70歳の女性。両側変形性膝関節症。外来通院中である。自宅におけるADLは、FIMによる評価で、2項目(歩行・車椅子および階段)はT字杖を使用しての自立であったが、それ以外は補助具を使用せずに自立していた。コミュニケーション(理解、表出)や社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)は問題ない。FIMの点数はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
FIMは全18項目から構成され、各項目は1点(全介助)から7点(完全自立)で評価されます。本症例では、移乗、排泄管理、更衣(上半身・下半身)、食事、整容、コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)の計16項目は補助具なしで自立しているため、それぞれ7点となります(16項目 × 7点 = 112点)。一方、歩行・車椅子および階段昇降の2項目はT字杖を使用しているため、「修正自立」と判断され、それぞれ6点となります(2項目 × 6点 = 12点)。したがって、FIMの合計点は112点 + 12点 = 124点となります。
選択肢ごとの解説
- 1. これは誤りです。T字杖使用による自立が減点対象となりますが、他の項目が全て完全自立であるため、より高い点数になります。正しくは:T字杖使用の項目で点数を調整し、他の完全自立の項目で満点を計算すると、より高い点数になります。選びやすい理由:補助具使用による減点を大きく見積もりすぎると、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:補助具を使用した自立を完全な介助と誤解すると、点数が低く見積もられがちです。
- 2. この点数も誤りです。T字杖使用の減点を考慮しても、他の多くの項目が完全自立であるため、合計点はこれよりも高くなります。正しくは:FIMの採点基準に従い、各項目の点数を正確に積算する必要があります。選びやすい理由:中程度の減点と解釈すると、この点数を選んでしまう可能性があります。混同注意:FIMの各項目の点数配分や、補助具使用の具体的な減点ルールを曖昧に理解していると、間違った点数になることがあります。
- 3. これは誤りです。T字杖を使用している「歩行・車椅子」と「階段昇降」の2項目がそれぞれ6点(修正自立)になるため、満点の126点から減点されますが、減点幅がこの選択肢で示されるよりも小さいです。正しくは:各項目が修正自立(6点)になることを正しく計算すると、もっと高い点数になります。選びやすい理由:補助具使用の減点を少し大きく見積もりすぎた場合に選ばれやすいです。混同注意:修正自立(6点)と見守り・準備(5点)を混同すると、点数が低くなる傾向があります。
- 4. 正解。FIMは18項目から構成され、各項目は1点から7点で評価されます。完全自立は7点、修正自立(補助具使用や時間がかかるなど)は6点です。この患者さんの場合、移乗、排泄管理、更衣(上半身・下半身)、食事、整容、コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)の計16項目は補助具なしで自立しているため、それぞれ7点(16項目 × 7点 = 112点)です。歩行・車椅子と階段昇降の2項目はT字杖を使用しているため、修正自立で6点(2項目 × 6点 = 12点)と評価されます。したがって、合計点は112点 + 12点 = 124点となります。
- 5. これはFIMの満点(完全自立)を示す点数ですが、この患者さんは歩行と階段昇降でT字杖を使用しているため、完全自立ではありません。T字杖を使用している時点で、その項目は7点(完全自立)ではなく6点(修正自立)になります。正しくは:補助具を使用している項目は、修正自立として6点で計算する必要があります。選びやすい理由:「自立」という言葉に引きずられ、補助具使用を見落として満点と評価してしまう可能性があります。混同注意:FIMにおける「完全自立(7点)」と「修正自立(6点)」の定義を混同しやすいです。修正自立は、補助具使用や動作に時間がかかる場合などを指します。
国試ポイント
FIMの基本的な採点基準、特に「完全自立(7点)」と「修正自立(6点)」の区別(補助具使用の有無など)を正確に理解しているかを問う問題です。各項目の点数を正確に積算できるかどうかがポイントになります。
混同注意
FIMの「修正自立(6点)」と「見守り・準備(5点)」の区別。修正自立は完全に自分で動作を完了できるが、補助具を使う、時間がかかる、安全性に配慮が必要な場合を指します。見守り・準備は、身体的接触は不要だが、見守りや声かけ、物品の準備が必要な場合を指します。
次に同じ論点が出たら
次にFIMの論点が問われる際は、特定の動作における介助量(部分的介助、見守りなど)とそれに対応する点数(例:5点、4点など)が詳細に提示され、より複雑な計算が求められる可能性があります。また、FIMと類似のADL評価スケール(例:Barthel Index)との比較や、FIMの限界についても問われるかもしれません。
関連知識
FIMは運動項目(摂食、整容、清拭、更衣上、更衣下、排泄管理、膀胱管理、腸管理、ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、浴槽・シャワー移乗、歩行・車椅子、階段昇降)と認知項目(理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶)の18項目で構成されます。各項目は介助量の程度によって点数化され、リハビリテーションの効果測定や予後予測に用いられます。