55歳の女性。趣味でジョギングを行っている。変形性膝関節症に対して手術療法が行われた。術後のエックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。術後の理学療法で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
変形性膝関節症に対する手術後は、関節拘縮の予防、筋力維持・強化、ADL早期獲得のために、術後早期からの理学療法が不可欠です。特に大腿四頭筋の筋力低下は機能障害に直結するため、術後早期から積極的に筋力増強運動を行うことが重要です。X線写真では骨切り術が行われていると推測され、適切な理学療法介入が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 通常、変形性膝関節症の手術(特に骨切り術など)では、骨癒合が得られれば金属が挿入されたままでもスポーツ復帰は可能です。金属除去は合併症や患者の希望によって検討されますが、必須ではありません。正しくは:骨癒合が確認されれば、金属が挿入されたままでも段階的にスポーツ活動へ復帰できる。選びやすい理由:体内に異物がある状態で激しい運動をすることに抵抗があるため、金属除去を正しいと考えやすい。混同注意:他の整形外科手術(例:骨折治療後のプレート除去)と混同しやすい。
- 2. 変形性膝関節症に対する骨切り術などの手術では、術後早期から段階的な荷重が推奨されることが多く、完全免荷を骨癒合まで続けることは稀です。早期の荷重は骨癒合を促進し、筋力低下や廃用症候群を防ぎます。正しくは:術後早期から、手術内容や骨の状態に応じて段階的に荷重を開始する。選びやすい理由:骨癒合が不安定な時期に荷重をかけることで合併症が起きるのではないかと不安になり、免荷を選択しやすい。混同注意:不安定な骨折や再建術後の初期段階で必要な完全免荷と混同しやすい。
- 3. 変形性膝関節症(特に内側型)では、内側への負荷を軽減するために『外側ウェッジ』または『外側が高い楔状足底挿板』が用いられます。しかし、これは術前から疼痛軽減やアライメント改善目的で使用されるものであり、術後に直ちに導入するものではありません。術後の足底挿板の使用は、術後のアライメント評価や荷重状況に応じて慎重に検討されます。正しくは:足底挿板の使用は、術後の経過やアライメントの変化を評価した上で、必要に応じて検討する。選びやすい理由:変形性膝関節症の保存療法で足底挿板が使われることを知っているため、術後も継続するのかと誤解しやすい。混同注意:保存療法としての足底挿板の役割と、術後のリハビリテーションにおける役割を混同しやすい。
- 4. 正解。大腿四頭筋の筋力低下は変形性膝関節症の進行や機能障害に深く関わっており、術後早期から筋力増強運動を行うことは、術後の回復、膝関節の安定性向上、再受傷予防、ADL向上に極めて重要です。具体的な運動としては、等尺性収縮運動や他動運動を組み合わせて早期から開始します。選びやすい理由:早期からの筋力トレーニングが痛みを増強させたり、術部を損傷したりするのではないかと考え、ためらいが生じやすいが、適切な範囲での早期介入は必須である。混同注意:術後早期の運動制限が必要な他の手術と混同しやすい。
- 5. 変形性膝関節症の手術後は、拘縮の予防と早期機能回復のため、術直後または翌日から積極的に関節可動域(ROM)訓練を開始するのが一般的です。2週間の安静期間を設けてからでは、関節拘縮のリスクが高まります。正しくは:術直後または翌日から、医師の指示と患者の状態に応じて早期に関節可動域訓練を開始する。選びやすい理由:手術部位の保護や安静が重要だと考え、早期の運動開始をためらいやすい。混同注意:手術直後の急性期における安静の必要性と、早期リハビリテーションの重要性を混同しやすい。
国試ポイント
変形性膝関節症に対する手術療法(特に骨切り術など)後の理学療法介入の時期と内容について問われています。早期からの関節可動域訓練と筋力増強運動の重要性を理解しているかがポイントです。各選択肢の介入の時期や目的が適切かを見極める必要があります。
混同注意
術後早期の安静の必要性と、早期リハビリテーションの必要性。また、手術の種類によって術後のプロトコルが異なる点。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、手術の種類(骨切り術、人工関節置換術など)や術後の合併症リスクに応じて、免荷期間、可動域制限、早期荷重、筋力増強運動の開始時期がどのように異なるかを問われる可能性があります。
関連知識
変形性膝関節症の病態生理、保存療法(装具療法を含む)、主要な手術療法(高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術など)とその術後プロトコル、大腿四頭筋の機能解剖と重要性、関節拘縮の予防と治療。