要な酵素とその作用、また凝固阻害因子のメカニズムなどが問われる可能性があります。特に、凝固促進と凝固抑制(線溶)のバランスを調節する因子の役割に注目して学習すると良いでしょう。
関連知識
血液凝固カスケード(内因系、外因系、共通系)の全体像、各凝固因子の番号と主な役割(例:プロトロンビン、第Xa因子など)、線溶系のメカニズム(プラスミン、プラスミノーゲン、t-PAなど)、そして凝固を阻害する因子(アンチトロンビンIII、プロテインSなど)についても理解しておく必要があります。これらの因子が相互に作用し、止血と血流維持のバランスを保っていることを把握することが大切です。