「明日朝9時に会議に出席する」と決めた。翌朝になると会議の予定が思い出せるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
展望記憶は、将来行うべき特定の行動やイベントを、適切なタイミングで思い出し、実行する能力を指します。本問題の「明日の会議に出席する」という未来の予定を記憶し、翌朝にそれを思い出すことは、まさに展望記憶の典型的な機能です。これは、単に情報を覚えているだけでなく、「いつ」「何を」実行するかという意図の保持と実行を含みます。
選択肢ごとの解説
- 1. 意味記憶は、言葉の意味や一般的な知識、概念など、個人的な体験とは結びつかない客観的な情報を保持する記憶です。会議の予定という個人的な未来の行動を思い出す機能とは異なります。正しくは:一般的な単語の意味や歴史的事実、物の機能などを思い出すのは意味記憶です。選びやすい理由:記憶の一種であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:エピソード記憶や手続き記憶とは異なる、事実や知識の記憶です。
- 2. 作動記憶は、情報を一時的に保持し、同時に処理する能力で、短期記憶の一種です。未来の行動を計画し、適切な時に思い出すという長期的なプロセスには直接関与しません。正しくは:短時間、電話番号を覚えてからダイヤルしたり、計算の途中の数字を保持したりするのが作動記憶です。選びやすい理由:情報を「覚えておく」という点で、何となく正しいように感じるかもしれません。混同注意:短期記憶とほぼ同義で使われますが、短期記憶に加えて情報の操作・処理が含まれる点が異なります。
- 3. 正解。展望記憶は、将来行うべき行動や予定を、適切な時期や状況で思い出し、実行する能力です。この問題のように「明日の会議に出席する」という未来の行動を記憶し、実行することは展望記憶の典型的な例です。
- 4. 手続き記憶は、自転車の乗り方や楽器の演奏、文字の書き方など、体で覚えた技能や習慣に関する記憶です。未来の予定を思い出すという認知的なプロセスとは異なります。正しくは:箸の使い方や車の運転など、意識せずに行える動作を思い出すのは手続き記憶です。選びやすい理由:記憶の種類の一つとして頻繁に登場するため、選択肢として目につきやすいかもしれません。混同注意:宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)と対比されることが多いです。
- 5. エピソード記憶は、個人的な経験や出来事(いつ、どこで起こったか)に関する記憶です。過去に実際に体験した出来事を思い出す機能であり、未来の行動の記憶とは異なります。正しくは:昨日の夕食のメニューや、先週の休日にどこへ行ったかなどを思い出すのはエピソード記憶です。選びやすい理由:個人的な「予定」なのでエピソードの一部と捉えがちですが、未来の行動である点が異なります。混同注意:意味記憶とともに宣言的記憶に分類されます。
国試ポイント
記憶の種類に関する知識、特に展望記憶の定義と、他の記憶タイプ(意味記憶、エピソード記憶、作動記憶、手続き記憶など)との明確な区別を理解しているかが問われています。臨床場面では、高次脳機能障害などで展望記憶の障害が見られることが多く、この概念の理解は重要です。
混同注意
展望記憶は、未来の予定を思い出すという点で「予定を覚える」という短期的な要素から作動記憶と混同されたり、個人的な体験の一部と捉えられてエピソード記憶と混同されたりすることがあります。しかし、展望記憶は「未来の行動意図」とその「実行のタイミング」に特化している点が決定的に異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、「未来の特定の行動を計画し、適切な時期にそれを実行する」という状況設定に注目します。過去の出来事や一般的な知識、技能に関する記述であれば、それぞれエピソード記憶、意味記憶、手続き記憶などを検討します。
関連知識
記憶は大きく分けて、短期記憶と長期記憶に分類されます。長期記憶はさらに宣言的記憶(陳述記憶:エピソード記憶、意味記憶)と非宣言的記憶(非陳述記憶:手続き記憶、プライミング、古典的条件づけなど)に分類されます。展望記憶はこれらの枠組みの中で、特定の未来の行動を計画し、実行するという点で、独立した重要な機能として捉えられます。