転位のない大腿骨転子部骨折に対する観血的整復固定術後の理学療法として優先度の低いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
大腿骨転子部骨折は、股関節の関節包外骨折であり、股関節の脱臼が起こるリスクは極めて低いです。そのため、人工股関節置換術後などで用いられる脱臼予防肢位の指導は、大腿骨転子部骨折の術後リハビリテーションでは優先度が低くなります。他の選択肢は、早期離床、関節拘縮予防、筋力維持、深部静脈血栓症予防といった術後リハビリの重要な要素であり、優先度が高いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 転位のない安定した大腿骨転子部骨折の術後は、早期からの荷重、つまり歩行訓練が推奨され、回復を早める上で優先度が高いです。安静臥床は、筋力低下や関節拘縮などの二次的な合併症を引き起こしやすいため、避けるべきです。正しくは:早期からの歩行訓練は、術後の機能回復と合併症予防のために優先度が高いです。選びやすい理由:骨折部への負担を心配して、安静を優先すべきだと誤解しやすいです。混同注意:不安定な骨折や、他の部位の骨折(例えば大腿骨頸部骨折の一部)における術後の荷重制限と混同しやすいです。
- 2. 正解。大腿骨転子部骨折は、股関節の脱臼のリスクが非常に低い骨折です。脱臼予防肢位の指導は、主に人工股関節置換術後の合併症予防として重要であり、大腿骨転子部骨折の術後リハビリでは優先度が低いです。正しくは:この指導は転子部骨折の術後には通常不要であり、優先度は低いです。選びやすい理由:一般的な股関節手術の合併症として脱臼を連想しやすいため、一見重要そうに見えます。混同注意:人工股関節置換術後の脱臼予防と混同しやすいです。
- 3. 早期からの関節可動域運動は、股関節の拘縮予防や血行促進のために非常に重要であり、優先度が高いです。特に転位のない安定型骨折では、比較的早期から開始できます。正しくは:早期からのROM運動は、関節拘縮予防のために優先度が高いです。選びやすい理由:骨折部位へのストレスを懸念し、ROM運動を遅らせるべきだと誤解する可能性があります。混同注意:不安定型骨折の場合の運動制限と混同しやすいです。
- 4. 大腿四頭筋は歩行や立ち上がり動作に不可欠な筋肉であり、その早期からの等尺性運動は筋力低下の予防に繋がり、術後の機能回復に大きく貢献するため、優先度が高いです。これは骨折部に大きな負担をかけずに行える運動です。正しくは:大腿四頭筋の等尺性運動は、筋力維持・強化のために優先度が高いです。選びやすい理由:手術部位から離れているため、緊急性が低いと考えるかもしれませんが、早期のリハビリで非常に重要です。混同注意:患部への直接的な荷重訓練と混同し、安静を優先すべきだと誤解することがあります。
- 5. 足関節の運動は、深部静脈血栓症(DVT)の予防に極めて重要であり、臥床期間が長くなる手術後には特に優先度が高いです。下肢全体のリハビリの一環として、早期から積極的に行われます。正しくは:足関節の運動は、DVT予防のために優先度が高いです。選びやすい理由:患部から離れた部位の運動なので、優先度が低いと考えるかもしれませんが、DVT予防という重要な目的があります。混同注意:股関節のリハビリそのものとは直接関係ないため、重要性を過小評価する可能性があります。
国試ポイント
大腿骨転子部骨折と、人工股関節置換術後のリハビリテーションの違いを正確に理解しているか、またそれぞれの疾患における合併症リスクを把握しているかが問われています。特に、骨折部位と脱臼リスクの関連性を判断する能力が重要です。
混同注意
大腿骨頸部骨折(特に人工骨頭置換術後)と大腿骨転子部骨折のリハビリ内容、特に脱臼リスクの有無に関する知識が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず骨折部位が『関節包内』か『関節包外』かを確認し、その骨折が関節の安定性にどのように影響するか、また合併症として何が起こりやすいかを判断する必要があります。特に、脱臼のリスクがどの疾患・手術で高いのかを明確に区別することが重要です。
関連知識
大腿骨転子部骨折は比較的安定した骨折であり、観血的整復固定術後には早期からの荷重歩行が推奨されることが多いです。一方、大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術を行った場合は、脱臼リスクがあるため、脱臼予防肢位の指導が重要になります。各骨折部位の解剖学的特徴と、それに応じた手術法、術後の注意点・リハビリ内容を関連付けて理解することが必須です。