71歳の男性。うっ血性心不全。2週前から顔面と下肢とに浮腫がみられるようになり、安静にしていても呼吸困難があるため入院となった。入院2日後、離床練習開始となった。医療面接における質問で重要性が低いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
うっ血性心不全患者の離床練習開始にあたっての医療面接では、現在の呼吸状態(息切れ、咳、痰、起座呼吸の有無)、循環状態(浮腫の程度)といった症状の把握が極めて重要です。これらの情報は、患者の現在の身体能力、運動耐容能、離床時のリスクを評価し、安全かつ適切なリハビリテーションプログラムを立案するために不可欠です。喉の渇きも患者の訴えとしては重要ですが、離床練習の可否や安全性を判断する上での優先順位は、呼吸器・循環器症状に比べて低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 咳や痰は心不全の症状の一つであり、特に肺うっ血や肺水腫を疑わせる重要な情報源です。患者の状態を把握し、離床時のリスクを評価するために必須の質問です。正しくは:この質問は重要性が高いです。選びやすい理由:直接的な心不全の症状なので、重要性が高いと判断しやすい。混同注意:呼吸器系の症状は心不全と関連が深く、見落とされがちだが重要である。
- 2. 仰臥位での呼吸困難は起座呼吸と呼ばれ、心不全の典型的な症状の一つです。離床練習を始めるにあたり、患者の呼吸状態、特に体位による変化を把握することは非常に重要です。離床時の体位調整や運動負荷の判断に直結します。正しくは:この質問は重要性が高いです。選びやすい理由:ADLに直結する質問なので、重要性が高いと判断しやすい。混同注意:単に睡眠の質に関する質問と誤解されるかもしれないが、呼吸状態の評価として重要。
- 3. 正解。喉の渇きは、脱水や利尿剤の影響などで起こり得ますが、うっ血性心不全の離床練習における直接的かつ優先度の高い評価項目としては、他の症状(呼吸困難、浮腫、咳など)に比べて重要性が相対的に低いと考えられます。心不全管理では水分制限が課されることもありますが、この質問は離床の可否や安全性を判断する上で直接的な影響が少ないです。正しくは:この質問は離床練習の開始にあたっての医療面接において、他の選択肢と比べて重要性が低い。選びやすい理由:利尿剤を使用している患者では喉の渇きを感じることもあり、一見重要そうに見える。混同注意:水分摂取制限を受けている患者の場合、喉の渇きはQOLに影響するため、完全に無視できるわけではないが、離床開始時の緊急性・重要性は低い。
- 4. 息切れ(呼吸困難)はうっ血性心不全の主要な症状であり、安静時呼吸困難が主訴で入院しています。入院後の治療効果を評価し、離床練習の強度や進め方を決定する上で、息切れの改善度は極めて重要な指標となります。正しくは:この質問は重要性が高いです。選びやすい理由:症状の改善度を問う質問なので、重要性が高いと判断しやすい。混同注意:客観的な数値だけでなく、患者の自覚症状の改善度を把握することが重要。
- 5. 顔面と下肢の浮腫は、うっ血性心不全の症状の一つであり、患者の主訴でもあります。浮腫の改善度は、心不全の治療効果や体液貯留の状態を反映するため、離床練習時の運動負荷設定や安全管理において重要な情報となります。正しくは:この質問は重要性が高いです。選びやすい理由:目に見える症状の変化なので、重要性が高いと判断しやすい。混同注意:浮腫の程度は、心臓の機能状態や治療への反応を示す重要な身体所見である。
国試ポイント
うっ血性心不全患者の病態生理と、離床開始前に評価すべき重要な症状や身体所見を理解しているかが問われる。特に、呼吸困難、浮腫、起座呼吸といった心不全の主要な症状の把握の重要性を認識することがポイントとなる。
混同注意
利尿剤の影響や水分制限の状況を考えると、「喉の渇き」も全く無関係ではないため、迷いやすい。しかし、離床開始という『運動』を伴う場面でのリスク評価としては、呼吸・循環系の直接的症状の方が圧倒的に優先度が高い。
次に同じ論点が出たら
この質問の後、具体的にどのような離床練習から始めるか、または離床練習を一旦見送るかといった判断につながる。
関連知識
心不全のNYHA分類、BNP/NT-proBNP、呼吸困難の評価スケール(Borgスケールなど)、安静時・労作時血圧、酸素飽和度、心電図所見、離床時のモニタリング項目(HR、SpO2、BP、自覚症状)