高次脳機能障害と症候の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肢節運動失行は、特に指先など末梢の運動器の巧緻性が低下し、習熟した動作が不器用になる症状です。麻痺や感覚障害、運動失調がないにもかかわらず、精密な指の動きなどが拙劣になります。これは、特定の運動パターンやプログラムの障害に起因すると考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 観念失行は、行為の全体的な概念や計画の障害であり、道具の適切な使用や一連の動作の遂行が困難になります。敬礼のような単純な指示による動作ができないのは、観念運動失行の特徴です。正しくは:観念失行:目的とする行為のプランが立てられないため、道具を適切に使ったり、一連の動作を順序立てて行ったりすることができない。選びやすい理由:「動作ができない」という点で失行症状であることは間違いないため、失行のいずれかと関連付けてしまいやすい。混同注意:観念運動失行。観念運動失行は、口頭指示や模倣による運動の遂行が困難になります。
- 2. 純粋失読(失書を伴わない失読)は、文字の認識はできるものの、言葉として読むことが困難な状態です。指で文字をなぞることで読みが可能になる場合も多く、これは皮質性感覚障害ではないためです。指でなぞっても読めないのは、文字の形態認識自体が困難な場合や、より重度の失読で見られます。正しくは:純粋失読:書字能力は保たれているものの、文字を音読したり、その意味を理解したりすることができない。指で文字をなぞると読める場合もある。選びやすい理由:「失読」という言葉から文字が読めないこと自体は正しいので、内容の細部まで確認しないと間違えやすい。混同注意:認知性失読(アレクシア)、皮質性感覚障害。
- 3. 伝導失語の主な特徴は、復唱の著しい障害です。物品呼称障害は失語症全般で見られる症状ですが、特に喚語困難や物品呼称障害が顕著なのはウェルニッケ失語や健忘失語です。正しくは:伝導失語:発話は流暢で理解も比較的良好だが、復唱が著しく障害される。選びやすい理由:失語症の症状の一つとして「物品呼称障害」があるため、失語症全般と混同しやすい。混同注意:健忘失語、ウェルニッケ失語。
- 4. 観念運動失行は、口頭指示や模倣による運動が困難になる障害です。道具の適切な使用ができないのは、観念失行の代表的な症状です。正しくは:観念運動失行:指示された動作を模倣したり、口頭指示に従って特定の動作を行ったりすることが難しい。選びやすい理由:「道具を使う」という行為は運動を伴うため、運動失行と結びつけやすい。混同注意:観念失行。
- 5. 正解。肢節運動失行は、手足の運動麻痺がないにもかかわらず、指などの末梢運動が不器用になり、細かい動作や精密な動きが拙劣になる状態を指します。これは、長年の習熟によって自動化された運動プログラムの障害と考えられます。
国試ポイント
高次脳機能障害における失行や失語、失読の各病型と、それぞれの典型的な症状や診断基準となる所見を正確に理解しているかを問う問題です。特に、類似した名称の失行(観念失行、観念運動失行、肢節運動失行)の違いを明確に区別できるかが重要です。
混同注意
観念失行と観念運動失行の症状の違い、純粋失読と失書を伴う失読、各種失語症の症状。
次に同じ論点が出たら
次回、高次脳機能障害に関する問題が出題された際は、特に以下の点に注意して検討してください。1. 失行の種類と症状の対応: 観念失行、観念運動失行、肢節運動失行のそれぞれの典型的な症状(道具使用、指示動作、巧緻性)を確実に区別できるか。2. 失語症の種類と特徴: ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語、全失語、健忘失語などの主要な失語症における流暢性、理解、復唱、呼称の障害パターンを比較できるようにしておく。3. 失読・失書の分類: 純粋失読、失書を伴う失読、失行性失書などの違い。4. 病巣部位: 各高次脳機能障害の主要な原因病巣部位も合わせて学習しておく。
関連知識
観念失行:行為の全体的なプランニング能力の障害。道具の適切な使用ができない、一連の動作ができない。観念運動失行:口頭指示や模倣による動作遂行の障害。指示された「敬礼」ができないなど。純粋失読:書字能力は保たれるが、読字が困難。指でなぞると読めることもある。伝導失語:復唱障害が主症状。発話は流暢だが言い間違いが多い。肢節運動失行:末梢(指など)の巧緻運動が障害され、慣れた動作が不器用になる。