自殺危険率の高いうつ病患者の特徴でないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
うつ病患者における自殺リスク因子として、男性であること(自殺既遂率)、過去の自殺企図、精神科入院歴、他の精神疾患の合併(不安障害、薬物依存など)、重症なうつ病エピソード、絶望感などが挙げられます。この中で、女性は自殺企図の頻度は高いものの、自殺既遂率は男性の方が高いため、単に「女性であること」が自殺危険率の高い特徴とは一般的に言えません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。一般的に、自殺既遂率は男性の方が女性よりも高いとされています。女性は自殺企図が多い傾向にありますが、「自殺の危険率が高い特徴」として単に性別が女性であることを挙げるのは適切ではありません。
- 2. 精神科への入院歴は、患者が重篤な精神疾患を抱えていることや過去に危機的状況を経験していることを示唆するため、自殺の危険率を高める重要な因子と考えられます。正しくは:精神科への入院歴は、うつ病患者の自殺危険率を高める特徴の一つです。選びやすい理由:入院によって症状が安定したと捉え、必ずしもリスクが高いとは限らないと誤解する可能性があります。しかし、入院に至るほどの重症度や過去の病歴がリスク因子となります。混同注意:入院治療そのものがリスクを減少させるという側面と、入院が必要な重症度がリスクを示すという側面を混同しやすいです。
- 3. 過去の自殺企図は、将来の自殺リスクを予測する上で最も強力な因子の一つです。一度でも自殺を試みた経験がある患者は、再度の自殺行動を起こす危険性が著しく高まります。正しくは:過去に自殺を試みた経験がある場合は、うつ病患者の自殺危険率が非常に高い特徴の一つです。選びやすい理由:過去の出来事であるため、現在の精神状態とは直結しないと考えるかもしれませんが、自殺行動の既往は将来のリスクを強く示唆します。混同注意:自殺念慮(自殺したいという気持ち)と自殺企図(実際に自殺行動を起こしたこと)を混同し、念慮だけで企図がない場合はリスクが低いと誤解する可能性があります。
- 4. うつ病に他の精神疾患(特に不安障害、物質使用障害、パーソナリティ障害など)が合併している場合、症状が複雑化し、患者の苦痛が増大するため、自殺の危険率が上昇することが知られています。正しくは:不安障害の合併は、うつ病患者の自殺危険率を高める特徴の一つです。選びやすい理由:不安障害は直接的に死に至る病ではないため、自殺リスクとは無関係だと考えるかもしれませんが、精神的な負担の増大や衝動性の亢進につながることがあります。混同注意:不安症状が自殺行動に直接結びつくメカニズムを理解できていないと、リスク因子として認識しにくいかもしれません。
- 5. 薬物依存は、判断力の低下、衝動性の亢進、精神状態の不安定化、社会生活上の問題などを引き起こし、うつ病患者の自殺リスクを著しく高める重要な因子です。正しくは:薬物依存の合併は、うつ病患者の自殺危険率を高める特徴の一つです。選びやすい理由:薬物依存自体が自己破壊的行動ではあるものの、直接的な自殺企図とは異なる側面を持つと誤解するかもしれません。しかし、薬物の使用は自殺行動のリスクを高めます。混同注意:薬物の影響下での偶発的な事故と、意図的な自殺行動を混同してしまう可能性があります。
国試ポイント
うつ病患者の自殺リスクを評価する際に考慮すべき因子について、基本的な知識が問われています。特に、性差による自殺企図率と自殺既遂率の違いを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
自殺企図の頻度(女性が多い)と自殺既遂の頻度(男性が多い)を混同し、女性であること自体が自殺の危険率を高める因子だと誤解しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、自殺リスク因子と保護因子を明確に区別し、特に性別、年齢、既往歴、合併症といった患者背景因子がリスク評価にどう影響するかを判断できるように学習を深める必要があります。また、精神疾患の種類によって特異的なリスク因子があることも考慮に入れるとよいでしょう。
関連知識
自殺のリスクを高める因子には、精神疾患(うつ病、統合失調症、パーソナリティ障害、物質使用障害など)、過去の自殺企図、家族歴(自殺)、社会的孤立、身体疾患の合併、最近のストレスイベント、衝動性、絶望感、希死念慮の具体性、自殺計画の有無、アクセス可能な手段の有無などが含まれます。保護因子としては、家族や友人との良好な関係、社会的なサポート、精神療法や薬物療法へのアクセス、宗教的・文化的信念、問題解決能力などが挙げられます。