感覚障害を合併するのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患であり、脳や脊髄の病変によって感覚障害を含む多様な症状を呈します。慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)は末梢神経の脱髄性疾患であり、運動麻痺と並んで感覚障害が主要な症状として現れます。一方で、重症筋無力症は神経筋接合部の疾患、筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロン疾患、肢帯型筋ジストロフィーは筋原性疾患であり、これらは原則として感覚障害を伴いません。
選択肢ごとの解説
- 1. 重症筋無力症は、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体に対する自己抗体によって、筋力低下や易疲労性を主な症状とします。感覚神経自体は障害されないため、通常は感覚障害を合併しません。正しくは:重症筋無力症は、自己免疫疾患で神経筋接合部が障害されるため、筋力低下や疲労が主症状であり、感覚障害は伴いません。選びやすい理由:「神経筋接合部」という言葉から漠然と神経系の広範な障害と捉え、感覚障害も起こりうると誤解する可能性があります。混同注意:末梢神経疾患全般と混同し、感覚障害も生じると考える場合があります。多発ニューロパチーのような感覚・運動混合性の疾患とは病態が異なります。
- 2. 正解。多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の脱髄性疾患であり、病変部位に応じて多様な神経症状を呈します。しびれ、異常感覚、痛覚鈍麻などの感覚障害は、この疾患の主要な症状の一つであり、しばしば初発症状として現れます。
- 3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位および下位運動ニューロンが選択的に変性・脱落する進行性の神経変性疾患です。その主な症状は筋力低下、筋萎縮、線維束性収縮など運動系の障害であり、原則として感覚神経は侵されないため、感覚障害は合併しません。正しくは:筋萎縮性側索硬化症は、運動ニューロンのみが障害される疾患であり、感覚障害は伴いません。選びやすい理由:重篤な運動麻痺を呈するため、感覚系も同時に障害されると誤解しやすいです。混同注意:広範な末梢神経障害、特に感覚と運動の両方が障害される混合性のニューロパチーと混同する可能性があります。
- 4. 筋ジストロフィーは、骨格筋そのものの変性・壊死を特徴とする遺伝性疾患群です。この疾患では、感覚神経や中枢神経は通常障害されないため、感覚障害は原則として合併しません。主な症状は、近位筋優位の筋力低下や筋萎縮です。正しくは:肢帯型筋ジストロフィーは、骨格筋の変性による筋力低下が主症状であり、感覚障害は伴いません。選びやすい理由:筋肉の病気であるため、身体の感覚器としての筋肉の機能障害と結びつけて、感覚障害を連想する場合があります。混同注意:神経疾患全般や、感覚・運動混合性の神経筋疾患と混同しやすいです。
- 5. 正解。慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)は、末梢神経の脱髄が原因で、進行性または再発性の運動麻痺と感覚障害を伴う自己免疫疾患です。しびれ、異常感覚、深部感覚障害などの感覚症状は、CIDPの主要な特徴の一つです。
国試ポイント
神経疾患における運動障害と感覚障害の鑑別、特に「感覚障害の有無」によって主要な神経疾患を区別できるかが問われています。中枢神経系、末梢神経系、神経筋接合部、筋といった病変部位と、それに伴う主要な症状(運動障害、感覚障害の有無とその種類)の理解が重要です。
混同注意
運動麻痺を呈する疾患すべてに感覚障害が伴うと誤解することや、中枢神経疾患と末梢神経疾患の鑑別が曖昧なことが誤りの原因となります。また、神経疾患と筋疾患の基本的な病態生理の違いを理解していない場合も混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各疾患が「中枢神経系」「末梢神経系」「神経筋接合部」「筋」のどの部位を主として障害するのか、またその障害によって「運動系」「感覚系」「自律神経系」のどの機能が影響を受けるのかを正確に把握することが重要です。特に、感覚障害が主要な症状として出現するか否かを基準に判断します。
関連知識
中枢神経系疾患(例:脳卒中、脊髄損傷、多発性硬化症)と末梢神経系疾患(例:ギラン・バレー症候群、CIDP、糖尿病性ニューロパチー)の病態生理と主要症状。神経筋接合部疾患(例:重症筋無力症)、運動ニューロン疾患(例:ALS)、筋疾患(例:筋ジストロフィー)の病態と特徴的な症状。感覚路と運動路の基本的な解剖学的知識。