アルコール依存症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
アルコール依存症の患者は、うつ病や不安障害などの精神疾患を高い割合で合併します。アルコールは中枢神経系に作用し、精神状態に影響を与えるため、依存が進行するにつれて精神的な不調を招きやすいです。また、うつ状態の緩和目的で飲酒を重ねるという悪循環に陥ることも少なくありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アルコール依存症患者は、気分障害(特に抑うつ)や不安障害などの精神疾患を合併する頻度が高いことが知られています。アルコールが一時的な気分の改善に使われる「セルフメディケーション」の結果や、アルコールによる脳機能への慢性的な影響により、抑うつ状態が引き起こされることもあります。
- 2. アルコール依存症では、飲酒へのコントロールを失い、特定の飲酒パターン(例: 毎日飲む、特定時間に飲む、飲み始めると止まらないなど)に陥りやすくなります。結果として、飲酒行動の多様性は失われ、画一的になっていきます。正しくは:飲酒行動のパターンは画一的になり、多様性は失われます。選びやすい理由:「依存症といっても個人差があるから、飲酒の仕方も多様に思える」と感じるかもしれませんが、その根底にはコントロールの喪失という共通の病態があります。混同注意:依存症ではない健常者の多様な飲酒行動と混同している可能性があります。
- 3. 振戦せん妄は、アルコール離脱症候群の中でも特に重篤な状態であり、意識障害、錯覚、幻覚(特に幻視)、そして見当識障害(時間、場所、人物の認識が困難になること)を主要な症状としています。見当識は著しく障害されます。正しくは:振戦せん妄時には、見当識は著しく障害されます。選びやすい理由:「せん妄」は意識の混濁を伴うが、見当識まで完全に失われるわけではないのでは、と誤解する可能性があります。しかし、振戦せん妄では重度の見当識障害が特徴です。混同注意:軽度のアルコール酩酊時の見当識障害と、振戦せん妄という重篤な状態の認知機能障害を混同している可能性があります。
- 4. アルコール依存症の進行に伴い、多くの場合、身体はアルコールに対する「耐性」を形成します。そのため、以前と同じ程度の酩酊感を得るには、より多くのアルコールが必要となるのが一般的です。少ない量で酩酊するようになるのは、肝機能障害などでアルコール代謝能力が著しく低下した場合に生じる「逆転耐性」と呼ばれる現象であり、病気の進行そのものよりも臓器合併症による影響です。正しくは:病状が進行すると、以前よりも多くの飲酒量で酩酊するようになる(耐性の形成)ことが一般的です。選びやすい理由:「肝臓が悪くなれば、アルコールが分解できずに少しの量で酔いやすくなる」という現象があるため、一見正しそうに思えるかもしれません。しかし、これは耐性とは異なる病態です。混同注意:アルコール耐性の形成と、進行した臓器障害によるアルコール代謝能力の低下(逆転耐性)を混同している可能性があります。
- 5. アルコール離脱症候群の早期症状(手指の震え、発汗、吐き気、不安、不眠など)は、飲酒中止後6~24時間以内に現れ始めることが多く、遅くとも48時間以内には発症します。72時間前後は、振戦せん妄などのより重篤な離脱症状が出現しやすい時期です。正しくは:離脱の早期症候群は、飲酒中止から6~24時間、遅くとも48時間以内に現れることが多いです。選びやすい理由:離脱症状全体が数日間にわたるため、「72時間」という数字が全く無関係ではないと誤解を招きやすいです。混同注意:早期離脱症状の発現時期と、重篤な離脱症状(振戦せん妄や離脱てんかんなど)の発現時期を混同している可能性があります。
国試ポイント
アルコール依存症の臨床症状、合併症、離脱症状の時期とその特徴に関する基本的な知識が問われています。特に精神疾患の合併、飲酒行動の変化、耐性、離脱症状の各段階を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
アルコール乱用、急性アルコール中毒、飲酒問題、離脱症状の各段階における症状と時期。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、アルコール依存症の診断基準(ICD-10またはDSM-5)、各臓器への影響(肝臓、脳、末梢神経など)、合併する精神疾患の種類と特性、そして離脱症状の具体的な症状と発現時期(時間経過)に注目して判断する。
関連知識
アルコール依存症の診断基準(DSM-5など)、アルコールの代謝経路、アルコールが脳に与える影響、精神疾患の合併率とメカニズム、離脱症候群の種類(早期離脱症状、アルコール性幻覚症、離脱痙攣、振戦せん妄など)とそれぞれの発現時期。