腹圧性尿失禁で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
骨盤底筋体操は、腹圧性尿失禁の第一選択となる保存的治療法です。骨盤底筋群を強化し、尿道の支持力を高めることで、腹圧上昇時の尿漏れを抑制する効果があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 腹圧性尿失禁は、肥満が重要なリスク因子の一つとされています。肥満によって腹腔内圧が慢性的に上昇し、骨盤底筋に負担がかかるためです。痩身とは逆です。正しくは:肥満に多い。選びやすい理由:痩せていることで体幹の筋肉が弱いと考える人もいるかもしれませんが、直接的なリスク因子ではありません。混同注意:他の疾患のリスク因子と混同する可能性(例:切迫性尿失禁のリスク因子には肥満も含まれるが、腹圧性尿失禁ほど強く関連しない場合もある)。
- 2. 腹圧性尿失禁は、女性に圧倒的に多く見られます。これは、女性の尿道が短く直線的であること、出産による骨盤底筋へのダメージ、更年期によるホルモンバランスの変化などが原因です。男性では、前立腺摘出術後などに発生することがありますが、一般的には女性の方がはるかに多いです。正しくは:女性に多く発生します。選びやすい理由:前立腺肥大症に伴う尿失禁など、男性特有の排尿障害もあるため、尿失禁全体として男性に多いと誤解する可能性があります。混同注意:前立腺肥大症による溢流性尿失禁や、前立腺全摘術後の尿失禁と混同する可能性があります。
- 3. 腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、運動など腹腔内圧が上昇する際に、尿道括約筋や骨盤底筋の機能不全により尿が漏れる状態です。膀胱の不随意な収縮は伴いません。膀胱の不随意な収縮が原因で尿が漏れるのは「切迫性尿失禁」の特徴です。正しくは:腹腔内圧の上昇によって生じます。選びやすい理由:尿失禁の種類を正確に理解していない場合、尿が漏れる=膀胱の異常と漠然と考えてしまうかもしれません。混同注意:切迫性尿失禁(過活動膀胱)と混同する可能性があります。
- 4. 腹圧性尿失禁は、腹圧が上昇する特定の動作時(咳、くしゃみ、重い物を持ち上げるなど)に一時的に尿が漏れるのが特徴です。常に持続的に尿が漏れ続けるのは、重度の溢流性尿失禁や尿路瘻などで見られる症状です。正しくは:腹圧上昇時に一時的に失禁が生じます。選びやすい理由:「尿失禁」という言葉から、症状が重い場合には常に漏れるとイメージしてしまう可能性があります。混同注意:溢流性尿失禁や尿路瘻と混同する可能性があります。
- 5. 正解。骨盤底筋体操は、腹圧性尿失禁の最も一般的な保存療法であり、その効果は科学的にも広く認められています。骨盤底筋群を強化することで、尿道支持機構が改善され、腹圧上昇時の尿漏れを防止する能力が高まります。
国試ポイント
この問題は、腹圧性尿失禁の基本的な特徴、リスク因子、および主要な治療法(保存療法)に関する知識を問うものです。各選択肢は、尿失禁の種類ごとの鑑別点や、一般的な誤解を誘う内容を含んでいます。
混同注意
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁、溢流性尿失禁の違い(原因、症状、治療法)。特に、膀胱の不随意収縮が切迫性尿失禁の特徴であり、腹圧性尿失禁とは異なる点を明確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合は、各尿失禁の「発生機序」「代表的な症状」「好発性別」「主な治療法」を詳細に確認し、それぞれを正確に区別できるかどうかが重要になります。
関連知識
骨盤底筋群の解剖学的知識、尿失禁の種類(腹圧性、切迫性、溢流性、機能性、混合性)、それぞれの原因と症状、診断方法、保存療法(生活指導、理学療法)、薬物療法、外科的治療。