58歳の男性。身長160 cm、体重90 kg、腹囲120 cm、血圧150/90 mmHg。産業医よりメタボリックシンドロームに対する運動を習慣づけるよう指示された。最も適切な運動形式はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
メタボリックシンドロームの改善には、継続的な有酸素運動が重要です。この患者は身長160cm、体重90kg、腹囲120cmと肥満度が高く、関節への負担が大きい運動は避けるべきです。自転車エルゴメーターは、非荷重で関節への負担が少なく、効果的に有酸素運動を行えるため、最も適切な運動形式と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 階段昇降は体重がかかる運動であり、膝や足首などの関節に負担をかけやすく、肥満のある方には適していません。特にこの患者は肥満度が高く、関節へのリスクが懸念されます。正しくは:非荷重または低荷重の有酸素運動選びやすい理由:日常生活に取り入れやすい運動として考えがちですが、身体状況を考慮すると関節への負担が大きいです。混同注意:一般的な運動としての有効性(カロリー消費)と、対象者の身体状況(肥満による関節負担)との区別。
- 2. 正解。自転車エルゴメーターは、体重が直接関節にかからない非荷重運動であり、肥満がある患者でも関節への負担を最小限に抑えながら有酸素運動を行うことができます。メタボリックシンドロームの改善には、継続的な有酸素運動が重要です。選びやすい理由:室内でできる運動なので、天候に左右されず継続しやすい点もメリットです。混同注意:他の選択肢と異なり、関節負担の少なさと有酸素運動の要素を両立しているため、最も適しています。
- 3. 腹筋運動は筋力トレーニングの一種であり、有酸素運動と比較してメタボリックシンドロームの直接的な改善(内臓脂肪減少、血糖・血圧改善)効果は限定的です。また、肥満のある方が無理な体勢で行うと腰を痛めるリスクもあります。正しくは:有酸素運動が優先され、筋力トレーニングは補助的に行う。選びやすい理由:腹囲が大きいことから、腹部を鍛えることが直接メタボリックシンドロームの改善につながると思いやすいですが、内臓脂肪の減少には全身的な有酸素運動がより効果的です。混同注意:部分痩せの概念と、全身的な脂肪燃焼メカニズム。
- 4. プランクは体幹の筋力トレーニングであり、主に静的な筋力や体幹安定性を向上させる目的で行われます。メタボリックシンドローム改善に必要な心肺機能の向上や脂肪燃焼効果は限定的です。また、肥満のある方が適切なフォームを維持することは難しく、腰などへの負担も考慮する必要があります。正しくは:有酸素運動が優先され、筋力トレーニングは補助的に行う。選びやすい理由:手軽に始められる体幹トレーニングとして知られていますが、メタボリックシンドローム対策としての優先度は低いです。混同注意:筋力トレーニング全般のメリットと、メタボリックシンドローム改善に特化した運動様式。
- 5. ランニングは高強度の有酸素運動ですが、体重が直接関節にかかるため、この患者のように体重90kg、BMIが高い状態では膝や股関節に大きな負担をかけ、関節痛や損傷のリスクが非常に高いです。まずは非荷重または低荷重の運動から始めるべきです。正しくは:非荷重または低荷重の有酸素運動選びやすい理由:有酸素運動として効果が高いという認識から選びやすいですが、患者の身体状況(肥満度)を考慮すると不適切です。混同注意:運動としての効果の高さと、個別の身体状況に対する適応。
国試ポイント
肥満患者に対する運動指導において、有酸素運動の重要性と、関節への負担を考慮した運動形式の選択が問われています。特に、体重負荷の少ない運動を選ぶ視点が重要です。
混同注意
有酸素運動全般のメリットと、肥満患者における運動選択の際の関節負担の考慮を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点で出題された場合、患者の年齢、既往歴、現在の身体能力(例:関節痛の有無)、運動経験などを考慮し、運動強度や頻度、時間の設定といったFITT原則の具体的な適用について問われる可能性があります。
関連知識
メタボリックシンドロームの診断基準、運動療法の原則(FITT-VP)、肥満患者における運動処方、関節保護の重要性。