開放性運動連鎖による運動はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
開放性運動連鎖(Open Kinetic Chain: OKC)は、運動する身体部位の遠位端が空間内で自由に動く運動を指します。選択肢1の端座位での膝伸展運動は、足部が空間内で自由に動くためOKCです。選択肢3のSLR運動も、下肢全体が空間内で自由に挙上されるためOKCです。一方、閉鎖性運動連鎖(Closed Kinetic Chain: CKC)は、運動する身体部位の遠位端が固定された状態で行われる運動です。選択肢2の不安定板による立位保持運動、選択肢4の足底を壁に接触させて押す運動、選択肢5の立位での膝伸展運動は、いずれも足部が地面や対象物に固定されているためCKCに分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。開放性運動連鎖では、運動を行う身体部位の遠位端が自由に動きます。この運動では、膝から下の部分(遠位端である足部)が空間内で自由に動き、どこにも固定されていません。
- 2. 不安定板上での立位保持は、足部が不安定板に固定されており(遠位端が固定されている状態)、体幹や下肢の複数の関節が協調して姿勢を制御します。これは閉鎖性運動連鎖の典型例です。正しくは:この運動は閉鎖性運動連鎖に分類されます。選びやすい理由:一見、不安定な環境での運動なので自由度が高いように感じるかもしれませんが、遠位端(足部)が地面/不安定板に固定されているため、閉鎖性です。混同注意:開放性運動連鎖の「自由な動き」と、不安定な環境での「自由な制御」を混同しやすいです。
- 3. 正解。SLR運動では、下肢全体が空間内で自由に動きます。遠位端である足部が何にも固定されていないため、開放性運動連鎖の定義に合致します。
- 4. この運動では、足底(下肢の遠位端)が壁という固定された対象物に接触し、抵抗に対して力を発揮しています。これは閉鎖性運動連鎖の定義に合致します。正しくは:この運動は閉鎖性運動連鎖に分類されます。選びやすい理由:力を出す運動なので、力強いイメージから開放的と誤解するかもしれませんが、遠位端の固定がポイントです。混同注意:運動の「強さ」と、遠位端の「固定の有無」を混同しやすいです。
- 5. 立位で膝を伸ばす際にチューブの抵抗が加わると、足部が地面に固定された状態(立位)で、複数の関節が協調して動きます。特に抵抗をかけることで、その動きは全身の連鎖を伴い、遠位端(足部)が固定されているため閉鎖性運動連鎖として考えられます。正しくは:この運動は閉鎖性運動連鎖に分類されます。チューブを使用しない立位での単なる膝伸展も、足部が地面に固定されているため閉鎖性です。選びやすい理由:チューブによる抵抗が加わることで、開放的な動きと誤解しやすいですが、立位であるため足部が地面に固定されている点が重要です。混同注意:抵抗運動であることや、膝が伸びる単一関節の動きに見えることから開放性と誤解しがちですが、立位の姿勢(遠位端の固定)が決定要因です。
国試ポイント
運動学における開放性運動連鎖(OKC)と閉鎖性運動連鎖(CKC)の基本的な定義とその具体例を問う問題です。特に、遠位端が「自由に動く」か「固定されている」か、という明確な基準を理解しているかが重要です。臨床応用も多く、頻出のテーマです。
混同注意
単一関節運動=開放性、多関節運動=閉鎖性と誤解しやすいですが、これは必ずしも正しくありません。重要なのは「遠位端の自由度」です。また、抵抗運動や筋力トレーニング全般と結びつけて誤解することもあります。
次に同じ論点が出たら
この論点が再度出題される場合は、具体的な動作の図や写真が提示され、OKCかCKCかを判断させる問題、またはそれぞれの運動連鎖の臨床的な適用場面やメリット・デメリットを問う問題が考えられます。例えば、特定の疾患(例:ACL損傷)に対するリハビリテーションプログラムで、どちらの運動連鎖が初期段階で推奨されるか、といった形で応用される可能性もあります。
関連知識
OKCとCKCのそれぞれの利点と欠点、および臨床での応用(例:OKCは単関節の筋力増強や可動域改善、CKCは機能的な運動パターンや協調性の改善に利用されることが多い)についても理解しておく必要があります。また、それぞれの運動連鎖における関節運動学的な特徴(例:OKCではより剪断力が働きやすい、CKCではより圧迫力が働きやすい)も関連知識として重要です。