歩行障害とその原因の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
選択肢3の鶏歩(steppage gait)は、総腓骨神経麻痺により足関節の背屈が困難となることで生じる特徴的な歩行パターンです。選択肢4の動揺性歩行(waddling gait)は、股関節周囲筋、特に股関節外転筋(中殿筋など)の筋力低下により、歩行時の体幹の動揺が生じる歩行です。これら2つの組み合わせは正しいです。他の選択肢は、歩行パターンとその原因の組み合わせが誤っています。
選択肢ごとの解説
- 1. すくみ足は、歩き始めや方向転換時に足が地面に張り付いたように動かなくなる歩行障害で、主にパーキンソン病に見られます。小脳性運動失調とは原因が異なります。正しくは:frozengait(すくみ足):パーキンソン病選びやすい理由:様々な歩行障害の名称に不慣れだと、名称から原因を推測しにくいため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:小脳性運動失調による歩行(失調性歩行)と、パーキンソン病による歩行障害全般(小刻み歩行、突進歩行など)を混同しやすいです。
- 2. はさみ脚歩行は、両下肢の内転筋群の痙縮が強く、歩行時に両膝が内側に擦れ合うような歩行パターンで、主に脳性麻痺や対麻痺などの両下肢痙縮性疾患で見られます。パーキンソニズムの歩行障害とは異なります。正しくは:scissorsgait(はさみ脚歩行):両下肢の痙縮選びやすい理由:パーキンソニズムも歩行障害を呈するため、関連性があるように感じやすいです。また、特徴的な名称と一般的な疾患を結びつけようとして、間違った組み合わせを選んでしまうことがあります。混同注意:パーキンソン病の小刻み歩行や突進歩行と、脳性麻痺などに見られる痙性歩行(はさみ脚歩行)を混同しやすいです。
- 3. 正解。鶏歩は、下腿前面の筋力低下(特に前脛骨筋)により足関節の背屈ができず、つま先が下垂するため、それを代償するために大きく股関節と膝関節を屈曲して歩くパターンです。総腓骨神経麻痺は、この下腿前面筋群を支配しており、その麻痺は鶏歩の原因となります。選びやすい理由:歩行障害の名称と神経麻痺の関係が直接的であるため、比較的選びやすい選択肢です。ただし、他の選択肢との比較で迷う可能性はあります。
- 4. 正解。動揺性歩行は、股関節周囲筋(特に中殿筋などの股関節外転筋)の筋力低下により、歩行時に体幹が左右に大きく揺れる特徴的な歩行パターンです。これは下肢帯(骨盤帯)の筋力低下に典型的に見られます(例:筋ジストロフィー、先天性股関節脱臼など)。選びやすい理由:「動揺」という言葉から、不安定な歩行全般を連想しがちですが、具体的な筋力低下との結びつきが明確であるため、正しいと判断しやすいです。
- 5. 広基底歩行は、歩行時のバランスを保つために両足の間隔を広げて歩くパターンで、主に小脳性運動失調や重度のバランス障害、感覚障害で見られます。両下肢の痙縮がある場合、はさみ脚歩行のように下肢が内側に引き寄せられやすい傾向があり、広基底歩行とは異なります。正しくは:wide-basedgait(広基底歩行):小脳性運動失調選びやすい理由:両下肢の病態という点では共通しているため、一見すると正しいように感じられるかもしれません。しかし、痙縮はむしろ下肢を閉じる傾向があります。混同注意:小脳性運動失調による歩行(広基底、非協調性)と、痙性麻痺による歩行(はさみ脚、硬直性)を混同しやすいです。
国試ポイント
歩行障害の代表的なパターン(名称、特徴)と、それに対応する主要な神経疾患や筋疾患、あるいは神経障害・筋力低下といった病態生理との正確な結びつきを問う問題です。名称と原因の組み合わせだけでなく、それぞれの歩行パターンの視覚的な特徴を理解しているかが重要になります。
混同注意
様々な歩行障害の名称が似ていること、また複数の疾患が類似した歩行障害を引き起こすことがあるため、それぞれの特徴と原因疾患を正確に区別することが難しい点が混同しやすい要因です。特に、痙性麻痺、小脳性運動失調、パーキンソニズムによる歩行の違いは混同しやすい領域です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各歩行パターンの具体的な動きの特徴を問う問題や、特定の疾患の症例提示から歩行パターンを判断させる問題、あるいは複数の歩行障害の原因を深く掘り下げる問題が出題される可能性があります。また、歩行分析の評価項目や使用される機器に関する知識も問われるかもしれません。
関連知識
パーキンソン病(小刻み歩行、突進歩行、すくみ足)、脳性麻痺・脊髄損傷(痙性対麻痺歩行、はさみ脚歩行)、小脳疾患(失調性歩行、広基底歩行)、末梢神経障害(鶏歩、踵歩行)、筋疾患(動揺性歩行、トレンデレンブルグ歩行)、片麻痺(分回し歩行)など、主要な疾患ごとの典型的な歩行パターンを理解しておく必要があります。