足関節内反捻挫後に筋力増強運動を行う下肢の筋で、再発予防に最も有効なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
足関節内反捻挫は、足関節が過度に内側に捻られることで発生し、主に外側の靭帯が損傷します。この再発を予防するためには、内反の動きを抑え、外側に安定性を与える筋肉を強化することが重要です。長腓骨筋は足関節の外返し(外がえし)の主要な筋肉であり、その筋力を高めることで、急な内反の動きに対して動的に抵抗し、足関節の安定性を向上させることができます。これにより、内反捻挫の再発リスクを効果的に低減させることが期待されます。他の選択肢の筋は、内反作用を持つか(後脛骨筋、前脛骨筋)、外返し作用が限定的である(下腿三頭筋、長指屈筋)ため、再発予防に最も有効とは言えません。
選択肢ごとの解説
- 1. 下腿三頭筋は主に足関節の底屈に関与し、内反捻挫の直接的な予防(外返し作用)には限定的であるため、再発予防に最も有効な筋とは言えません。正しくは:再発予防に最も直接的に関わるのは、足関節の外返し筋です。選びやすい理由:足関節周囲の主要な筋群であり、全体的な安定性には貢献するため、誤って選択されやすいかもしれません。混同注意:足関節の安定に関わる他の筋(特に底屈筋)と、内反・外反の動きを制御する筋との区別。
- 2. 後脛骨筋は足関節の底屈と内反に作用するため、内反捻挫の再発予防という観点からは、内反を促進する可能性があり不適切です。正しくは:足関節の内反を抑制する外返し筋が適切です。選びやすい理由:足関節の内側部に位置し、足部の安定性に重要な役割を果たすため、重要な筋であると認識されやすいですが、内反捻挫の予防には適しません。混同注意:足部の安定に関わる筋としての重要性と、内反・外反といった特定の動きの制御との区別。
- 3. 前脛骨筋は足関節の背屈と内反に作用するため、内反捻挫の再発予防には直接的な効果が期待できず、むしろ内反作用を持つため不適切です。正しくは:足関節の内反を抑える外返し筋を強化する必要があります。選びやすい理由:足関節の主要な筋群の一つであり、足関節の動きに関わる重要な筋であるため、選択肢として目を引きやすいですが、内反捻挫予防の直接的な役割はありません。混同注意:足関節の動きに関わる多様な筋の作用(背屈・底屈、内反・外反)とその役割の混同。
- 4. 長指屈筋は主に足指の屈曲と足関節の底屈に関与し、内反捻挫の再発予防に最も有効とされる外返し作用はほとんどありません。正しくは:足関節の外返し作用が強い筋が最も有効です。選びやすい理由:深層の筋であり、足部の安定性に貢献する可能性から選択肢として考えられるかもしれませんが、内反捻挫予防の主たる筋ではありません。混同注意:足部の深層筋の機能と、足関節の特定の動き(特に内反・外反)の制御筋との区別。
- 5. 正解。長腓骨筋は足関節の外返し(外がえし)と底屈に作用する主要な筋肉です。内反捻挫は足関節が過度に内側に捻られることで発生するため、長腓骨筋を強化することで足関節の外側安定性が高まり、内反の動きを抑制し、再発予防に最も効果的です。
国試ポイント
足関節捻挫、特に内反捻挫の病態生理と、それに対するリハビリテーションにおける筋力強化の目的を理解しているかを問う問題です。足関節の主要な筋群の作用(特に内反・外反)を正確に把握しているかどうかが解答の鍵となります。臨床における捻挫予防の考え方にも直結します。
混同注意
足関節周囲の多様な筋の作用(底屈、背屈、内反、外反)が混同されやすいです。特に、足部の安定性に関わる重要な筋であっても、内反捻挫の予防に直接的に関わる外返し筋ではない場合があるため、個々の筋の具体的な作用を明確に区別する必要があります。例えば、後脛骨筋や前脛骨筋も足部の安定性には重要ですが、内反作用を持つため誤答となります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、患者の活動レベルや損傷の程度に応じたリハビリテーションプログラムの段階的進行について問われる可能性があります。また、具体的なエクササイズの選択肢や、固有受容感覚トレーニングの重要性、装具の使用など、より実践的な知識が問われることも考えられます。足関節の安定性に寄与する他の要素(バランス能力、関節可動域など)も視野に入れるべきです。
関連知識
足関節の主要な靭帯(外側靭帯群:前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯、内側靭帯:三角靭帯)の解剖と機能。足関節の運動学(底屈、背屈、内反、外反)と、それに関与する主要な筋群(腓骨筋群、脛骨筋群、下腿三頭筋、長指・母指屈筋・伸筋群)の解剖学と生理学。バランス能力の重要性と、固有受容感覚のトレーニング。