広範囲Ⅲ度熱傷の受傷後12時間以内に生じやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
広範囲熱傷、特にⅢ度熱傷では、受傷直後から強い炎症反応が起こり、血管透過性が亢進します。これにより、血管内の水分やタンパク質が細胞間隙へ漏出し、熱傷部位を中心に急速に全身性の浮腫(腫脹)が発生します。これは受傷後数時間以内にピークを迎え、循環血液量の減少によるショックや、気道浮腫による呼吸困難を引き起こす可能性があるため、緊急的な対応が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. これは集中治療室での長期臥床や炎症、薬剤の影響などにより、数日〜数週間の経過で発症するものであり、受傷後12時間以内という超急性期には該当しません。正しくは:受傷後数日〜数週間で生じやすい合併症である。選びやすい理由:ICUでの治療が必要な重症患者に起こりうる合併症であるため、一見すると関連があるように見えるかもしれません。混同注意:熱傷患者の筋力低下全般と混同しやすいですが、ICU-AWは急性期ではなく亜急性期から慢性期の合併症です。
- 2. 骨化性筋炎は、熱傷後数週間から数ヶ月経ってから、熱傷部位の周囲の軟部組織に異所性の骨形成が生じるものであり、受傷後12時間以内という超急性期には発生しません。正しくは:熱傷後数週間から数ヶ月で生じやすい合併症である。選びやすい理由:重度の熱傷後の合併症として知られているため、選択肢として考慮するかもしれません。混同注意:熱傷による関節可動域制限や筋力低下と混同しやすいですが、発生時期が大きく異なります。
- 3. 肥厚性瘢痕は、熱傷治癒過程で線維組織が過剰に増殖して形成されるものであり、一般的に熱傷が治癒し始める数週間から数ヶ月後に発症します。受傷直後の12時間以内には形成されません。正しくは:熱傷治癒後、数週間から数ヶ月で生じやすい合併症である。選びやすい理由:熱傷の代表的な後遺症であるため、熱傷と聞いて真っ先に思い浮かぶ症状の一つかもしれません。混同注意:熱傷によって生じる皮膚の変化と混同しやすいですが、これは創傷治癒の遅延期の合併症です。
- 4. 関節拘縮は、熱傷による皮膚の瘢痕収縮や長期の固定、浮腫による組織の硬化などによって、通常数日から数週間、またはそれ以上の期間を経て徐々に進行します。受傷後12時間以内という超急性期に顕著な関節拘縮が生じることはありません。正しくは:受傷後数日〜数週間以上を経て、徐々に進行する合併症である。選びやすい理由:熱傷患者のリハビリテーションにおける主要な問題であるため、重要な合併症として認識されやすいです。混同注意:熱傷による痛みや浮腫で一時的に関節を動かしにくい状態と、病的な関節拘縮とを混同しやすいです。
- 5. 正解。広範囲の熱傷では、炎症反応により血管透過性が著しく亢進し、大量の血漿成分が血管外に漏出し、熱傷部位だけでなく全身に急速な浮腫(腫脹)が生じます。これは熱傷受傷後数時間以内からピークを迎える極めて早期の合併症であり、生命予後にも直結するため適切な輸液管理が不可欠です。
国試ポイント
熱傷の急性期(受傷後早期)に生じる生理学的変化とその合併症に関する知識を問う問題です。特に、広範囲熱傷における体液動態の変化とその影響を理解しているかが重要となります。他の選択肢は熱傷の亜急性期や慢性期の合併症であるため、発生時期の区別がポイントとなります。
混同注意
熱傷の合併症全般を急性期、亜急性期、慢性期で区別できていない場合、他の選択肢も可能性として考えてしまうことがあります。特に、熱傷と関連の深い症状(瘢痕、拘縮など)が初期に発生するものだと誤解する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、「受傷後〇時間/〇日以内」や「早期/後期」といった時間軸の限定に注意すること。各合併症がどのタイミングで発症しやすいかを正確に理解しているかが鍵となります。熱傷の治療ガイドラインにおける各病期の管理内容も確認すること。
関連知識
熱傷の深達度と範囲の評価(Rule of Ninesなど)、熱傷ショックの病態生理と初期治療(輸液管理、気道管理)、熱傷後の創傷治癒過程と各段階で起こりやすい合併症、熱傷リハビリテーションの段階と介入時期。