水の物理的特性で水中運動療法における生理的な作用に影響しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
水の屈折は、水中から見た外界の視覚情報に歪みをもたらしますが、生体の循環器系、呼吸器系、筋骨格系などの生理機能に直接的な影響を与えるものではありません。他の選択肢はすべて、水中運動療法における具体的な生理的効果(水圧による循環改善、浮力による負荷軽減、抵抗による筋力増強、熱伝導率による温熱・冷却効果)と密接に関連しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 水圧は水中に深く入るほど高まり、身体に均等に作用します。この水圧は静水圧効果と呼ばれ、末梢の浮腫軽減や呼吸筋の活動促進、血液循環の改善といった生理的な効果をもたらします。正しくは:水圧は、循環器系や呼吸器系に生理的な影響を及ぼす重要な要素です。選びやすい理由:物理的な特性であるため、関係ないと誤解される可能性があります。混同注意:単なる物理的な力として、生理作用への影響が軽視されることがあります。
- 2. 浮力は、水中で物体が上向きに受ける力で、体重を軽減し、関節への負担を減らす効果があります。これにより、陸上では困難な運動やバランス練習が可能となり、筋力トレーニングや関節可動域訓練に応用されます。正しくは:浮力は、運動負荷の軽減やバランス練習の補助など、水中運動療法の根幹をなす生理的効果をもたらします。選びやすい理由:重力に逆らう性質のため、生理作用への直接的な影響が見過ごされることがあります。混同注意:単に「体を浮かせる」という現象としてのみ捉えられ、その生理的な影響が見過ごされることがあります。
- 3. 水の抵抗は、水中での動きに対して働き、速度が速いほど、また接触面積が大きいほど増加します。この抵抗は、筋力増強や持久力向上、協調性訓練の負荷として利用され、リハビリテーションにおいて重要な生理的効果を発揮します。正しくは:水の抵抗は、運動の負荷として筋力や持久力向上に直接的に寄与します。選びやすい理由:抵抗が運動の妨げになると捉えられ、それが直接的な生理作用ではないと誤解されることがあります。混同注意:空気抵抗と比べて非常に大きい特性のため、その影響が単なる「運動しにくさ」と解釈されることがあります。
- 4. 正解。水の屈折は、水中から水面越しに見る物体の位置が実際と異なって見える現象です。これは視覚的な認識に影響を与えるものの、直接的に身体の生理機能(循環、呼吸、筋活動など)に影響を及ぼすものではありません。水中運動療法では安全管理上考慮されることはあっても、治療効果の直接的なメカニズムにはなりません。
- 5. 水の熱伝導率は空気と比較して非常に高いため、水中では体温が奪われやすい、あるいは温まりやすいという特性があります。この特性は、温水プールでの運動による温熱効果(筋弛緩、疼痛緩和、血行促進)や、冷水での運動による冷却効果(炎症抑制、覚醒効果)など、体温調節や代謝機能に生理的な影響を与えます。正しくは:水の熱伝導率は、温熱効果や冷却効果を通じて生理機能に大きく影響します。選びやすい理由:単位や数値が選択肢に示されない場合、その重要性が分かりにくいことがあります。混同注意:具体的な数値が示されていないことで、他の物理特性との関連性が理解されにくいことがあります。
国試ポイント
この問題は、水中運動療法における水の物理的特性が、どのような生理的効果をもたらすかを理解しているかを問うものです。個々の特性とその臨床的意義を結びつけられるかがポイントとなります。直接的な生理作用がないものを見抜く識別力が求められます。
混同注意
各物理特性がもたらす『効果』が、直接的な『生理作用』であるかどうかの区別が難しい場合があります。特に、視覚的な変化(屈折)が治療中の心理的影響を及ぼす可能性から、生理作用と混同しやすいかもしれません。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出題された場合、水の各物理特性がもたらす具体的な生理学的変化や、それが治療にどのように応用されるか、さらにその特性がもたらすメリットだけでなくデメリットや注意点についても問われる可能性があります。
関連知識
水中運動療法の適応と禁忌、水の物理特性(浮力、水圧、抵抗、粘性、表面張力、比熱、熱伝導率)の定義とその生理的効果、ハイドロセラピーの治療原理。