慢性閉塞性肺疾患のADL動作で最も息切れが生じやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では、上肢を高く挙上する動作や、前かがみになる体位、特定の環境要因(浴室の温度・湿度など)が複合的に呼吸困難を増強させます。洗髪はこれらの要素を多く含んでおり、特に上肢を長時間挙上し続ける動作は、呼吸補助筋である広背筋や胸鎖乳突筋なども使用するため、呼吸筋への負担が大きくなり、最も息切れが生じやすいと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 食事は比較的座位で行われることが多く、体位変換や上肢を高く挙げる動作が少ないため、他の選択肢に比べて息切れは生じにくいと考えられます。正しくは:食事も息切れの原因になり得るが、洗髪ほどではない。選びやすい理由:食事中に話したり噛んだりすることは呼吸筋に負担をかけるため、息切れを感じることもある。混同注意:安静時の息切れと活動時の息切れ。
- 2. 排尿は一般的にトイレ内で座位または立位で行われ、特別な体位や激しい運動を伴わないため、他の選択肢に比べて息切れは生じにくいです。正しくは:排尿も息切れの原因になり得るが、洗髪ほどではない。選びやすい理由:排便時のいきみは呼吸に負担をかけるが、排尿単独ではそこまでではない。混同注意:排便と排尿の動作負荷の違い。
- 3. 歯磨きは主に立位または座位で、上肢の軽い挙上を伴いますが、比較的短時間で持続的な高負荷動作ではないため、最も息切れが生じやすい動作とは言えません。正しくは:歯磨きも息切れの原因になり得るが、洗髪ほどではない。選びやすい理由:上肢挙上を伴うため、ある程度の負担はかかる。混同注意:短い動作と持続的な動作の負荷の違い。
- 4. 正解。洗髪は、上肢を高く挙上し続ける動作、前かがみになる体位、お湯の使用による湿度や温度変化などが複合的に作用し、COPD患者にとって呼吸筋への負担が大きく、最も息切れが生じやすい動作の一つです。正しくは:正解のため修正不要。選びやすい理由:他のADLも息切れを引き起こすため、判断が難しい場合がある。混同注意:他のADL活動との負荷の違い。
- 5. ズボンの着脱は、体幹の屈曲や下肢の挙上を伴いますが、洗髪のように上肢を高く維持し続ける動作や、体位の保持が長時間にわたるものではないため、最も息切れが生じやすいとは言えません。正しくは:ズボンの着脱も息切れの原因になり得るが、洗髪ほどではない。選びやすい理由:体幹の屈曲や下肢挙上は腹圧を上げ、呼吸に負担をかけることがある。混同注意:体幹や下肢を使った動作の負荷と、上肢挙上や体位保持を伴う動作の負荷の違い。
国試ポイント
COPD患者のADLにおける呼吸困難の誘発因子と、各ADL動作の負荷レベルを理解しているかを問う問題です。特に上肢挙上を伴う動作の負担の大きさが重要です。
混同注意
他のADL動作も息切れを誘発する可能性はありますが、その負荷の程度や複合的な要因が洗髪ほど強くない点。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の疾患(例:心不全)における息切れを誘発しやすいADL動作や、具体的な呼吸困難軽減策(例:体位、呼吸法、補助具の使用)が問われる可能性があります。
関連知識
COPD患者の呼吸リハビリテーション、労作時呼吸困難の評価(Borgスケールなど)、呼吸困難を軽減するためのADL指導(Pursed-lip breathing、Elbows-out positionなど)。