心理療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
バイオフィードバックは、生体内の情報を客観的な数値やグラフとして提示することで、患者が自身の生理的状態を認識し、それを自力で調整できるようになることを目指す治療法です。この過程は、特定の生理的反応の変化が示される(報酬として機能する)ことで、その反応を自ら調整する行動が強化される、というオペラント条件付けのメカニズムによって説明されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 陽性転移は治療過程で起こりうる現象ですが、それ自体を治療の主要な目標とするわけではありません。転移を分析し、患者の精神内界を理解する手がかりとします。正しくは:陽性転移は患者がセラピストに抱く肯定的な感情であり、治療関係を円滑にする一方で、その背後にある無意識的な葛藤を理解するための重要な手がかりとなります。目標は転移を適切に処理し、洞察を促すことです。選びやすい理由:ポジティブな感情なので、良いことのように感じられるため。治療関係が良好に進むサインと誤解されやすい。混同注意:ラポール形成と陽性転移。ラポールは意識的な信頼関係だが、転移は無意識的な感情の繰り返しである。
- 2. 逆転移はセラピストが患者に対して抱く無意識的な感情や反応であり、治療に影響を与える可能性があるため、セラピストが自己認識し、適切に管理することが重要です。しかし、逆転移の出現自体が治療中止の理由とはなりません。むしろ、自己分析やスーパービジョンを通じて、治療の質を高める機会と捉えられます。正しくは:逆転移を認識した場合、セラピストはそれを自己分析し、スーパービジョンなどを通じて適切に処理することで、治療的関係を維持し、患者への理解を深める努力をすべきです。選びやすい理由:逆転移が治療に悪影響を及ぼすという知識から、停止が最善策だと短絡的に考えてしまう可能性がある。混同注意:逆転移の危険性と、その適切な対処法。
- 3. 不安階層表を作成するのは、主に系統的脱感作法のプロセスの一部です。自律訓練法は自己暗示によって心身をリラックスさせる技法であり、不安階層表は用いられません。正しくは:自律訓練法は自己暗示によって心身の緊張を緩和するリラクセーション法であり、段階的な練習を通じて習得されます。選びやすい理由:両方とも不安障害の治療に用いられるため、関連付けて考えてしまう可能性がある。混同注意:自律訓練法と系統的脱感作法の内容や適用疾患。
- 4. 絵画療法を含む表現療法は、統合失調症の慢性期や回復期には有効な場合がありますが、急性期では刺激が強すぎたり、病状を悪化させる可能性があったりするため、一般的には推奨されません。急性期には薬物療法と安静が優先されます。正しくは:絵画療法は、精神状態が安定している統合失調症の回復期や慢性期の患者に有効である場合があります。選びやすい理由:表現療法が精神疾患に広く用いられるという知識から、特定の病期への適応を誤解してしまう。混同注意:急性期の精神療法と慢性期の精神療法の違い。また、各療法の適応病期。
- 5. 正解。バイオフィードバックは、通常意識できない生理的反応(心拍数、皮膚温、筋電図など)を機器で測定し、視覚や聴覚でフィードバックすることで、患者自身がこれらの反応を意識的にコントロールできるように学習する治療法です。この学習プロセスは、望ましい生理的反応に対して報酬(フィードバック)を与えることで、その行動(反応)の頻度を高めるというオペラント条件付けの原理に基づいています。
国試ポイント
心理療法の各技法の基本原理、適応、禁忌を正確に理解しているかが問われています。特に、名称が似ていたり、類似の症状に用いられたりする療法間の違いを把握しておくことが重要です。
混同注意
自律訓練法と系統的脱感作法の混同、転移と逆転移の概念とその臨床的対処の混同、各精神療法の具体的な適用病期(特に急性期と慢性期)の混同が起こりやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各心理療法の治療機序(例: 精神分析療法の洞察、認知行動療法の認知再構成)や、特定の疾患(例: PTSDに対するEMDR、うつ病に対するCBT)への適用、あるいは禁忌事項について問われる可能性があります。
関連知識
各心理療法の定義、治療機序、適応疾患、実施方法。特に認知行動療法、精神分析療法、家族療法、集団療法など主要な療法の基礎知識。