内頸動脈系と比べて椎骨脳底動脈系の血流障害でみられやすいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
椎骨脳底動脈系は脳幹、小脳、後頭葉、視床の一部などを主に支配しています。これらの部位の障害では、脳幹症状(複視、めまいなど)や小脳症状(運動失調、構音障害など)が特徴的に現れます。選択肢の複視と運動失調は、それぞれ脳幹と小脳の機能障害と強く関連しており、椎骨脳底動脈系の血流障害でよく見られる症状です。一方、Broca失語、一過性黒内障、半側空間無視は主に内頚動脈系の支配領域(大脳半球)の障害で生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。複視は脳幹や小脳の障害で生じやすく、これらは椎骨脳底動脈系の支配領域に多く含まれるため、椎骨脳底動脈系の血流障害でよく見られます。
- 2. 正解。運動失調は小脳や脳幹の障害で特徴的に出現し、これらの部位は椎骨脳底動脈系の血管によって供給されるため、椎骨脳底動脈系の血流障害の主要な症状の一つです。
- 3. Broca失語は左半球の前頭葉(Broca野)の障害で生じ、この領域は主に内頚動脈系の枝である中大脳動脈によって灌流されます。したがって、椎骨脳底動脈系の血流障害では一般的ではありません。正しくは:Broca失語は主に内頚動脈系(中大脳動脈)の血流障害で見られます。選びやすい理由:脳の機能障害であるため、血管系の問題として連想されやすいですが、部位特異性が異なります。混同注意:他の高次脳機能障害と混同したり、どの血管支配領域かを混同したりする可能性があります。
- 4. 一過性黒内障は、網膜への血流障害によって一時的に視力低下が起こる症状で、網膜の血管は内頚動脈系の枝である眼動脈によって供給されます。そのため、内頚動脈系の血流障害でよく見られます。正しくは:一過性黒内障は内頚動脈系の血流障害で見られやすい症状です。選びやすい理由:視覚に関する症状であるため、脳の他の部分の血流障害でも起こり得ると誤解されやすいかもしれません。混同注意:脳梗塞における他の視覚障害(例:同名半盲)や、椎骨脳底動脈系の脳幹・後頭葉の視覚中枢の障害による視覚症状と混同する可能性があります。
- 5. 半側空間無視は主に右半球の頭頂葉や側頭葉の障害で生じ、これらの領域は内頚動脈系の枝である中大脳動脈や後大脳動脈(一部)によって供給されます。椎骨脳底動脈系の血流障害では一般的ではありません。正しくは:半側空間無視は主に内頚動脈系の血流障害(特に中大脳動脈領域)で見られます。選びやすい理由:高次脳機能障害であるため、脳血管障害全般に関連すると誤解しやすいです。混同注意:他の高次脳機能障害や、椎骨脳底動脈系が支配する後頭葉の視覚認知機能障害と混同する可能性があります。
国試ポイント
脳の主要な血管系(内頚動脈系と椎骨脳底動脈系)がそれぞれどの脳領域を支配し、どのような特徴的な神経症状を引き起こすかを理解しているかが問われています。特に、症状から責任病巣と血管支配を関連付ける能力が重要です。
混同注意
脳の複雑な機能と広範な血管支配のため、個々の症状がどの血管系と関連が深いかを判断するのが難しい場合があります。特に、視覚関連の症状や高次脳機能障害は、複数の血管系が関与する可能性があるため混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各症状と責任病巣(脳の部位)、そしてその部位を支配する主要な血管系(内頚動脈系か椎骨脳底動脈系か)を正確に結びつけられるかを問われるでしょう。また、特定の疾患(例:Wallenberg症候群)とその特徴的な症状、責任血管との関連も問われる可能性があります。
関連知識
内頚動脈系は主に大脳半球の前方2/3、中大脳動脈領域、前大脳動脈領域を支配し、対麻痺、片麻痺、失語、半側空間無視、一過性黒内障などが特徴です。椎骨脳底動脈系は脳幹、小脳、後頭葉、視床の一部などを支配し、複視、めまい、運動失調、嚥下障害、同名半盲などが特徴です。両者が合流してウィリス動脈輪を形成していることも重要です。