入院患者100人の収縮期血圧を集計した標本Aの分布は、中央値や平均値の近くに測定値が集中していた。他の値より極端に小さい値が1つあり、再度確認したところ誤記入であることが分かったため、この値を除いて標本Bを作った。標本Aに比べ標本Bの方が大きい統計量はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
問題文では、極端に小さい誤った値がデータセットから除外されています。このような外れ値(特に小さい値)が除外されると、データ全体の合計値が相対的に高くなり、データ個数が1つ減るため、平均値は全体として大きくなります。一方で、分散や標準偏差はデータのばらつきを示すため、外れ値がなくなることでばらつきが小さくなり、これらの値は減少します。最大値は除外された値が最小値に近いものであったため変化せず、最頻値も通常、外れ値一つで大きく変動することはありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 分散はデータのばらつき度合いを示す指標です。極端に小さい外れ値が除かれると、データのばらつきが小さくなるため、分散は減少するか、少なくとも増加することはありません。正しくは:分散は減少する可能性が高い。選びやすい理由:ばらつきの解釈が混乱すると選択肢になる可能性がある。混同注意:平均値の変動とばらつきの変動を混同しやすい。
- 2. 最大値はデータセットの中で最も大きい値を示します。除外された値は『極端に小さい値』であるため、最大値には影響を与えません。正しくは:最大値は変わらない。選びやすい理由:データセット全体が変わることで、すべての統計量が変化すると誤解すると選んでしまう。混同注意:データの範囲や四分位範囲の変化と最大値の変化を混同しやすい。
- 3. 最頻値は最も頻繁に出現する値です。中央値や平均値の近くにデータが集中しているため、極端に小さい外れ値1つが除外されても、最頻値が変化する可能性は低い、あるいは全く変化しないことが多いです。特に単峰性の分布では、一つ外れただけで最頻値が変わることは稀です。正しくは:最頻値は変化しないか、変わったとしても必ずしも大きくなるとは限らない。選びやすい理由:データ個数が減ることで、頻度が変わると誤解する可能性がある。混同注意:中央値や平均値の変動と最頻値の変動を混同しやすい。
- 4. 正解。平均値はデータセットの合計を個数で割ったものです。極端に小さい値がデータセットから除かれると、合計値が減る度合いに比べて、データ個数の減少が相対的に小さくなるか、あるいは単純に小さい値が除かれることで全体の合計値が高値側に寄るため、結果として平均値は大きくなります。正しくは:平均値は高値側に移動するため、数値は大きくなる。選びやすい理由:誤記入データを除外することで、すべての統計量が大きく変わる可能性があると考えるかもしれない。混同注意:中央値や最頻値との変化の方向性を混同しやすい。
- 5. 標準偏差は分散の平方根であり、データのばらつき度合いを示します。極端に小さい外れ値が除かれると、データのばらつきが小さくなるため、標準偏差も減少するか、少なくとも増加することはありません。正しくは:標準偏差は減少する可能性が高い。選びやすい理由:分散と同様に、ばらつきの解釈が混乱すると選択肢になる可能性がある。混同注意:平均値の変動とばらつきの変動を混同しやすい。
国試ポイント
統計量の基本概念(平均値、分散、標準偏差、中央値、最頻値など)と、外れ値がこれらの統計量に与える影響について理解しているかを問う問題です。特に、小さい外れ値が除外された場合に、各統計量がどのように変化するかを正確に把握しているかが重要になります。
混同注意
平均値と中央値、平均値と最頻値の変化の方向性、分散と標準偏差の概念は混同しやすい。また、外れ値の有無が各統計量に与える影響を漠然と捉えていると、誤った選択肢を選びやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、今回は小さい外れ値の除外だったため、次は『大きい外れ値が追加された場合』や『データが正規分布に従わない場合の各統計量の関係』を問う問題が考えられます。また、中央値や最頻値が外れ値の影響を受けにくいというロバスト性の概念も確認すると良いでしょう。
関連知識
・平均値、中央値、最頻値の定義と特徴。 ・分散と標準偏差の定義と、データのばらつきとの関係。 ・外れ値(outlier)がデータ分析に与える影響。 ・データの種類(質的変数、量的変数)と適用される統計量。 ・正規分布と非正規分布における各統計量の関係。