Eriksonの心理・社会的発達論で高齢者が克服すべきなのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
エリクソンの心理社会的発達理論では、人間の生涯を8つの段階に分け、それぞれの段階で特定の心理社会的な課題を克服する必要があるとしています。高齢期(成人後期、おおむね65歳以降)の最終段階における課題は「自我の統合 (Ego Integrity) vs 絶望 (Despair)」です。この段階で、これまでの人生を振り返り、成功も失敗もひっくるめて受け入れ、自分の人生に意味を見出すことができれば「自我の統合」が達成されます。これができないと、後悔や絶望に苛まれることになります。したがって、高齢者が克服すべき課題は「自我の統合」となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。エリクソンの発達段階理論において、高齢期(成人後期)の主要な発達課題は「自我の統合 vs 絶望」です。この段階で人生を振り返り、受け入れ、意味を見出すことで自我の統合が達成されます。
- 2. 自発性は、エリクソンの発達段階では遊戯期(3~6歳頃)の課題「自発性 vs 罪悪感」に該当します。正しくは:高齢期の課題は自我の統合です。選びやすい理由:高齢期にも活動的であることは重要であるため、一見関係があるように見えるかもしれませんが、これは特定の心理発達段階の課題としては幼児期に該当します。混同注意:「自発性」と「積極性」や「活動性」といった一般的なポジティブな特性と混同しやすいですが、エリクソン理論における発達課題としての「自発性」は幼児期に位置づけられます。
- 3. 自律性は、エリクソンの発達段階では幼児前期(1歳半~3歳頃)の課題「自律性 vs 恥・疑惑」に該当します。正しくは:高齢期の課題は自我の統合です。選びやすい理由:高齢者が自分のことを自分で決める「自律性」は非常に重要ですが、エリクソンの発達課題としての「自律性」は乳幼児期に位置づけられます。混同注意:一般的な「自律性」(自己決定能力)と、エリクソンの発達段階における特定の課題としての「自律性」を混同しやすいです。
- 4. 同一性は、エリクソンの発達段階では青年期(12~20歳頃)の課題「同一性 vs 同一性の拡散」に該当します。正しくは:高齢期の課題は自我の統合です。選びやすい理由:「自分は何者か」という問いは一生を通じて存在するように思えるため、高齢期にも関連があるように感じるかもしれませんが、中心的な課題としては青年期に位置づけられます。混同注意:「自己認識」や「自己理解」といった広義の同一性概念と、エリクソン理論における青年期の特定の課題としての「同一性」を混同しやすいです。
- 5. 基本的信頼は、エリクソンの発達段階では乳児期(0~1歳半頃)の課題「基本的信頼 vs 不信」に該当します。正しくは:高齢期の課題は自我の統合です。選びやすい理由:人生の土台となる信頼関係はどの年齢でも重要ですが、エリクソンの発達課題としての「基本的信頼」は最も早期の乳児期に位置づけられます。混同注意:「他人への信頼」という一般的な概念と、エリクソン理論における乳児期の特定の課題としての「基本的信頼」を混同しやすいです。
国試ポイント
エリクソンの発達段階理論は、各発達段階とそこに付随する心理社会的課題の組み合わせを問う問題が頻出します。特に、青年期(同一性)や高齢期(自我の統合)は頻繁に出題される傾向があります。
混同注意
各発達段階の名称と課題の名称が抽象的であるため、どの年齢層にどの課題が対応するかを正確に覚える必要があります。特に、幼児期の「自律性」「自発性」、学童期の「勤勉性」、青年期の「同一性」、成人期の「親密性」「世代性」、高齢期の「統合性」は混同しやすいです。また、一般的な言葉の意味とエリクソン理論における専門用語としての意味が異なる場合があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、高齢期だけでなく、他の発達段階(例:青年期、成人期)における主要な心理社会的課題についても問われる可能性があります。また、各課題を達成できなかった場合のネガティブな側面(例:絶望、孤立、同一性の拡散など)についても理解しているかどうかが問われるかもしれません。
関連知識
エリクソン(Erik Erikson)は、精神分析学者のフロイトの理論を基盤としつつ、社会的・文化的な側面を重視し、生涯発達の視点を取り入れた心理社会的発達理論を提唱しました。各段階は前の段階の達成度によって影響を受け、次の段階へと引き継がれるという特徴があります。各段階の成功は特定の『強み(virtue)』の獲得に繋がるとされています。