運動失調が認められる患者に対し、体幹回旋筋の同時収縮による座位姿勢安定性向上を目的として、図に示す運動を行った。この運動はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
リズミック・スタビリゼーションは、安定性を高めることを目的としたPNF手技であり、複数の方向から抵抗を加え、関節周囲筋群の同時等尺性収縮(コ・コントラクション)を促します。設問の「体幹回旋筋の同時収縮による座位姿勢安定性向上」という目的は、この手技の主要な適用と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. コントラクト・リラックスは、拮抗筋の収縮と弛緩を繰り返すことで、可動域の改善を目指すPNF手技の一つです。体幹回旋筋の同時収縮による姿勢安定性向上を直接の目的とするものではありません。正しくは:この手技は主にROM制限の改善に用いられます。選びやすい理由:PNFの代表的な手技であるため、PNF関連の設問で迷いやすいです。混同注意:ホールド・リラックスと混同しやすいですが、これらは目的や実施方法が異なります。
- 2. スローリバーサルは、主動作筋と拮抗筋を交互に、抵抗をかけながらゆっくりと収縮させることで、筋力、協調性、可動域の改善を図るPNF手技です。体幹回旋筋の同時収縮による安定性向上を直接の目的とはしていません。正しくは:スローリバーサルは、拮抗筋の交互収縮による筋力増強や協調性の改善に用いられます。選びやすい理由:運動失調患者に対する協調性改善の手技として知られているため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:リズミック・スタビリゼーションやリピーテッドコントラクションと目的が異なるため混同しやすいです。
- 3. ホールド・リラックスは、短縮した筋肉を等尺性収縮させた後、弛緩させることで、その筋肉の可動域を拡大することを目的とするPNF手技です。体幹回旋筋の同時収縮による姿勢安定性向上とは目的が異なります。正しくは:この手技は主にROM制限の改善に用いられます。選びやすい理由:コントラクト・リラックスと同様に、ROM改善を目的としたPNFの主要な手技であるため、関連する知識として想起されやすいです。混同注意:コントラクト・リラックスと混同しやすいです。
- 4. 正解。リズミック・スタビリゼーションは、患者さんに抵抗に対する固定(ホールド)を指示し、セラピストが多方向から抵抗を加えることで、拮抗する筋群の同時等尺性収縮(コ・コントラクション)を促し、関節の安定性を高めるPNF手技です。設問の「体幹回旋筋の同時収縮による座位姿勢安定性向上」という目的に最も合致します。混同注意:スタビライジング・リバーサルと混同しやすいですが、スタビライジング・リバーサルは交互の等尺性収縮であるのに対し、リズミック・スタビリゼーションは同時等尺性収縮を促します。
- 5. リピーテッドコントラクションは、筋力低下や疲労が見られる筋群に対し、運動の途中で伸張反射や抵抗を繰り返し加えることで、筋収縮を促し、筋力増強や持久力向上を図るPNF手技です。体幹回旋筋の同時収縮による安定性向上を直接の目的とはしていません。正しくは:この手技は主に筋力増強や持久力向上に用いられます。選びやすい理由:運動失調患者の筋力や協調性改善にも用いられることがあるため、選択肢として誤って選ばれる可能性があります。混同注意:スローリバーサルやリズミック・スタビリゼーションと混同しやすいです。
国試ポイント
PNF(固有受容性神経筋促通法)の各手技の目的と具体的な実施方法を理解しているかが問われています。特に、画像や具体的な運動内容から手技の名称を正確に判断する能力が重要です。安定性向上を目的とする手技と、可動域改善や筋力増強を目的とする手技の違いを明確に理解しておく必要があります。
混同注意
PNF手技は名称が似ており、それぞれ細かな違いがあるため混同しやすいです。特に、スタビライジング・リバーサル、スローリバーサル、リズミック・スタビリゼーションは安定性や協調性に関連する手技として混同されやすいですが、等尺性収縮のタイミング(同時か交互か)や、動きを伴うかどうかが重要な違いとなります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、PNF手技の名称と目的・実施方法の組み合わせ問題、あるいは、特定の疾患(例:脳卒中、脊髄小脳変性症など)に対する最適なPNF手技を選択させる問題が考えられます。また、画像だけでなく、詳細な運動指示の記述から手技を特定させる形式も予想されます。
関連知識
PNFの基本原則(最大抵抗、徒手接触、牽引・圧縮、口頭指示、視覚、伸張刺激、タイミング、パターン)、その他のPNF手技(ホールド・リラックス、コントラクト・リラックス、スタビライジング・リバーサル、スローリバーサル、リピーテッドコントラクションなど)、各手技の適応と禁忌、および、運動失調に対する他のリハビリテーションアプローチ(例えば、フレンケル体操、バランストレーニングなど)