ASIAの評価法における脊髄の髄節とその感覚支配領域検査ポイントの組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ASIA(American Spinal Injury Association)の国際基準における脊髄損傷の分類では、各髄節の感覚支配領域(デルマトーム)が特定の検査ポイントで評価されます。T12の感覚支配領域は、鼠径靱帯の中点に位置する腹部と下肢の境界線上にあります。このポイントはASIAの評価においてT12の感覚レベルを判定するために用いられる重要なランドマークです。
選択肢ごとの解説
- 1. C5の主要な感覚支配領域の検査ポイントは、外側上腕部の肘関節手前にある三角筋停止部付近です。鎖骨上窩はC3-C4領域に近いですが、C5の代表的なポイントではありません。正しくは:C5の検査ポイントは「肘関節より近位の外側上腕部」です。選びやすい理由:C5が頸部の髄節であることは正しいですが、具体的な検査ポイントが誤っています。鎖骨上窩も頸部に関連する部位なので、感覚的に選んでしまう可能性があります。混同注意:C4の鎖骨上部やC6の母指球筋領域と混同する可能性があります。
- 2. 臍の感覚支配領域は通常T10です。T7は臍より上位、剣状突起と臍の中間あたりに位置します。正しくは:T7の検査ポイントは「剣状突起と臍の中点」です。臍はT10です。選びやすい理由:胸髄であることは正しいものの、具体的なランドマークがずれています。体幹のデルマトームは隣接しているため、誤って選択しやすいです。混同注意:T10(臍)やT4(乳頭)といった他の胸髄デルマトームと混同しやすいです。
- 3. 正解。T12の感覚支配領域は、腹部と下肢の境界にあたる鼠径靱帯の中央部(鼠径部)に設定されています。これはASIAの評価基準における正しい組み合わせです。選びやすい理由:鼠径部は腰仙神経叢が支配する部位も多いため、T12と聞くと胸髄のイメージが薄く、L1などと混同しやすいかもしれませんが、ASIA基準ではT12が鼠径靱帯中央部と明確に定められています。混同注意:L1の鼠径部近辺の領域と混同しやすいですが、T12は鼠径靱帯の中点と正確に指定されています。
- 4. 足関節内果(内くるぶし)の感覚支配領域はL4です。L5の主要な検査ポイントは、足関節の外側にある小指基部(足背外側部)や第3中足指節関節部などです。正しくは:L5の検査ポイントは「第3中足指節関節」です。足関節内果はL4です。選びやすい理由:L5が下肢の髄節であることは正しく、足関節周辺であるという点は近いですが、具体的な部位が異なります。下肢のデルマトームは複雑で、混同しやすいポイントです。混同注意:L4(内果)やS1(外果)と混同しやすいです。
- 5. 膝窩(膝の裏)の感覚支配領域は主にS2です。S4の感覚支配領域は、会陰部(肛門周囲)に位置します。正しくは:S4の検査ポイントは「肛門周囲部」です。膝窩はS2です。選びやすい理由:S4が下肢に関連する髄節であることは正しいですが、特定の部位が全く異なります。殿部から大腿、下腿にかけてのデルマトームは近い髄節が連続して支配するため、間違えやすいです。混同注意:S2(膝窩)やL5(足背外側)といった他の下肢のデルマトームと混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、脊髄損傷患者の機能評価に不可欠なASIA(American Spinal Injury Association)の国際基準に関する知識を問うものです。特に、各脊髄髄節(デルマトーム)が身体のどの部分の感覚を支配しているか、その具体的な検査ポイントを正確に記憶しているかが重要となります。臨床現場で頻繁に用いられる評価法であるため、理学療法士として必須の知識です。
混同注意
胸髄と腰髄、腰髄と仙髄の境界部分のデルマトームは特に混同しやすいです(例: T12とL1、L4とL5、S1とS2/S3)。また、デルマトームの境界線は個人差や体型によっても多少変動するため、標準的な検査ポイントを正確に覚えることが肝要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、感覚検査ポイントだけでなく、各髄節に支配されるキーマッスル(運動機能の検査ポイント)とその筋力評価についても問われる可能性があります。また、ASIA分類における完全損傷と不全損傷の判断基準、特に仙髄支配領域(S4-5)の機能温存に関する知識も重要です。
関連知識
ASIA機能障害尺度(AIS)、キーマッスルとその髄節支配、脊髄損傷のレベル診断、完全損傷と不全損傷の分類、仙髄支配領域の温存(S4-5の深部肛門痛覚)など。デルマトームは神経学的な診察において非常に基本的な知識であり、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科など幅広い領域で用いられます。