8歳の脳性麻痺児が階段昇降時に手すりを必要とし、長距離の歩行や狭い場所を歩くときに介助が必要な場合、GMFCS-Expanded and Revised〈E&R〉のレベルはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
GMFCS-E&Rは脳性麻痺児の粗大運動能力を年齢帯ごとに5段階で分類します。8歳(6歳以上12歳未満の年齢帯)で、階段昇降に手すりを必要とし、長距離の歩行や狭い場所での歩行に介助を要する(ただし歩行自体は可能)という状態は、レベルⅡに該当します(公式正答2)。
選択肢ごとの解説
- 1. レベルⅠは、手すりなしで階段を昇降でき、屋外や地域社会でも介助なしで歩行できる状態を指します。設問の状況とは異なります。正しくは:屋外や地域社会でも介助なしで歩行可能である。選びやすい理由:軽度であるため、この選択肢がまず頭に浮かぶかもしれません。混同注意:レベルⅡとの境界線が曖昧に感じることがあります。屋外や地域社会での自立歩行の有無が重要な区別点です。
- 2. 正解。レベルⅡは、屋内外で制限なく歩行できますが、階段昇降時に手すりが必要であったり、不整地や長距離歩行ではやや困難があり、場合によっては介助が必要となる状態です。設問の「階段昇降時に手すりを必要とし、長距離の歩行や狭い場所を歩くときに介助が必要」という記述は、このレベルⅡの定義と一致します。選びやすい理由:介助が必要な場面があるため、レベルⅢ以上ではないかと考える人もいるかもしれませんが、限定的な介助や補助具の使用はレベルⅡの範囲内です。混同注意:レベルⅠ(完全自立)やレベルⅢ(より広範囲な補助具や車椅子使用)と混同しやすいですが、レベルⅡは移動の自立を基本としつつも、特定の状況での補助や適応が必要な点が特徴です。
- 3. レベルⅢは、歩行補助具を用いて歩行は可能ですが、屋内外で移動に制限があり、屋外や地域社会では車椅子での移動が一般的になります。設問のお子さんは、介助は必要でも歩行自体は行っているため、レベルⅢよりも軽度です。正しくは:歩行補助具を用いて歩行し、屋外や地域社会では車椅子を使用することが多い。選びやすい理由:介助が必要なため、より重度なレベルであると判断してしまう可能性があります。混同注意:レベルⅡとⅢの区別は、歩行補助具の必要性や、屋外での車椅子使用の頻度がポイントになります。
- 4. レベルⅣは、移動能力が大きく制限されており、身体を支えるための適応型移動手段や車椅子での移動が主となります。短距離の移動でも介助が必須となる状態です。設問の状況は、まだ歩行による移動が主であるため、レベルⅣには該当しません。正しくは:主に適応型移動手段や車椅子で移動し、短距離の移動でも介助が必須である。選びやすい理由:「介助が必要」という記述から、重度なレベルと誤解しやすいですが、レベルⅣはさらに移動手段が限定されます。混同注意:レベルⅢとの違いは、歩行の有無よりも、移動の主たる手段が車椅子であるかどうかにあります。
- 5. レベルⅤは、すべての移動において完全な介助が必要であり、自力での移動は極めて困難または不可能です。重度の身体機能制限がある状態を指します。設問のお子さんは、介助は必要でも歩行が可能であるため、レベルⅤには該当しません。正しくは:すべての移動において完全な介助が必要であり、自力での移動は非常に困難である。選びやすい理由:重度のレベルであるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、設問の状況はまだ歩行能力が残っています。混同注意:他のどのレベルとも大きく異なりますが、介助の必要性から重度と混同する可能性があります。
国試ポイント
脳性麻痺児の機能評価尺度であるGMFCS-Expanded & Revisedの各レベルの具体的な定義を理解しているか。特に、年齢別のGMFCSのレベル特徴を把握し、与えられた臨床状況から適切なレベルを判断できる能力が問われます。
混同注意
GMFCSの各レベルは、非常に微妙な能力の違いで分類されるため、特にレベルⅠとⅡ、レベルⅡとⅢの間で混同しやすいです。年齢による粗大運動能力の到達度も考慮する必要があるため、単なる歩行の有無だけでなく、介助の程度、補助具の使用、環境への適応能力など、多角的に判断する知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次にGMFCSの問題が出題された場合、まず対象者の年齢を確認し、その年齢区分における各レベルの具体的な定義(特に屋外での移動手段、補助具の有無、介助の程度)を正確に想起することが重要です。また、選択肢のどこに「ひっかけ」の要素があるかを冷静に判断する必要があります。例えば、介助が必要な場面があるからといって、すぐに重度レベルに分類しないよう注意が必要です。
関連知識
GMFCS-Expanded & Revisedは、0〜2歳、2〜4歳、4〜6歳、6〜12歳、12〜18歳の5つの年齢区分でそれぞれ具体的な能力が記述されています。本問題は「8歳」であるため、6〜12歳の区分を参照して判断する必要があります。また、GMFCSだけでなく、目的と行動の分類システム(MACCS)、上肢機能分類システム(BFCS)など、脳性麻痺の他の機能分類システムについても理解しておくことが重要です。