立位姿勢から膝関節を屈曲し、体幹を前傾させて静止した姿勢を図に示す。床反力ベクトルの作用線の向きが正しいのはどれか。ただし、矢印は力の向き、点線はその延長線を示す。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
静止立位姿勢では、床反力の作用線は身体の重心を鉛直方向に通過します。これは、物体が静止しているためには、作用する全ての力の合力がゼロでなければならない(釣り合いの条件)ためです。床反力は体重(重力)と釣り合うため、作用線は重心を通る鉛直線上に位置します。下図の選択肢cは、この条件を満たしています。
選択肢ごとの解説
- 1. 床反力ベクトルは接地面から重心方向へ向かうため、作用線が身体重心のやや前方を通過するaは不適切です。正しくは:適切な作用線は、支持基底面内から重心へ向かう方向です。選びやすい理由:重心の前方に作用線があるため、前傾姿勢と関連があるように見えますが、床反力は重心を支持する方向です。混同注意:体の傾きと力の方向を混同しがちです。
- 2. 床反力ベクトルは接地面から重心方向へ向かうため、作用線が重心よりも後方を通過するbは不適切です。正しくは:適切な作用線は、支持基底面内から重心へ向かう方向です。選びやすい理由:前傾姿勢で身体が前に倒れようとするため、それを支える反作用が後方にあると誤解するかもしれません。混同注意:力の作用点と方向の関係を誤解しやすいです。
- 3. 正解。静止した姿勢において、床反力ベクトルは身体重心を支持する方向、すなわち重心の真下を基点とし、重心へ向かう向きに作用線が通ります。図のcは、床反力の作用線が身体重心をほぼ垂直に貫いているため、適切な選択肢です。選びやすい理由:他の選択肢も重心付近を通過するように見えますが、静止状態では重心を鉛直に支持する線が正しいです。混同注意:動的な姿勢では重心の前方や後方を通過することがありますが、静止状態である点が重要です。
- 4. 床反力ベクトルは身体重心の鉛直下方を基点として重心方向へ向かうため、作用線が重心より大きく外れたdは不適切です。また、作用点の位置も不適切です。正しくは:適切な作用線は、支持基底面内から重心へ向かう方向です。選びやすい理由:力の方向としてはあり得ますが、この姿勢における床反力の作用線としては不適切です。混同注意:力の分解や合成の概念と混同しやすいです。
- 5. 床反力ベクトルは身体重心の鉛直下方を基点として重心方向へ向かうため、作用線が重心より大きく外れたeは不適切です。また、作用点の位置も不適切です。正しくは:適切な作用線は、支持基底面内から重心へ向かう方向です。選びやすい理由:重心から離れた位置に作用線があるため、重心の安定性に関わるかのように見えますが、床反力の作用線としては誤りです。混同注意:体のバランスと力の関係性を誤解しやすいです。
国試ポイント
静止状態における床反力ベクトルの作用線の理解が問われています。身体重心と支持基底面、そして力の釣り合いの原則を正確に把握しているかが重要です。
混同注意
動的姿勢における床反力作用線と静的姿勢における作用線を混同しやすい。特に、運動開始時や終了時などでは、床反力作用線が重心からずれることで回転モーメントを発生させますが、静止状態では重心を通過します。
次に同じ論点が出たら
この問題が理解できたら、歩行周期中の床反力ベクトルの作用線の変化について考察してみましょう。また、片脚立位や杖を使用した立位での床反力作用線の変化も合わせて学習すると、より深い理解が得られます。
関連知識
・身体重心の位置 ・支持基底面 ・力のモーメント ・運動方程式(静止の条件) ・安定性とバランスのメカニズム